LOVE IS HERE TO STAY


 俄かに建物が揺れ、アンジェリークたちに霊震が来たことを伝えていた。

 大丈夫だから・・・。
 すぐに収まるから・・・。

 彼女は手を組んで、大地の揺らぎが収まることを心から祈っていた。
 アルカディアに来てからというもの、この霊震に彼女は悩まされていた。
 何度となく経験していたことのはずなのに、全くなれやしない。
 なれるものでもないのだが。
 いつもなら、すぐに収まる霊震が、今日に限って長く続いた。
 不安に駆られながら、彼女はその身体を抱きしめる。
 本当はとても霊震は苦手だ。
 だが誰もが耐えているのに、自分だけが弱音を吐くことなんて、アンジェリークには出来やしなかった。

 今日のは、とてもひどい・・・

 恐ろしくてたまらない。
 彼女は身体を小刻みに震わせながら、いつしか心の中で叫んでいた。

 アリオス!! 助けて!!!

 やはり、こういったときは、最も愛しい男性の名を呼んでしまう。

 アリオスが、来れる筈なんてないのに・・・。
 こんな状態で・・・、私はなんて我侭なんだろうか・・

 血が滲むほど彼女が唇をぎりっと噛み締めた時だった----
「アンジェ!!」
 血相を変えた愛しい男性のテノール。
 彼女はその声にはっとして振り返る。
「アリオス!!」
 確かに、不安で涙で滲ませた瞳に映るのは、側にいて欲しいと願った愛しい男性だった。
 嬉しさと安堵感が彼女の全身を包み、湧き上がる甘い感覚に彼女は打ち震える。
 彼はバルコニーから彼女の部屋にやってきた。
 もちろん、彼特有の力である”魔導”を使ってである。
 僅かに乱れた、白銀の髪がさらりと音を立てて揺れる。
 彼の心配する心が彼女は手にとるように感じた。
「アリオス・・・!!」
 彼女はその広い胸に、そのまま飛び込んで行く。
 彼はその華奢な体をしっかりと抱きとめ、栗色の髪を優しく撫でつける。
「有難う、来てくれて。本当は、本当は・・・、すごく怖かったの!! 我慢しようと思ってたんだけれど・・・」
 いつもは気丈に振舞う、この意思の強い少女が、彼だけに見せる本当の心、弱み。
 それをひっくるめて、彼は彼女が愛しくてたまらない。
「俺が来たんだから・・・、もう大丈夫だ・・・。心配するな・・・」
 甘いテノールで優しく囁けば、少女はうっとりと聞きほれる。
 ここにいるのは宇宙の女王である彼女ではない。
 ただの少女アンジェリーク。
 アリオスが愛して止まない少女の姿だ。
「・・・ん・・・、アリオスがいるって感じられるから、安心する」
 彼女は彼の胸に顔を埋め、そのままその鼓動に耳を傾けている。
「アンジェ・・・」
 愛しさが心の奥底からこみ上げてくる。
 アリオスは、彼女の顔を上げさせると、屈んで目線の高さをあわせてやり、彼女の小さな顔を大きな手で包んでやる。
「不安は俺が消してやる・・・」
「・・・アリオス・・・」
 最初は宥めるような口付け。
 それが徐々に深くなってゆく。
 角度を変えて優しくされるそれは、いつしか深く奪うようなものへと変わる。
「・・・うんんっ!!」
 彼の唇が、ほんの一瞬はなされ、息をついたのもつかの間。
 今度は顔中に、甘い口付けの雨が降り落とされる。
「うん・・・!」
 甘い声を上げながら、彼女は全身の力が抜け落ちてゆくのを感じていた。
「ふにゃっ」
 すっかり力が抜けてしまって、アリオスにさせられて経つのがやっとのアンジェリークに、彼は甘い微笑を落とす。
「明け方まで・・・、側にいてやるよ・・・」
「あっ、アリオス、ダメよ、レイチェルにばれちゃう・・・んっ!」
 甘い口付けで唇を塞いで、彼女にはこれ以上は言わせない。
「大丈夫だ、あっちも、夢中だからな・・・」
「えっ!?」
 彼女が息を飲むと、彼はニヤリと良くない微笑を浮かべ、そっと隣から漏れる筈のない声を、その不思議な力で、彼女に聞かせた。

『エルンスト〜、霊震どうにかしてよ〜』
『レイチェル・・・。私が何とか出来れば・・・』
『ねえ、今夜は側にいてくれるんでしょ?』
『はい。あなたが望むならば』

 その会話を聞くだけで、アンジェリークは真っ赤になってしまい、上目遣いで彼を見上げる。
「アリオスの悪趣味」
「クッ、何でも言えよ? これで、俺たちが何をしても大丈夫だって、判ったろ?」
「そんな問題じゃ・・・、きゃあ」
 そのまま有無を言わせず彼は彼女を抱き上げ、そのままベットへと連れてゆく。
 天蓋のついた、可愛らしい、彼女らしいベットへと。
 ベットに寝かされて、彼女はシーツがいつになくひんやりしているのを感じる。
 いつもよりも敏感になっている肌。
 久しぶりに過ごす、愛しい男性との夜に、彼女の身体は粟立つ。
 彼に抱かれるのは初めてではない。
 だが、再会してからは初めての夜。
 まるで初めてのような緊張感が彼女を襲った。
「アリオス・・・」
 潤んだ艶やかな瞳が彼を捕らえた。
「----大丈夫だから、な?」
「うん・・・、アリオスはいつも優しかったから・・・。
 だけど・・・、やっぱり、こういう事するのあなたが消えて以来だから・・・、緊張しちゃう・・・」
 ”消える”と言ったところで、彼女は一瞬、声を震わせた。
 可愛い彼女の言葉が、愛しさを増幅させる。
 彼は心からの深い優しさを秘めた眼差しで彼女を見つめると、そっと彼女に、肩肘だけをついて覆い被さる。
「もう、どこにも行かねえからな?」
「うん・・・」
 甘く重ねられる唇。
 お互いの思いを伝え合うように、その不安を消し去るように、二人は互いの舌を絡ませあい、愛撫をしあう。
 愛の儀式。
 彼の唇は彼女の耳たぶをかすった後、ゆっくりと、首筋へと降りてゆく。
 彼女の両腕は彼の存在を確かめるために、しっかりとその精悍な背中に回されている。
「あんっ」
 首筋を強く吸い上げ、所有の後をつければ、自然と甘い声があがってくる。
 彼はその声がもっと聞きたくて、彼女の首筋から鎖骨にかけてをしっかりと愛撫をする。
「アリオス・・・」
 彼に回す彼女の腕の力も徐々に込められてゆく。
 彼女がその愛撫に溺れている間、彼は巧みに彼女の夜具を剥ぎ取ってしまう。
 もちろん眠る前なので、それをはいでしまえば、後はキャミソールとレースの砦しか残らない。
 彼はもちろん、それらも剥ぎ取って、彼女を生まれたままの姿にする。
 闇に浮かんだ透き通るような白い肌は、美しく、彼の理性を吹っ飛ばす。
「おまえはやっぱり、あの時と同じで、綺麗だ・・・」
 甘いテノールで囁かれる言葉に、彼女は身体をぞくりとさせた。
 言葉だけで全身が潤んでしまう。
「アリオス・・・」
「彼女は震える指先で、彼の胸に触れる。
「俺が見たいか?」
 はにかんで僅かに彼女は頷き、彼はふっと優しい笑みをこぼす。
 彼も纏ったものを全て脱ぎ捨て、彼女に再び覆い被さった。
「これで俺も同じだ・・・」
「うん・・・」
 アリオスの息遣いは早くなり、そっと、彼女の柔らかく豊かな白い膨らみを両手で、持ち上げ、ゆっくりと揉み込んで行く。
「ああん!!」
 彼の大きな手に、胸を包まれ愛され、彼女は翻弄されてゆく。
「あっああ!」
 全身に電流が駆け巡り、身体に震えが起きる。
 彼の繊細な指が丸い輪郭を撫で上げ、その先にある桜色に染まった蕾を摘み上げる。余り物甘い疼きに、彼女背中を仰け反らせてしまう。。
「…アリオス…!!」
「もう、我慢できねえ…」
 彼は彼女の胸に顔を埋めると、左右の頂を交互にすっぽりと口に含み、吸い上げ、時には小刻みに舌嬲り、、軽く歯を当てたりして、断続的な刺激を胸に与えてゆく。。
「ああん…!!」
 体の奥深くが熱くなり、官能に打ち震える。
 彼の手が優しく降りてゆき、彼女の柔らかな太腿を何度か撫で上げれば、感覚で覚えていた足が、自然に開かれ、その繊細で長い指への禁断の場所に続く道を開く。
「きゃあっ!!」
 彼だけが触れることを許された、その禁断の花園を、ゆっくりと撫であげれば、彼女からは甘い悲鳴が漏れる。
「アリオス・・・」
 彼の指は巧みに彼女の宝石を探し当て、強弱の刺激を指を滑らせて与え、、彼女を甘い感覚に溺れさせてゆく。
 彼の指をとめどなく流れ出す蜜がねっとりと濡らしていく。
「ああっ!」
 その刺激のあまりもの快感に、彼女は身体を仰け反らせた。
 アリオスはしっとりと濡れた花園の蜜をぬぐう為に、彼女の細い足首を掴み、秘所を自分の目の前に曝させる。
 アンジェリークは羞恥の余り悲鳴を上げ、その身を捩じらせる。
「恥ずかしい…」
「何言ってる。やっぱりおまえは綺麗だ」
 くぐもった声と共と熱いまなざし。
 見つめられるだけで、彼女はそこをさらに潤ませ、蜜を際限なく流してゆく。
「あああっ!」
 何もされていないのに声があがってしまう。
 突然、熱い息を秘所に感じた。
「いやああっ!!」
 彼の唇が、花園の蜜を音を立てて吸い上げ、舌先で刺激を与えてゆく。
 打ち震える宝石は、彼の舌によって育ってゆく。
「あああっ!!」
 宝石強くを吸い上げられ、その周りを舐め上げられて、さらには愛でるように歯が軽く当てられる。
「いやあんっ!!」
 彼女の胎内(なか)から蜜が溢れ出し、シーツを濡らす。
 彼が蜜を舐め上げ、吸い上げるたびに淫らに響く水音。
 さらに、アリオスは指を彼女の胎内(なか)に侵入させ、さらに熱を煽ってゆく。
「いやあん!!」
 彼の指は、一本から二本へと増やされ、水音を響かせながら、何度も出し入れを繰り返し、刺激を与えながらも、彼女の感じる場所を探っていった。
 彼の指がある場所を掠った時に、彼女は全身を震わせ仰け反らせる。
「ここがいいか?」
「そんなこと・・・」
「だったらやめるぜ?」
 その言葉に彼女は何度も首を振った。
 やめないでくれと。
 しかし、指は無常にも引き抜かれる。
「異やああん、止めちゃ、ダメ」
「いやか?」
 意地悪に囁くと、彼は再び彼女の胎内に指を侵入させ、何度も刺激を与えてゆく。
「う…やん。あっああああ!!」
 彼女は激しく身を捩りながら、その愛撫に身を任せ、気を失い、墜ちていった。


 放心したまま、ゆっくりと目を開けると、アリオスが優しく、そして強く抱きしめてくれていた。
 軽く2人の唇が重なり合う。
「愛してる・・・・」
「私も、ずっとそばにいてね?」
「ああ」
 彼女がそっと彼の首に腕を回すと、それを合図に、彼を待ち受け濡れた花園に、彼はゆっくりと熱く昂まったものを、静かに押し当てた。
「あああっ!!」
 久しぶりの侵入に彼女の唇からは悲鳴が上がった。
 それを宥めるように、彼は何度も口づけをしながら、腰を進めてゆく。
「ああっ…!! もっと深くっ!」
 初めてのときとは違い、彼女はすぐに彼を上手く受け入れられるようになり、彼をさらに求めてゆく。
 腰がさらに進められる。
「アンジェ・・・!」
「あああっ!」
 彼の根元まで彼女は受け入れ、彼をむさぼり尽くすように締め付けて放さない。
「愛してる…!!」
 その締め付けに、目眩がしそうなくらいの快楽を覚えながら、アリオスは彼女の振動を与え始める。
 その動きに合わせて、彼女の中が彼をしっかりと締め付け、怪しく腰を揺らす。
 その動きはぴたりと絡み合い、更なる快楽を呼ぶ。
 淫らに響く水音。
 二人の息は速く荒くなり、楽編へと向かう。
「もっと、もっと、声を聞かせてくれ? 隣に聞こえて、刺激するまで。
もう聞こえてるかも知れないがな?」
「いやああんっ!!」
 その院わいな囁きに、彼女はさらに感じてしまい、彼を締め付ける。
「クッ!」
「あああああっ!!」
 動くたびに、彼女から漏れるのは明らかの嬌声。
 甘く、痺れるような感覚に溺れながら、彼を夢中で締め付け、絡み取ってゆく。
「…アリオス…、アリオス、愛してる…!!」
 彼の熱を身体で感じ、彼女は否が応でも上り詰めてゆく。。
 彼の動きが早急になってくる。
 それと同時に彼女の全身が粟立ち、甘い旋律に全身が呼吸する。
 もう、彼のこと以外は考えられない。
「アンジェリーク…!!」
 彼の息も早くなり、互いに最高の場所へと昇り詰めて行く。
「あっああああああ!!」
 彼が熱を発したのと同時に、二人は頂点に昇りつめ、アンジェリークは快楽に意識を手放した----


 目をさめれば、暗闇の中、彼に抱きしめられているのが判る。
「アンジェ・・・」
「アリオス、朝まで側にいて?」
 彼女もまた彼にしっかりと抱きつく。
「ああ。明け方までならな。親友とやらに見つかっても困るだろう?」
「アリオス、帰るときは、ちゃんと、私を起こしてね? 黙っていなくなるのはいやだから・・・、ね・・・?」
「ああ、判った」
 二人はそのまま抱き合い、そのまま眠りに落ちる。

 その後、日の曜日ごとに、彼がこの場所で泊まっていたことは、二人だけの秘密である----


コメント

「霊震編」別名「夜這い編」(笑)
本格的な「夜這いもの」もそのうちに書きたいです(^^:)