「うわあ! 何て素敵なの!!」 宿につき、障子窓を開けるなり、アンジェリークは感嘆の声を上げた。 外に広がるのは、薄紅色の桜。 夕日に照らされ、今は紅に染まり、きらきらと輝いている。 「おまえ、こういうの好きだろ?」 自然の美しさに魅せられている彼女の華奢な身体を、アリオスはそっと背後から抱きしめ、同じ目線で桜を見つめる。 「うん! アリオスは私のことなんでも判るのね…」 はにかみながら呟く彼女に、彼は優しく微笑む。 「そりゃあそうだろう? 小さい頃からずっとおまえを見てきたんだから・・・」 「うん…」 そっと彼の手に自分の手を重ねて、彼女は彼の身体に自分を体を預けた。 「----だが…、おまえの方が…もっと綺麗だ」 「え!?」 甘く艶やかに囁かれて、彼女は真赤になって彼を振り返って見上げる。 「クッ、バーカ、冗談だ」 彼が良くない微笑を浮かべ、からかうように笑うのがなんだか癪に障って、彼女は頬を膨らませた。 「もう! からかってばかり、知らないっ!」 彼の腕から逃れようと、彼女は身体を捩ったが、その腕の力が強くて、余計に抱きすくめられる。 「アリオスっ、離して!」 「ダメだ! おまえは俺のもんだからな」 「・・・んっ!!」 行った矢先、彼は深い口づけを彼女に送った。 彼女の唇をたっぷりと味わった後、彼はそっと彼女空腕を放す。 「続きは後な。先に温泉でひとっぷろ浴びてこよう。折角来たんだし。 ----そうそう、メシ食ったらいいもん見せてやるから楽しみにしとけよ?」 愛しげに栗色の髪を一房とって、彼はそこに口づける。 「ねえ、いいものって何なの?」 彼女の青緑の瞳が興味深げに輝き、彼は可愛らしさのあまり苦笑した。 「まだ、秘密!」 「もう、ケチ!」 拗ねてるのは仕草だけで、その眼差しは幸せそうに微笑んでいた。 「ほら、行くぜ? 大浴場」 肩をぽんと叩かれて、彼女は頷く。 二人で、浴衣などのお風呂道具を持って、温泉へと向かう。 二人は、入り口で、夫々の湯に別れることになった。 「じゃあ、後でな」 「うん…。あ、アリオス?」 行きかけた彼を、彼女は小さな声を掛ける。 「何だ?」 「今日…、有難う…」 嬉しそうに、少し照れの入った眼差しで、アンジェリークはアリオスを見つめた。 「バカ…、俺のほうこそ感謝してるんだぜ? 結婚したばかりだっていうのに、仕事が忙しくって、どこへ連れていってやれなかった俺を、おまえは怒らずにいてくれたんだからな? 後のいいものも、楽しみにしてろよ?」 「…うん…」 二人は見詰め合って、ふふと微笑み合うと、夫々の温泉へと入っていった。----- 「あ〜あ、今日は最高だったわ! お湯も良かったし、ご飯も凄く美味しかった!」 仲居に敷いて貰った布団の上を、アンジェリークはまるで子供のように寝転がる。 「おい、じっとしてろ? 布団をくっつけたいからな」 「あ…」 彼女は布団からそっと離れ、恥ずかしそうにアリオスの様子を見つめた。 仲居が敷いてくれた二組の布団は、少し間が開いていた。 アリオスは、それをあたりまえのようにくっつけ、さらに一組の布団に枕を二つとも置く。 「これでよし。自然な感じだろ?」 「…も…、バカ…」 「新婚はこれでいいの!」 彼に言いくるめられ、彼女もそうかとばかりに頷いて見せた。 「さてと、お楽しみのいいものだ…」 「きゃっ!!」 突然彼に抱き上げられて、彼女は何がなんだか判らずにいる。 「ねえ、アリオス?」 「いいから、俺に掴まってろ?」 「うん…」 これから何が起こるか期待に胸を膨らませて、彼女は彼の首に腕を回した。 アリオスは彼女を抱き上げたまま、部屋の奥にある小さなドアを潜り、その奥にあるもう一枚の木の引き戸を開けた。 「うわあ!」 そこには、美しい満月に照らされた神々しいまで輝く桜を見ることが出来る、小さな露天風呂があった。 彼女は、その幻想さ故に、感嘆の声を上げる。 「アリオス…、これは…」 「綺麗だろ? ここは離れだから周りに誰もいねえから、ゆっくりと風呂に入ることが出来るぜ? 景色も最高だし、俺はここにおまえを連れてきたかった…。ずっと前から…」 彼の優しさが、何よりも嬉しくて仕方がない。 彼の艶やかな半獣身のような姿も、甘いテノールも、どれも彼女の心に深く降りてくる。 「…有難う…」 彼女は感激して、もうそれ以上の言葉をいえなくて、そっと涙ぐむ。 「バカ、感激するのは早いだろ?」 彼は艶やかに言うと、そのまま彼女を腕から降ろした。 「一緒に桜を見ようぜ?」 「あ・・・っ!」 深く唇を重ねられ、彼女は全身に熱い思いが駆け巡るのを感じる。 彼の舌は、彼女の舌や口腔内をくまなく情熱的に愛撫する。 「はあん」 漏れる甘い吐息。 その間も、彼の繊細で大きな手は、彼女の身体を弄る。 白い太腿をゆっくりと撫で、彼女は全身を小刻みに震わせる。 唇を離すと、彼は彼女の浴衣の紐に手を掛けた。 「やあん」 そのまま紐がするりと取れるのと同時に、彼女の身体も回転し、あっという間に浴衣を脱がされてしまう。 「色っぽいぜ? アンジェ」 「アリオス…」 「一緒に温泉に入ろう」 情熱的な異色の瞳で見つめられ、アンジェリークはコクリとしか頷けなかった。 彼が生まれたままの姿になった後、彼女も彼にそうされて、そのまま再び抱き上げられる。 「あっ…」 何もされていないのに、それだけで全身に甘い疼きが走り抜け、彼女は思わず声を上げた。 「おまえと見る桜は、きっと最高だろうな…」 彼はそのまま彼女を抱き上げたまま、石造りの小さな露天風呂に入り、自分が座った後、彼女を膝の上に乗せ、背後から抱きしめる 熱い肌と肌が触れ合い、彼女に彼の存在を否が応でも意識させた。 心地よい温めのお湯と、彼の熱い肌、そしてひんやりとした夜風が、彼女を心地よくさせる。 抱きしめてくれているアリオスの手に自分の手を重ね、彼女は彼にもたれながら、うっとりと夜桜に見惚れる。 「ね、アリオス?」 「何だ?」 抱きしめる腕に力を込めて、彼は優しく答えた。 「本当に綺麗だわ…。昔の人もよく言ったものだわ・・・。”満月の夜、桜の下で死にたい”って」 「西行法師か…」 「うん…。アリオス、今日は本当に有難う・・・。こんな素敵な旅行をプレゼントしてくれて…」 彼女は、少しだけ身体を捩って、彼に艶やかな微笑を浮かべる。 その微笑に答えるように、彼もフッと深く微笑む。 「結婚して、最初の旅行が近場で申し訳ねえと思ってる。 この埋め合わせは必ずするからな?」 「ううん…、売れっ子の弁護士のあなただもん、そんなこと気にしないでくれていいの。 だって、今日の旅行だって、私、最高に幸せなんだもん…」 「アンジェ…」 彼はもう我慢できなかった。 暖かで、艶やかな、すべすべとした彼女の白い肌。 豊かな胸と、華奢な肢体。 それらと彼女の優しさが、彼をどうしようもなく高めてゆく。 「あっ! アリオス!!」 「愛してる…」 くぐもった声で囁きながら、彼は彼女の豊かな白い胸を、揉みしだき始めた。 「・・ん…」 アンジェリークは声を押し殺して、尼やかなと息だけを漏らす。 「…アンジェ、声、我慢してるのか?」 彼は彼女の白い首筋に口づけながら、ぴんと張り詰めた薔薇色の蕾を、ついっと摘まみ、彼女は身体を仰け反らせた。 「…あっ、だって…、聴こえたら・・・、んっ!!」 「ここは離れだ、聴こえない…」 少し息遣いを荒くしながら囁き、彼は彼女の胸を揉みこんでゆく。 「あああんっ!」 彼の言葉に安心しながら、彼女は甘い嬌声を上げた。 「俺と風呂はいるのも大分となれてきただろう?」 「ああ、んん、」 アリオスは、そっと彼女の太腿に手を伸ばす。 すると、待ち侘びたかのように、彼女の足はゆっくりと開かれ、彼の指を受け入れた。 「ああっ!!」 指が繊細な秘所に到達すると、彼女の声はさらに高くなった。 「やああん!」 彼の指は、彼女の花びらを開いて、蜜で濡れ始めたそこの花芯を探り当て、刺激する。 「あああっ! アリオスっ!」 痺れるような刺激に、彼の指に彼女は絡みつく。 彼の指はそっと、蜜の泉の中に入り込む、何度も壁に擦りつけて、彼女を官能に翻弄する。 「ああああっ!!」 彼女を知り尽くした指によって、そのまま嬌声と共に、ぐったりと彼の身体に身を静めた。 「アンジェ…」 艶やかに囁き、彼は達したばかりの彼女の身体を自分と向かい合わせにさせて、ゆっくりと彼女の胎内へと侵入し始めた。 「アリオス… !!!」 彼が侵入する度に熱いお湯が揺れる。 「はああんん!!」 彼女のそこは、根元まですっぽりと彼を包み込み、締め付ける。 「ああっ!!」 彼は彼女と繋がっている部分の上をさらに愛撫をして彼女を高まらせてゆく。 「やああああっ!」 彼は激しく彼女を何度も突き上げ、動き始める。 突き上げられる心地よさが、彼女の身体を跳ね上げさせて、腰を絡めて行く。 「あああっ!!」 彼女の全身が快楽に震え、脳裏がぼんやりとかすみ始める。 「あああっ!! アリオスっ!!」 彼にしがみつきながら、彼女はしっかりときつく彼を締め付ける。 その締め付けは、何時の彼を天国へと誘ってゆく。 アンジェリークは、自分の総てで彼を受け入れたいと思う。 アリオスの身体が熱くなり、一層激しくなる彼の動きに、とうとう彼女は絶頂へと導かれる。 「ああああああっ!!」 熱く火照った身体をしならせて、快楽に焼かれながら震えると、彼は最後の力を込めて、彼女の際億を突き上げる。 「アンジェ!!」 「アリオスっ!!!」 彼の熱を感じた瞬間、彼女の脳裏は真っ白になって、その場で崩れ落ちた。 二人は、露天風呂を出て、そのまま、狭い布団の中を二人で潜り込んだ。 アリオスが、甘い痺れで動けない彼女を抱き運んだのである。 「アンジェ、愛してる」 「私も」 彼女は火照った身体を彼に抱きしめられながら、甘い余韻に浸っていた。 「よかったか?」 「…もう…」 彼女は恥ずかしくなって、そのまま彼の剥き出しの胸に顔を埋める。 「判ってるだろうな? 今夜は寝かさないこと?」 「うん・・・。 私…、アリオスの赤ちゃん欲しいから、もっと…、愛してね?」 「バカ…」 嬉しくて、彼もまた彼女の華奢な身体を抱きすくめる。 新婚さんの夜は、こうして甘くふけていった。 彼女の願いは、間もなくかなえられる----- |
