「きゃあ!! アンジェ!!」
昼休みの中庭。レイチェルの悲鳴が響き渡り、誰もが振り返る。
「イタっ!」
レイチェルの足元には、膝を打って顰め面をするアンジェリークがいた。
レイチェルとのお喋りに夢中になっていて、、足がもつれてしまったことに気付かなかった為の結果である。
中庭は石畳になっており、転ぶとかなり痛い。
「立てる? あっ!! 膝から血が出てる!!」
レイチェルが声を上げたので、アンジェリークは恐る恐る膝を見てみる。
膝からかなり出血がしており、傷はかなり深そうだ。
「ね、保健室に連れて行ってあげるから」
「ん・・・、ありがと」
アンジェリークははにかんだような笑顔をレイチェルに向け、立ち上がろうとした。
その瞬間----
彼女はふわりと体が宙に舞うのを感じた。
「アリオス先生!!」
レイチェルの声に導かれて、おずおずと見上げてみると、そこには確かにアリオスの顔があり、瞬座に、自分が彼に抱き上げられたことをアンジェリークは知った。
「あの・・・、先生、降ろしてください・・・。歩けますから・・・」
耳まで赤くして、困ったように呟くと、彼女はとうとう俯いてしまった。
「歩けるようには、見えねえな」
アリオスは喉を鳴らして、独特の笑みを浮かべる。
「先生は平気でしょうけど、私が困るんです」
「あー?」
アンジェリークの言っていることには、一分あるとレイチェルは思う。
アリオスは、この春、名門女子高スモルニィ女学院に転任してきた英語教師。
若くて、少し厭世的な雰囲気が、年頃の女生徒たちのツボにはまり、今やスモルニィ女学院一の人気教師だった。
その証拠に、アリオスに抱き上げられているアンジェリークには、かなりの嫉妬の矢が突き刺さって、彼女は針の筵状態だ。
そうこうしているうちに、昼休み終了を告げる予鈴が鳴り響く。
「コレットは、俺が保健室に連れて行く。ハート、おまえは教室に戻って、コレットが遅れることを先生に言っといてくれ」
「先生、授業は?」
「俺は、次の時間はないから」
「はい」
レイチェルは行きかけて立ち止まり、そっとアンジェリークに囁く。
「頑張ってね〜」
途端にアンジェリークの顔は先ほどよりもさらに赤くなり、まるで茹でたこのようになった。
レイチェルもそれがおかしくて堪らなくて、アンジェリークに軽く片目を瞑る。
「もう・・・」
レイチェルが微笑みながら立ち去り、アリオスファンの他の生徒もシブシブ立ち去ると、中庭には、二人しかいなくなった。
アリオスは、アンジェリークを抱き上げたまま中庭を抜けて保健室へと向かう。
「ホントに、歩けるから・・・、ね?」
「ダメだ。ったく、俺を心配させんなよ」
「だけど・・・、ン・・」
アリオスに耳朶を軽く噛まれて、アンジェリークの唇から、甘い吐息が漏れた。
二人きりになってしまえば、11も上で、"教師”だということを忘れて暴走してしまう彼が、 時々ひどく可愛く感じてしまう。もちろん、このことは彼には内緒である。
アリオスが学校に来て四ヶ月。二人が、付き合い始めて、三ヶ月になろうとしている。
もちろん、二人が付き合っていることを知っているのは、親友のレイチェルだけ。
二人の間にあった、様々なことをずっと見守ってくれていた一人だった。
学校では、「秘密の関係」がバレないように「教師と生徒」として接しているが、たまに二人っきりになると、「教師」の彼が暴走して、アンジェリークを困らせてしまうことも、しばしばあるのだ。
「このまま俺のマンションに連れて帰りたいがな」
「もう・・・、バカ・・・」
今日のようなことは、もう日常茶飯事になっている。
二人が保健室に行くと、校医であるオスカーがまた保健室にいなかった。
「ったく、あのクサレ校医は」
視界に誰も使っていないベットが入り、アンジェリークは慌てて目を逸らす。
それを目ざとく見つけたアリオスは、ここぞとばかりに彼女をからかう。
「誰もいないぜ? このままベットに運んでやるから、スルか?」
「もう、知らない!!」
とうとうアンジェリークは彼の胸を叩き始めた。
「おい、暴れんな!! 俺が代わりに手当てをしてやるから」
アリオスにソファの上に降ろされ、彼はその前に跪く。
「えっ、や・・・ん」
彼は彼女の膝に唇を寄せ、吸い上げる。
「ちょっと、アリオス・・、誰か来たら・・・」
焦るような、それでいて甘さの含んだアンジェリークの声が彼に降ったが、そんなことはお構いなしとばかりに、アリオスの唇は動く。
「消毒だ・・・」
「消毒って・・・、あ・・・ん」
思わず出た甘い吐息に、アリオスは喉を鳴らして笑う。
「そんなに消毒は気持ちいいか?」」
「も・・・、意地悪・・・!」
突然、ドアの開く音がして、アリオスは唇を離した。
「あれ、何やってんだ? アリオス。お嬢ちゃんまで」
アンジェリークの下で跪いているアリオスを、怪訝そうに見つめながら、無敵の保険医オスカーが戻ってきた。
「ああ。コイツが躓いたんで運んできた。出血してるから様子を見てただけだ。手当てしてやってくれ」
アリオスは何事もなかったかのように立ち上がり、涼しい顔をしてその場所をオスカーに譲る。
「ああ。後は俺がやっておくから、あんたは戻っていいぜ」
消毒液を準備しながら、オスカーは挑戦的にアリオスを見る。
アリオスが怒るのを判っていて、彼はわざとする。
「いや…。俺がこいつを教室まで連れて行く」
二人の間に硬質な空気が漂い、緊張感が走る。
その空気を感じ取り、アンジェリークはおろおろとしてしまう。
彼女は全く知らないが、アンジェリークはその清楚な向日葵のような笑顔で、男性を魅了してしまっており、彼女のファンが少なくない。
オスカーもその一人だ。
といっても、彼には金髪の可愛い恋人がいるのだが。
も…、アリオスの心配性・・・。
嫉妬深い炎をその瞳に翳らせ、アリオスはじっと二人の様子を覗っている。
オスカーは、仕方ないといわんばかりに溜め息を吐くと、手早くアンジェリークの膝の様子を見る。
「たいしたことない。打ち身も直に治るだろう」
後ろのお目付け役を刺激しないように、オスカーは無造作と丁寧の間ぐらいの処置をする。
「センセ、もっと優しくオキシドールをふって下さい〜」
「これぐらい頑張らんとな。お嬢ちゃん」
苦しげな表情を浮かべるアンジェリークに、アリオスは、オスカーに対しての嫉妬を燃え上がらせていた。
「ほら、終わり!!」
念のためにと、包帯をして完成だ。
「有難うございました」
「立てるか?」
オスカーが手を差し伸べようとすると、アリオスが彼の手を跳ね除け、自らアンジェリークを立たせた。
「アリオス先生〜」
抗議はしているが、アンジェリークは内心嬉しかった。いつもどこかクールな彼が、やきもちを妬いてくれるのが何よりも嬉しくって。
彼女は足を引きずりながら、保健室の入り口へと向かい、振り返って、オスカーに深々と一礼をした。
「有難うございました!!」
二人が部屋から去った後、オスカーは深い微笑を浮かべた。
「ッたく、罪なお嬢ちゃんだ…」
「ね、一人で教室に帰れるから…」
アリオスは無言で彼女の前を歩きつづける。
なんだか胸クソ悪ィ
彼は急に振り返ると、そっと彼女の耳に唇を寄せる。
「や…ン…」
「その足じゃ歩けねぇと理由をつけて、車で送るからな。担任の特権ってやつだな」
「もう・・!」
「じゃあ、後でな」
アリオスはアンジェリークの背中をポンと叩いて、立ち去る。
その姿を見ながら、彼女は嬉しそうにふんわりと微笑んだ。
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放課後、ジュリアス教頭に「足の悪い生徒を送っていく」と宣言したアリオスは、堂々とアンジェリークを車に乗せた。
助手席ではマズイということで、最初、彼女は後ろのシートに座った。
当然、アリオスのファンの生徒は黙ってはいなかったが、彼女の怪我の度合いを目で確かめて、今回だけはとおずおずと引き下がった。
車は、ゆっくりと最初はアンジェリークの家に向かって走り始めた。
しかし、通学路から外れたところで、彼女を助手席に乗せると、車を彼のマンションへと走らせる。
「アリオス、どこに行くの?」
「"送り狼"になりに」
その意味が判らないわけではない。
力強い意志を突きつけられて、アンジェリークははにかみながらも頷いた。
少し、今日の怪我に感謝しながら。
アリオスの部屋に入るなり、彼は奪うように彼女に口づけた。
「…う…ん…」
口づけはいつもより激しく、深く、そして官能的だった。
甘い吐息のために僅かに開いた彼女の唇に、彼は自分の舌を絡ませ、極上の愛撫をする。
頭の中が白くなり、支えられなくなってきて、彼の手が優しく彼女の首を支える。
ようやく唇が離されて、少し速い息が彼女の唇から漏れる。
アリオスは、彼女を抱き上げると、そのままベットへと運んだ。
柔らかなシーツの上に彼女の栗色の髪が広がり、潤んだ瞳で自分を見つめる彼女が愛しくて、彼は少し笑いながら、彼女に体を重ねた。
「アリオス…」
「何だ?」
アンジェリークの顔にキスの雨を降らせながら、彼は低い声で答える。
「今日…、ホントは嬉しかった…」
「何故?」
「だって…、ん・・・、心配してくれたし…、久しぶり…、に…、先生の顔じゃない…、あなたを見れたし…」
アリオスが与える愛撫に喘ぎながら、アンジェリークは途切れ途切れで呟く。
その言葉が、声が、どうしようもなく彼を昂めて行く。
「だって…、先生だったら…、あっ…、生徒みんなの"アリオス先生”だから…」
「俺は、いつだって"おまえ専用だ"。んな可愛いこと言ってると、家に帰せなくなるだろ?」
「あっ・・・」
彼の唇は、首筋、鎖骨へと移り、通った場所には彼の所有の証が赤い痕となって残る。
手は、勝手知ったる彼女の制服を優しく剥ぎ取り、生まれたままの姿にすると、自らも素早く衣服を脱ぎ捨て、彼女の素肌に滑り込ませる。
「…ん、あっ、アリオス・・・!!」
アリオスは、彼女の薔薇色の蕾を口に含み、舌で転がしながら、片手をまわして反対側のふくらみを掴む。
交互に胸のふくらみを愛され、アンジェリークはやるせなさそうに声を上げた。
「愛してる」
甘く囁かれて、彼女は全身に甘い痛みを覚える。
「アリオス…、愛してる・・・!」
喘ぎながら自分の名前を囁く、この小さな少女が余りにも愛しく、彼は激しく彼女の体に唇を押し付けた。
彼女の花園からは、体を愛されたことの証である蜜が溢れ始める。
それを見計らったように、彼の繊細な指先が、そこへと侵入する。
「あッ・・、あっ…んっ」
指が花心を探り当て、刺激を受けるたびに、彼女の蜜は止め処となく溢れ、流れ出す。
淫らな水尾とが響き、もう、彼が与える愛撫の快楽さしか、考えられなくなる。
彼女の白い肌に落ちていた唇は、下へと下がり、今度は、足から彼女の蜜の痕に沿って辿ってゆく。
「あ…、や・・・だ」
閉じようともがく彼女の足を両手で押さえつけると、アリオスは花園に唇を埋めてゆく。
「い・・・あ・・・!!」
優しく愛でるように花芯を口づけ、舌が、巧みに彼女の花園をかき乱す。
「愛してる・・、欲しいのは、いつでもおまえだけだ…」
「あ、はっ、ん・・・!!」
彼の舌はやがて彼女の胎内(なか)に入り、乱してゆく。
「い・・・あ・・・、アリオス!!」
やがて指も胎内(なか)へと挿入され、アンジェリークは快楽の波間を漂う。
もう、何も考えられない。
「ね・・・、もう…」
誘いとも取れる彼女の声に、アリオスは愛しげに微笑むと、ゆっくりと彼女の中へとその身を埋め始めた。
「アリオス・・・!!!」
アンジェリークは息を乱して、彼の名前を呼ぶ。
彼女の快楽を探りながら突き上げる彼に、腰は自然と揺れ、彼を締め付ける。
「愛してる…」
張り詰めたものに彼女の締め付けが強まり、アリオスもまた域を乱す。
やがて、彼がこの上なく優しく動き始めると、彼女は欲情の海へと誘い出され、陶酔の波間に沈んでゆく。
「は…、あっ、もう…、ああ!! アリオスッ!!!」
甘い痺れが彼女の体に駆け抜ける。
体が揺れ、意識が朦朧とし、墜ちてゆく。
「アンジェリーク・・・!!」
彼も、彼女への"愛"の証である熱を放出する。
「いやああああ!!」
その瞬間、彼女の瞼に白い光が飛んだ----
どれくらい意識を失っていたのだろうか。
傍らの時計を見ると、5分とたっていないようだった。
「気がついたか?」
「ん・・・」
アンジェリークは、彼の剥き出しの逞しい胸に顔を埋め甘える。
「今夜、泊まっていけよ。明日休みだし」
彼女の両親が海外赴任をいいことに、彼は言う。
今日はどうしても帰したくなかった。
「ん…、そうする・・・」
「---だったら、個人授業をたっぷりしてやらないとな?」
「え・・・、あ・・・!!」
止める間もなく、彼に再び愛され始め、彼女は幸せな波に飲み込まれていった。
コメント
2000番のキリ番を踏まれた優様のリクエストによる、「高校教師なアリオス」と「生徒・アンジェ」による、ラヴラヴSWEETな裏物でございます。
優様いかがでしょうか? 二人の幸せな感じが出てますでしょうか?
最近「嫉妬するアリオス」を書くのが、好きなせいか、今回も少し嫉妬させてみました。
まあ、最後にご希望を叶えることが出来たので、彼的には許してもらえたでしょうか(笑)
この車のエピソードは、tinkが昔マラソン中に貧血で倒れたときに、先生が送ってくれるといったことを思い出して書きました。
その先生、とっても厳しいことで有名で、車の中でも説教されるのが嫌で、お断りしましたが。
まあ、アリオス先生だったらいいですけどね。
タイトルの「TEACHER’S PET」は{先生のお気に入り」という意味で取ってください(^^)
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