「アリオス…、ここで降ろして欲しいの…、中に入るのにこれじゃあ・・・」
アリオスの胸に恥ずかしそうに顔を埋めながら、アンジェリークははにかむような小さな声で呟く。
「しょーがねーな」
軽く舌打ちをして、そっと彼は彼女を降ろした----
二人がいるのは、まさに、聖地の宮殿の前。
土の曜日で、午後からは主な職員以外は出払っていて、静まり返っている。
アルカディアの約束の地からここまで、女王陛下は誰よりも大切な男性(ひと)に横抱きにされてここまできた。
幸いなことに、ここまで誰にも目撃されてはいない。
「あのね…、手だけ繋いでいてくれる? もうあなたがどこにも行かないように」
甘い声で可愛らしく囁かれると、アリオスはどうしようもないほど彼女が可愛くて仕方がなくなる。
彼は、艶やかな微笑をフッと浮かべると、すっと手を差し出す。
「しょーがねーな、ほら」
「だからアリオス大好き!!」
本当に幸せそうにアンジェリークは音を奏でるかのようにふふと笑う。
眩しい、太陽のような、総てのものに生命力を与えるような微笑----
躊躇いがちに握ってきた彼女の柔らかな手を、アリオスは強く握り返した。
「あ…、行こう…、アリオス」
「ああ」
手をしっかりと絡めながら、二人は裏口から宮殿へと入っていった。
「アリオス?」
「何だ?」
「今日、偶然なんだけど…、レイチェルがたまたまあっちの宇宙に行っていないの。帰ってくるのはね、明日の晩だから…、そこであなたを紹介するね?」
「----だったら、俺はそれまではおまえを独占できるってわけだ?」
怜悧な彼は、彼女の言葉に隠された裏の意味をすぐに読み取ってしまい、意味ありげな視線を彼女に送る。
「バカ…」
紺碧の瞳に艶やかさが陽炎になって映り、その瞳がアリオスの心の奥に入ってくる。
彼女の微笑が愛しい、瞳が愛しい、声が愛しい、その総てが愛しい!
もう待つことなんてできなかった。
彼の心の奥が激しい彼女への愛情が渦巻き、手を通して彼女に伝わる。
「アリオス、痛い…」
「あ、すまねえ」
何とか力を抜きながら、彼は苦笑した。
「ここなの」
アンジェリークが指差した扉は、木目長の落ち着いた趣のあるものだった。同時に少女が好きそうなデザインでもある。
アリオスは、僅かに口角を上げると、彼女を再び抱き上げた。
「アリオス!?」
「ここからは俺の仕事だ。そうだろ?」
低くよく響く声がやけに艶やかに響き、彼女は彼の逞しい胸に恥ずかしそうに顔を埋め、僅かにコクリと頷いた。
彼女によって最後のセキュリティが解除され、二人はようやく部屋に入ることが出来た。
温かな色合いで統一された部屋は彼女らしくて、自然に彼の口元には笑みが浮かぶ。
花が活けられた花瓶があるテーブルには、彼が彼女に出した手紙が置いてある。
それらに一瞥を送ってから、彼は迷うことなく寝台へと向かった。
そっと彼女を寝台へと横たえ、潤む瞳で艶やかに見つめる彼女を、彼はそっと口づける。
「アリオス…」
アンジェリークは、恥ずかしさとこれから先に起こる何かへの不安に満ちた紺碧の瞳を、彼に向けた。
「----大丈夫だ。俺を信じろ」
アリオスの低い声が、ふわりとアンジェリークの心の中に染みとおって、甘い安寧を彼女に与える。
コクリとはにかむように僅かに彼女は頷いた。
金と翡翠の二つの色を持つ彼の瞳が、優しそうに細められ、彼女が恐がらないようにと、そっと体が重ねられる。
アリオスの唇が激しく押し付けられる。
彼はよじるように彼女の唇を押し開き、情熱を注ぎ込んでゆく。
「・・・んっ!!」
彼の舌は最初は優しく、徐々に激しくなり、彼女の口腔内をくまなく愛撫した。
彼女も徐々にそれに答え始め、彼に自分の情熱を注ぎ込んでゆく。
息が出来ないほど激しく、悩ましげなその口づけが、アンジェリークの思考を麻痺させ、体を潤ませてゆく。
その間も、アリオスの手は休むことなく動いていた。
口づけに夢中になり、気がついたときには遅かった。
彼の手は、巧みに彼女のワンピースを脱がしにかかる。
「アリオス…、自分で…」
「ダメだ。俺は俺の手でおまえを綺麗な姿にしたい…」
唇が開放され、抗議の声を上げようとしたのもつかの間、今度は首筋に唇を押し当てられ、強く吸われる。
「…あ…!」
自分との声とは思えない甘い声が漏れ、全身が、寒さとは違う震えが来るのを感じる。
首筋、そして鎖骨に、所有の証である愛の痕をつけ、彼は彼女を自分の色へと染めていく。
息遣いが甘く激しくなる。
だが決してそれは不快ではなかった。
彼に軽く背中に手を回され、少し抱き起こされる。
再びアリオスの官能的な唇が、唇に押し当てられ、アンジェリークは思わず彼の背中に手を回した。
するり。
音がして、ワンピースが脱がされてしまったのが判った。
同時に再びベットに寝かされ、背中にシーツがひんやりと当たる。
「いやあ…」
鳴きそうな声で抗議をし、彼女は自分の顔を両手で覆ってしまった。
「アンジェ、顔を見せてくれ…」
甘く耳元で囁かれ、耳朶を甘噛みされて、ゾクリとする感覚が全身を駆け抜ける。
ようやく彼女が顔から手を離すと、アリオスがじっと見つめているのが見えた。
彼の黄金と翡翠の瞳がこれほど熱っぽく光り、いつもはクールな瞳が熱で焼かれてしまいそうなほど欲望に燃えることを、彼女は初めて知った。
「アリオス…」
頬を上気させて、艶やかに潤んだ瞳を彼に向ける。
「綺麗だぜ、アンジェ」
アリオスは、アンジェリークの胸の膨らみを覆うレースの布の鍵をそっと外し、開放されたそこをなぞる。
「あん…!!」
敏感になっている彼女の肌は、ほんの少し触れられただけでも熱くなる。
アンジェリークは声を上げ、体を震わせた。
ふいにアリオスは体を離し、アンジェリークは、無意識に抗議の視線を彼に送る。
その表情が、アリオスを更に昂まらせる。
「待ってろ。すぐによくしてやる」
フッと艶やかに微笑むと、彼は起き上がって、自分の身に纏うものを脱ぎ捨て始めた。
革のジャンパー、黒いシャツが次々に脱ぎ捨てられる。
革のパンツのベルトのバックルが外される音がした時、羞恥でアンジェリークはキツく目を閉じた。
その様子が可愛らしくて、彼は思わず咽喉を鳴らして笑う。
衣擦れの音がしてすぐに、ベットがきしむのをアンジェリークは感じた。
「アンジェ」
低いくぐもった声に導かれるように目を開けると、視界に広がるのは鍛えぬかれて引き締まった彼の身体----
胸は広くて精悍で、ウェストは引き締まっていて無駄な部分は全くといってなかった。
この胸にしっかりと抱きしめられたい----
その思いを感じ取ったのか、アリオスは、深く慈しみの溢れた不思議な瞳で彼女を見つめ、そのまま彼女を強く抱きしめた。
「アリオス…、大好きっ!!」
自然と彼女の手も彼の背中へと回される。
互いの熱い肌を重ね、その情熱を与え合う。
彼の唇は、再び首筋を辿り、彼女の白いまろやかな肌に、愛の証をつけてゆく。
「あ…、アリオス…!」
彼の唇はやがて、彼の唇を待ちわびばら色に勃った蕾を探り当てた。
「あ…ん!! ふああ!!」
今までにもまして、彼女の声が甘く切なくなる。
アリオスは、蕾を音を立てて吸い、舌で転がし、軽くかんだりし、彼女の奥に眠る淫らな感情を引き出してゆく。
「あ・・あああ!!」
彼女は嬌声を上げ身を捩った。
交互に胸の蕾を丁寧に愛撫され、彼女の身体の奥深くの何かが溶け出してゆく。
中からとろりと蜜が溢れ出し、彼女はその熱さに無意識に膝を擦り付けていた。
胸の膨らみも同時に交互に揉みしだかれ、彼女の全身は粟立つ。
「はあん…、アリオス…」
「ずっとこうしたかった・・・。おまえに触れたかった…」
真摯な響きの甘く低い声で囁かれ、前身を愛され、アンジェリークは思わず身体をのけぞらした。
彼女の白い肌に唇を落としながらも、彼の手はそっと彼女の太腿をなで上げてゆく。
「ん…、あっ!!」
彼の指先に触れられると、魔法のように力が抜け、彼女の膝は僅かに開かれた。
そのまま彼は薄い布を通して彼女に秘所に触れた。
「あ…、ヤダ!! 止めて・・!! あん…!!」
誰にもふれられたことのない場所に、彼の指がかかり、彼女は必死に足をもがくように閉じる。
「大丈夫だ…、すぐによくしてやる」
甘く囁かれると、また体の力が抜けてしまう。
「いいこだ」
薄い布は、すでに蜜が充満しており、彼の手に絡みつく。
布の上から撫でられるだけで、アンジェリークは全身が感覚になり、甘い痺れを感じる。
それはほんの一瞬だった。
彼は素早く彼女の下着を剥ぎ取り、細い足首を掴んで、秘所を彼の目の前に曝した。
「いやっ!! アリオス!! 見ないで!!」
寝台の上で、彼女は何度も首を振り、高い声で泣き叫ぶ。
「綺麗だ…、アンジェ」
いつもよりも更に低い声で呟くと、彼はそこに唇を寄せた。
「いやあ…!! ダメ!! アリオス…!!」
彼は、蜜で充満する部分を丁寧に舌で舐め上げ、宝石を捜してゆく。
部屋には、淫らな水音と、彼女の喘ぎ声が交じり合って響き渡る。
「は・・・、い・・・あ・・・!!」
頭が白くなり痺れてゆくのがアンジェリークには判る。
こんな感覚は初めてだった。
そう、全身が墜ちて行くような感覚。
小刻みに身体が震え、ぞっとするような甘い旋律が身体を駆け巡る。
ざら理とした彼の舌と熱い息が、彼女を高みへと押し上げていった。
やがて、彼の舌は、宝石を探し当て、舌で嬲り、吸い上げ、余すところまで貪り尽くす。
同時に、秘所は彼の指で押し広げられ、あられもない姿になっている。
「アリオス…、私…、変になる…!! ああ!!」
「ああ、なっちまえよ…」
彼はそう云って、最も蜜が溢れる場所に舌を入れ、指を間に挿入して、彼女を翻弄しかき混ぜる。
彼女の腰が無意識に揺れる。
「ああ…!! アリオス…!!」
最初の小刻みな痙攣が始まって、アンジェリークは奈落へと沈んでいった。
「アンジェ…」
甘く囁かれて、アンジェリークはようやく我に帰った。
「アリオス…」
僅かに潤む瞳は、少女のそれではなく艶めいた女のものだ。
身体の芯が熱があるように熱く、疼いている。
一瞬、彼に優しく秘所を撫でられ、甘美な疼きが全身を駆け抜ける。
水尾とが高らかに響き、彼女の中が溶けきったことを表している。
「いいか?」
何がとは、訊かなくても彼女は判る。
不安げな眼差しを彼に向けながらも、彼女はコクリと頷いた。
「大丈夫だ、俺がそばにいる、だから恐くねーだろ?」
その言葉に彼女は彼に体を預けた。
「愛してる」
低く艶やかな声で囁いて、彼は、彼女の最も蜜が溢れる部分に昂まったものをそっとあてがう。
「・・・・・・!!」
それは今までにない衝撃だった。
全身に痛みが突き抜け、足の踏ん張りが利かない。
「あ・・、いやあ…!!」
痛みに涙が滲み、思わず声を上げる。
「アリオス…!! アリオス!! 好き!!」
彼の名前を呼ぶことでしか、痛みに堪える方法なんて彼女にはなかった。
「アンジェ、アンジェ、傍にいる。これからもっと近付いてやる」
「アリオス!!」
彼女の痛みが治まるまで、彼は強く華奢な身体を抱きしめ、甘い口づけをし、そして、胸の頂に唇を寄せて、宥めた。
やがて彼女の身体から力が抜け、彼はそこで一気に、彼女の中へ全身を埋める。
「ああ・・・!!!!」
そこで漏れたのは明らかに嬌声。
彼女には最早痛みよりも悦びが増してきていること彼に伝える。
彼女の身体は、最早痛みではなく、身体の置くから突き上げる歓喜の渦に占領されていた。
もっと、もっと、おまえに近付きたい。おまえの中にこの身を埋め尽くしたい!
もっと、もっと、あなたを深く受け入れたい。私の中であなたを包んであげたい。
「もっと俺を深く受け入れてくれ。俺の総ての衝動を突き動かしてくれ」
「ああ…!!」
彼はゆっくりと動き始めた。
動きそのものがこの上なく優しく、そして官能的だ。
それに導かれるようにして、彼女の腰が揺れて、この上ない至上のゆりかごになる。
「アリオス!! あっ、ああ!!」
彼は彼女の一番感じるところを探りながら自分を擦り付け、肩に、首筋に、胸に唇を落してゆく。
「ああ!! ん!! アリオス!! そこダメ!! 狂ってしまいそう・・・!!」
そこが彼女の感じる部分だと判ると、彼は更にすりつけてゆく。
誰よりも欲しかった最愛の相手を手に出来る瞬間に、アリオスの全身もまた粟立つ。
「アリオス、アリオス!!」
彼が擦り付けるたびに、彼女は彼をキツく締め付けてゆく。
今までにない快楽。
「クッ!!」
彼の息も上がり、彼女の喘ぎ声と交じり合う。
二人の動きが早急になってくる。
「あ!! ああ…!! アリオス!!」
「アンジェリーク!!」
アリオスは自分お思いの総てを彼女に注ぐ。
二人は互いに恍惚の頂点を迎える。
その瞬間、アンジェリークの瞼に雲を貫く稲妻のような光が走り、意識が暗転した。
どれ位眠っていたのかは判らない。
アンジェリークが気がつくと、愛しい男性(ひと)の腕の中で、しっかり抱きしめられていた。
「アリオス…」
二人はどちらからともなく、唇を軽く重ねる。
「無理させちまったんじゃねえか? 初めてのおまえに気を遣ってやれなくて、すまねえな」
「ううん・・、いいの」
彼女は恥ずかしそうに、彼の剥き出しの胸に顔を埋める。
「アリオス…」
「何だ?」
「これからも…、ずっと、ずっと、傍にいてね? もうどこにもいかないでね?」
彼女の可愛い懇願に彼は抱きしめる腕に力を込める。
「ああ。ずっと、おまえといっしょだ」
彼は再び彼女を組み敷く形になり、そのまま激しく口づける。
その後、二人は離れていた時間を埋めるかのように何度も愛し合った。
補佐官が帰ってくるまで-----

コメント
「トロア」スチル話「CLOSE BY YOU」からお約束の如くなだれ込んだ裏でございます。(^^:)
最近、アリオスさんに「裏を書け」とせがまれておりまして、やっとのことで更新しました。
なんと一月ぶり。そのため、今回は大増量、お買い得(笑)
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