SUKI


 この間、遅くまでお喋りをしていた時に、レイチェルに、エルンストさんのどこが好きだか訊いてみた。
「え、好きなとこねえ〜、う〜ん、いっぱいありすぎて判らない!!」
「そういうものなの?」
「アンジェだってそうでしょ!」
 ふとアリオスのことを考えてみると、レイチェルが言いたいことはすぐに判った。 
  私もアリオスの好きなところを考えてみるけれど…、いっぱいあるから判らない…。
 だけどえ判るのは、彼が誰よりも大事で愛してるということだけ…。
 大隙、大好き、大好きよ!

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 アンジェリークは、今日も息を切らせながら、約束の地までの坂道を上がっていた。
 片手に学習の道具と育成結果を記したノートに、彼女が作ったお手製のサンドウィッチは二人分。
 それは、恋人とこの地で食べようと思っているから----

 約束の地を訪ねれば、いつもあなたは、樹に凭れて大概は昼寝をしている。
 その寝顔が、私は大好き・…。

「やっぱり…」
 アンジェリークは気の近くまで来ると、急に走るのを止めて、立ち止まった。
 恋人は、あいも変わらず気に凭れて昼寝をしている。
 その無防備な寝顔に、アンジェリークはふふっと笑ってしまう。

 いつも凄く頼りになるから、こうやってる姿もまた可愛いのよね…。

 そっと、近づいてみて、彼の優しい寝顔を見つめようとした。
「きゃあっ」
 お約束にも、何もないところでまた躓いてしまい、アンジェリークはそのまま身体のバランスを崩す。
「おっと」
 アリオスはさっと恋人の華奢な手を掴むと、そのまま腕の中に包み込む。
 いきなりアリオスの広い棟が見えて、アンジェリークはドキリとした。
「ったく、どうして何もないこんな場所でいつも転ぶんだ!?」
 アリオスは、眉根を寄せ、恋人の大きな青緑の瞳を覗き込む。
 彼の異色の瞳が間近にあると、アンジェリークは胸が早鐘のように甘い鼓動を打つのを感じた。

 アリオスの黄金と翡翠の瞳も大好き…。
 この瞳でじっと見つめられたら、私だってどきどきしちゃう…

「ごめんね…」
 上目遣いでアリオスを捕らえ、アンジェリークはまるで小動物ボ用に彼を見つめている。

 この眼差しに俺は弱いんだよな…

「今度から気をつけろよ?」
「うん!」
 呆れたように溜息を吐くアリオスに、アンジェリークは笑顔で答えた。

 こうやって頼りになるところも大好き!!

 アンジェリークは幸せそうに笑うと、彼の広い胸に顔を埋めて甘える。
 いつもやってしまうこと。
 アリオスはそれを笑いながら優しく包み込んでやっていた。

 アリオスの精悍な広い胸も大好き。
 そして、この、アリオスの香りだって大好きだわ…。
 安心できるもの…

「なあアンジェ…」
「何?」
「この体勢だサンドウィッチ崩れてねえか?」
「え!?」
 アンジェリークは、慌てて身体を外し、彼と自分の身体の間にあり、無残にも崩れている袋を、呆然と見つめた。
「あ〜あ」
「クッ、おまえらしいぜ?」
「折角作ったのに〜」
 しょんぼりとする彼女がまた可愛くて、アリオスはクッと笑いながら立ち上がる。
「ほら、あっちで食べようぜ?」
 そっと手を差し伸べられて、アンジェリークはそれを掴んだ。

 この差し出された手も大好き…。
 男の人だから大きいけれど、だけどとっても、綺麗な手・・・。
 器用だし…。

 そこまで思って、アンジェリークは真っ赤になる。
 一瞬思い浮かんだのは、ベッドの中で彼女を愛してくれる彼だったから…。
「クッ、何タコみたいに真っ赤になってんだよ。バーカ」
「タコじゃないし、バカじゃないもん!!」

 こうやって、少し意地悪で口が悪い所も大好き…。

 二人はそのまま手を繋いだまま、水辺のほとりまでやってきた。
「今日はここで食うか?」
「うん!」
 仲良く川の水で手を洗ってから、二人は、そのまま近くの芝生の上で腰を落ち着けた。
 アンジェリークが袋を開けると、いびつになったサンドウィッチが出てきた。
「あ〜あ」
「クッ、全くおまえらしいぜ?」
 魅力的に笑う彼に、アンジェリークは思わず見惚れてしまう。

 大好き…アリオスの笑顔も…!!

「本とこんなことができる女王様はおまえぐらいだ」
「いいもん、いらなかったら自分で食べるもん!」
 少し頬を膨らませて怒る彼女に、アリオスはさらに笑う。
「そんな量おまえ一人jじゃ無理だからな、食ってやるぜ?」
「も〜」
 悪態を吐きながらも、アリオスはアンジェリークが作った産道留置をパクパクと食べている。
「ねえおいしい?」
 恐る恐る訊いて見ると、アリオスはニヤリと不敵な笑顔を浮かべた。
「俺が黙って食ってんだ、」美味いに決まってるだろ?」

 こうやってさりげないぶっきらぼうな優しさが、大好き!

「ホント?」
「味見するか?」
「え!?」
 アンジェリークが息を飲んだときには遅く、既にアリオスの唇はアンジェリークの唇を捕らえていた。

 アリオスがくれるキスも大好き!!!

 アリオスは、まだ"昼間"であるにもかかわらず、アンジェリークの口腔内を舌で犯し、深く貪るような情熱的な口付けをしてくれる。
 アンジェリークもそれに答えるかのように、彼の首に手を回し、その口付けに答え、暫し、酔いしれる。
 豊かな胸が、彼の精悍な胸を無意識に撫でて誘っている。
 アリオスは堪らなくなって唇を離すと、いきなり、アンジェリークを押し倒して覆い被さってきた。
「きゃあっ!」
 甘い声を上げたときにはもう遅くて、彼の繊細な手はゆっくりと彼女の身体をまさぐり始めている。
「ダメ…、ここじゃ…」
「ダメ時やねえよ…、誘ったのはおまえだ…」
 アリオスはゆっくりと彼女のワンピースを下ろしてゆく。

 こういうちょっと危険で強引な所も…。
 大好きなのかもしれない…。
 だって彼がこうなるのは、私だけだって知っているもん…

 アンジェリークはアリオスに与えてもらう快楽に奪われていく…。

 結局、私は、アリオスの総てが大好きなんだもん・・・

 納得しながらも、アンジェリークはアリオスに溺れていった----  

コメント

コレじゃあ「惚気自慢」(笑)