学名:
Gyroporus punctatus Lar.N.Vassiljeva和名: ビロードクリイロイグチ
.........2002年7月18日、神戸市
同上 傘の裏側
本種は2001年に日本新産種報告がされたイグチ科クリイロイグチ属に属する
小形のきのこである。傘の表面はビロード状で、褐色〜褐色がかった黄色〜褐色
がかった橙色、傘は開ききると写真のように中央が窪み縁が上にそり返るものが
多いと言う。管孔は離生または上生し、最初は白色、のち淡黄色になり、傷つけ
ても変色しない。柄はもろく、ほぼ空洞状で、傘と同様の色をしている。顕微鏡
的特徴としては、傘表皮の末端細胞が鈍い槍の穂先状で、柵状毛状被をなすこと、
また、構成菌糸にはクランプがほとんど見られず、多くは末端細胞の直前で2〜4
細胞に分岐することである。クリイロイグチ(Gyroporus castaneus (Bull.:Fr.)
Quel.)はより大型で、傘の表皮細胞が異なりクランプがあるので、容易に区別で
きる。クリイロイグチモドキ(Gyroporus longicystidiatus Nagasawa & Hongo)
は同じくより大型で、傘の表皮細胞が異なり、紡錘形〜びん形の大きな縁シスチジア
がある。また、北米に産するGyroporus purpurinus (Snell)Singerは小形で外見的
に酷似するが、子実体がワインレッド色を帯ることと、Singer(1945)、A.H.Smith
& H.D.Thiers(1971)の顕微鏡図等から判断すると、ビロードクリイロイグチのよ
うに傘表皮の菌糸は末端細胞の直前で2〜4細胞に分岐することがないようなので
区別することが可能である。
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分布:ロシア極東地方、日本(北海道、石川県、京都府、兵庫県、鳥取県)。。。。。
採集標本:兵庫県神戸市西区伊川谷町、シイ林、2002年7月18日。。。。。。。。。。
京都市東山区円山公園、2001年9月16日
胞子(神戸市産)1目盛=2.5マイクロメータ
担子器(神戸市産)1目盛=2.5マイクロメータ
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縁シスチジア(神戸市産)1目盛=2.5マイクロメータ
。。柄の表皮の一部(神戸市産)1目盛=2.5マイクロメータ
傘表皮の一部(神戸市産)1目盛=2.5マイクロメータ 傘表皮の菌糸(神戸市産)1目盛=2.5マイクロメータ
傘表皮の一部(京都市産)1目盛=2.5マイクロメータ 傘表皮の菌糸(京都市産)1目盛=2.5マイクロメータ
参考文献:
Nagasawa,E.2001.Taxonomic studies of Japanese boletes. 1.The genera Boletinellus,Gyrodon and Gyroporus.Rep.Tottori Mycol. Inst.39:1-27.
Singer,R.1945.The Boletineae of Florida with notes on extralimital species.U.The Boletaceae(Gyroporoideae).Farlowia 2:223-303.
Smith,A.H. and Thiers,H.D.1971."The boletes of Michigan,"Univ.Michigan Press,Ann Arbor.
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