この間、遅くまでお喋りをしていた時に、レイチェルに、エルンストさんのどこが好きだか訊いてみた。 「え、好きなとこねえ〜、う〜ん、いっぱいありすぎて判らない!!」 「そういうものなの?」 「アンジェだってそうでしょ!」 ふとアリオスのことを考えてみると、レイチェルが言いたいことはすぐに判った。 私もアリオスの好きなところを考えてみるけれど…、いっぱいあるから判らない…。 だけどえ判るのは、彼が誰よりも大事で愛してるということだけ…。 大隙、大好き、大好きよ! ----------------------------- アンジェリークは、今日も息を切らせながら、約束の地までの坂道を上がっていた。 片手に学習の道具と育成結果を記したノートに、彼女が作ったお手製のサンドウィッチは二人分。 それは、恋人とこの地で食べようと思っているから---- 約束の地を訪ねれば、いつもあなたは、樹に凭れて大概は昼寝をしている。 その寝顔が、私は大好き・…。 「やっぱり…」 アンジェリークは気の近くまで来ると、急に走るのを止めて、立ち止まった。 恋人は、あいも変わらず気に凭れて昼寝をしている。 その無防備な寝顔に、アンジェリークはふふっと笑ってしまう。 いつも凄く頼りになるから、こうやってる姿もまた可愛いのよね…。 そっと、近づいてみて、彼の優しい寝顔を見つめようとした。 「きゃあっ」 お約束にも、何もないところでまた躓いてしまい、アンジェリークはそのまま身体のバランスを崩す。 「おっと」 アリオスはさっと恋人の華奢な手を掴むと、そのまま腕の中に包み込む。 いきなりアリオスの広い棟が見えて、アンジェリークはドキリとした。 「ったく、どうして何もないこんな場所でいつも転ぶんだ!?」 アリオスは、眉根を寄せ、恋人の大きな青緑の瞳を覗き込む。 彼の異色の瞳が間近にあると、アンジェリークは胸が早鐘のように甘い鼓動を打つのを感じた。 アリオスの黄金と翡翠の瞳も大好き…。 この瞳でじっと見つめられたら、私だってどきどきしちゃう… 「ごめんね…」 上目遣いでアリオスを捕らえ、アンジェリークはまるで小動物ボ用に彼を見つめている。 この眼差しに俺は弱いんだよな… 「今度から気をつけろよ?」 「うん!」 呆れたように溜息を吐くアリオスに、アンジェリークは笑顔で答えた。 こうやって頼りになるところも大好き!! アンジェリークは幸せそうに笑うと、彼の広い胸に顔を埋めて甘える。 いつもやってしまうこと。 アリオスはそれを笑いながら優しく包み込んでやっていた。 アリオスの精悍な広い胸も大好き。 そして、この、アリオスの香りだって大好きだわ…。 安心できるもの… 「なあアンジェ…」 「何?」 「この体勢だサンドウィッチ崩れてねえか?」 「え!?」 アンジェリークは、慌てて身体を外し、彼と自分の身体の間にあり、無残にも崩れている袋を、呆然と見つめた。 「あ〜あ」 「クッ、おまえらしいぜ?」 「折角作ったのに〜」 しょんぼりとする彼女がまた可愛くて、アリオスはクッと笑いながら立ち上がる。 「ほら、あっちで食べようぜ?」 そっと手を差し伸べられて、アンジェリークはそれを掴んだ。 この差し出された手も大好き…。 男の人だから大きいけれど、だけどとっても、綺麗な手・・・。 器用だし…。 そこまで思って、アンジェリークは真っ赤になる。 一瞬思い浮かんだのは、ベッドの中で彼女を愛してくれる彼だったから…。 「クッ、何タコみたいに真っ赤になってんだよ。バーカ」 「タコじゃないし、バカじゃないもん!!」 こうやって、少し意地悪で口が悪い所も大好き…。 二人はそのまま手を繋いだまま、水辺のほとりまでやってきた。 「今日はここで食うか?」 「うん!」 仲良く川の水で手を洗ってから、二人は、そのまま近くの芝生の上で腰を落ち着けた。 アンジェリークが袋を開けると、いびつになったサンドウィッチが出てきた。 「あ〜あ」 「クッ、全くおまえらしいぜ?」 魅力的に笑う彼に、アンジェリークは思わず見惚れてしまう。 大好き…アリオスの笑顔も…!! 「本とこんなことができる女王様はおまえぐらいだ」 「いいもん、いらなかったら自分で食べるもん!」 少し頬を膨らませて怒る彼女に、アリオスはさらに笑う。 「そんな量おまえ一人jじゃ無理だからな、食ってやるぜ?」 「も〜」 悪態を吐きながらも、アリオスはアンジェリークが作った産道留置をパクパクと食べている。 「ねえおいしい?」 恐る恐る訊いて見ると、アリオスはニヤリと不敵な笑顔を浮かべた。 「俺が黙って食ってんだ、」美味いに決まってるだろ?」 こうやってさりげないぶっきらぼうな優しさが、大好き! 「ホント?」 「味見するか?」 「え!?」 アンジェリークが息を飲んだときには遅く、既にアリオスの唇はアンジェリークの唇を捕らえていた。 アリオスがくれるキスも大好き!!! アリオスは、まだ"昼間"であるにもかかわらず、アンジェリークの口腔内を舌で犯し、深く貪るような情熱的な口付けをしてくれる。 アンジェリークもそれに答えるかのように、彼の首に手を回し、その口付けに答え、暫し、酔いしれる。 豊かな胸が、彼の精悍な胸を無意識に撫でて誘っている。 アリオスは堪らなくなって唇を離すと、いきなり、アンジェリークを押し倒して覆い被さってきた。 「きゃあっ!」 甘い声を上げたときにはもう遅くて、彼の繊細な手はゆっくりと彼女の身体をまさぐり始めている。 「ダメ…、ここじゃ…」 「ダメ時やねえよ…、誘ったのはおまえだ…」 アリオスはゆっくりと彼女のワンピースを下ろしてゆく。 こういうちょっと危険で強引な所も…。 大好きなのかもしれない…。 だって彼がこうなるのは、私だけだって知っているもん… アンジェリークはアリオスに与えてもらう快楽に奪われていく…。 結局、私は、アリオスの総てが大好きなんだもん・・・ 納得しながらも、アンジェリークはアリオスに溺れていった---- |