In To The Movie


「ねえ、起きて、アリオス!」
「何だよ・・・、俺もおまえも昨日は燃えて遅かっただろ?」
 まだ裸のままベッドに沈んでいる恋人に、アンジェリークは何度も体を揺らした。
「今日映画を見に行く約束してたじゃない!」
 余りに執拗に恋人がねだるものだから、アリオスは溜め息を吐くと、取りあえず上半身だけ身体を起こした。
 ベッドの前にいる彼女は既に身支度を整えている。
「一服する時間と、シャワーを浴びる時間はくれ・・・」
「うん」
 ベッドサイドにある煙草を手にとり、口に銜えて火を付ける。
 艶やかに乱れた前髪がとても魅惑的だ。
「何、見に行くんだ?」
「今やってる”嵐と共に去りぬ”よ! 大ロマンス!」
 一瞬、げっと思ったのだが、アンジェリークのうっとりとした表情に、アリオスは見ないわけにはいかないと思う。
「オッケ、シャワー浴びてくる」
「うん」
 返事をしたのも束の間、アリオスは全裸でベッドから出た。
「きゃあ!」
 真っ赤になって後ろを向く彼女が可愛い。
 思わず、からかいたくなる。
「何だ? 俺の身体なら見慣れているだろう? アンジェ」
「もう、しらない!」
 本当に茹で蛸のように表情を真っ赤にする彼女が、この上なく可愛い。
 そっと耳朶にキスして笑った後、彼はシャワールームに消えた。
 その姿を見つめながら、アンジェリークは岸された部分の手をもってゆく。
「バカ・・・」
 その言葉の響きは、どこか幸せに満ちたものだった。


 アリオスの身支度はすぐ済み、ふたりは出来たばかりの、郊外にある映画館に車で向かった。
 映画館に着くと、チケットとジュースを買う。
「早く! 早く!」
 嬉しそうにする恋人の後に着いて行き、アリオスはその可愛らしさに目を細める。

 どんな映画・・・。

 アリオスは看板を見て目を見張る。
 性描写が過激なため、R−15とさせていただきます----
 その文字にアリオスはニヤリとした。

 アンジェはしらねえだろうな、恐らく。まあ文芸大作だし。

 アリオスは、アンジェリークの細い腰を抱き寄せて、上映ホールに入った。
 入るなり、カップルばかりが目に付く。
「何だかカップル多くねえか?」
「うん。平日だから少ないけれど、多いわね。あ、レイチェルがね、いい席があるからそこに座りなさいって」
 きょろきょろとして、アンジェリークは席を探した。
「ここよ!」
 その席は、ゆったりとしていて、しかも、端にもかかわらずスクリーンも見え、死角でふたりっきりになれる好位置だ。
「なあアンジェ、この映画ってレイチェルがいいって言ったから、見たかったのか?」
「うん! エルンストさんと一緒に見に行って、すごくロマンティックだったんだって! で、私もアリオスと一緒に見たかったから・・・」
 はにかんで話す彼女が可愛くて、アリオスはフッと優しい微笑みをかけてやった。

  ロマンティックって、アンジェが思っているやつとは違うんじゃねえか・・・。

 アリオスの勘はこういう時にはよく働くのである。
 ふたりが絶好の場所で座ってしばらくしてから、館内は暗くなり、お約束のコマーシャルから入った。
 地域性豊かなコマーシャルでひとしきり楽しんだ後、いよいよ映画が始まった。
 優雅に船旅を楽しんでいるヒロインと、そのボディガードであるヒーロー。
 二人の乗る船は、お約束どおり嵐に会い、これまたお約束通りに無人島に流される。
 そこの砂浜で、ヒロインはヒーローに犯される。
 その後はお約束通りに、二人は恋に落ち、毎日のように愛し合う。
 映画館にいるカップルもその雰囲気に呑まれて、身体をすりよせあってる。
 当然、アリオスとアンジェリークもである。
「アンジェ・・・」
「やん、アリオス・・・」
 耳を彼に噛まれて、彼女の身体がふるりと揺れる。
「今夜も泊まってけよ。うちに帰ったら、あの体位試そうぜ?」
「やだ、もう」
 恥ずかしそうにしていても、どこか華やぎのある色気をかもし出す彼女に、アリオスはもうたまらなくなる。

 ビバレイチェル!!!

 今、心にはそれしか浮かばない。
 アリオスはアンジェリークが今日巻きスカートできたのを感謝しながら、その隙間から手を入れる。
「や・・・あ…ん…」
 押し殺したような甘い声を囁く彼女に、さらに欲望を覚えながら、アリオスはゆっくりと太腿を撫で上げる。
 自然と足がゆっくりと開かれる。
 彼女の心も、やはり映画で触発されてか、彼に抱かれたい思いが高まっていて、身体が火照ってくるのを感じていた。
「ああ…」
 つっと下着の上から秘所を撫でられれば、ゾクリとする感覚が前身を駆け抜ける。
「…ん…アリオス…」
 そのまま彼に体を預けて、アンジェリークは漏れてしまう甘い声を必死に押さえようと努力する。
 美容の仕事をしているせいか、アリオスの指先はとても繊細に動いてくる。
 身震いのような甘い感覚に、アンジェリークは息を乱し始める。
「アンジェ…、今日は巻きスカートをおまえがはいていて助かったぜ?」
「ん…レイチェルが…、スリットの入ったスカートか…、あっ、まきスカートにするといいと言ってたから…」

 ビバビバ!!!!! レイチェル!!!!

 話している間も、アンジェリークを知り尽くしたアリオスの指は、巧みに動きつづけた。
「ああ…」
 彼女を抱きしめるようにして、アリオスは巧みにもアンジェリークのシャツの中に手を入れて、豊かになり始めた胸を優しく揉みこんだ。
 あまりにもの甘い感覚に、アンジェリークは何度もシートに身体をぶつける。
 きゅっと、すっかり勃ちあがった薔薇色の蕾を摘まめば、アリオスによって開花された彼女の感覚が、さらに研ぎ澄まされる。
「はあああ、アリオス…」
 涙を浮かべながら、アンジェリークは艶やかな瞳で彼を見つめた。
「アンジェ…」
 手を胸から離すと、再びスカートの中に侵入させて、再び布の上から秘所を弄る。
「随分濡れてきたな・・・」
「ああん・・・・っ!」
 すっと布を引き下ろして、それを丸めてバックの中に突っ込む。
 そして、濡れそぼった熱い場所を彼はじかで触ってくる。
 宝石に刺激を与えれば、彼女の身体はますます蜜を滴り落とす。
 声を出したいが出せない。
 感じるあまりに、アンジェリークの息遣いはさらに早くなった。
「ああ・・ああっ!」
 彼が指を二本入れて、入り口を解しはじめれば、彼女の腰が淫らにも揺れ始める。
 くちゅくちゅと淫らな水音Fが響いているが、映画の音響で聴こえない。
「アリオス・・、お願い…、もうダメ…、車の中でもどこでもいいから…」
 艶やかな熱い言葉に、アリオスはさらに自分を高まらせて、弾ける寸前まで行く。
「判った…。俺もこんなだ…」
 アリオスは高まった部分に彼女の小さな手を握らせ、自分も同じだということを感じさせた。
「あん…」
「移動するぞ? すぐに気持ちよくしてやるから…」
「…うん…」
 はにかんだ彼女に軽くキスをして、アリオスは体を支えるようにして、ロビーに出た。
 そのまま彼女と二人、女子トイレの個室の中に入った。
 一週間前にオープンしたばかりのせいか、とても綺麗なトイレで、しかも正装が終ったばかりだった。
 個室に入るなり、トイレのふたをして、アリオスはそこに座ると、ズボンを腰まで下ろし、彼女をその上にまたぐように座らせる。
「行くぜ…」
「うん」
 彼女の腰が少しだけ浮かされ、蜜を流している秘所に、熱く高まったものを、彼は一気に挿入した。
「んんっ!!!!!」
 すぐに彼女の唇を塞ぐと、ゆっくりと腰を動かし始めた。
 淫らに揺れるそれと、塞ぐ唇の舌の動きは同じで、彼女を魅了してゆく。
「んんんっ!!」
 何度も彼女の感じる場所に自分を擦り付けて放さない。
 互いにしっかりと腕を回して、さらに突き上げるスピードは高まってゆく。
「んんっ!!!」
 小刻みに体が痙攣し始める。
 そのまま一気に絶頂を迎える。
 アリオスが熱い思いを放ったとき、二人は最高の世界へと旅立った----


 その後の二人はそそくさとえ有為が館に戻り、映画を取りあえずは見た後、家路についた。
 だがこの一度日のついた体はどうしようもなくて、この後車の中で、さらにお風呂に拝りんながらと、映画さながらニ何度となく愛し合った。
 アリオスの心は、レイチェルへの感謝がいっぱいだと共に、あの堅物とも子のようにしたのかと思うと、妙に深いものを感じるのであった----- 

コメント

15000番のキリ番を踏まれたmaki様のリクエストで、
映画館で…ベッドシーンを見てサカる二人(決めはトイレ)です。
アリオスがまた野獣というより、ふたり野生に帰る感じで・・・。
すみません…。
修行不足…。