アルカディアに帰国して三ヶ月。
 アンジェリークは公務に忙しい日々を送っていた。
 アルカディア王室の一員として、また時期女王として、こなさなければならないことが山ほどあった。
 しかしそれも、傍らにいる愛しい男性(ひと)が支えてくれている。
 彼の名は、アルヴィース公、レヴィアス・ラグナ・アルヴィース。
 だが彼女は、彼を本名では呼ばない。
 彼がアメリカにいた時の名前を、愛情たっぷりに呼ぶ。
 『アリオス』と----
 生まれながらの婚約者である彼を、心から愛することが出来、またこんな素敵な男性(ひと)でよかったと、彼女は心から思う。
 帰国してからはずっと、公式行事には彼が同行してくれていた。
 今も、ヨーロッパの小国モナコ公国へと公式訪問できていた。
 もちろん、アリオスも同行している。
 彼とは三ヵ月後には結婚する予定になっているせいか、幸せに輝いている、アンジェリークだった。


 今日最後の訪問地であるヨットハーバーで、アンジェリークは、挨拶の言葉を述べるために壇上に立ったところだった。
 もちろん、傍には護るようにアリオスが控えている。
「----本日は、このような美しい場所に…」
 彼女が言いかけた、その時だった。
「危ない!!」
 咄嗟にアリオスが彼女に飛び掛り、抱きかかえるようにして横に飛ぶ。
 同時に銃声が鳴り響き、壇上に飾られていた花瓶が激しい音を立てて割れた。
「王室、反対!!」
 銃を持った男が叫びながらトリガーを引こうとしている。
 アリオスはすぐさまスーツから銃を抜くと、男の手に目掛けてトリガーを引いた----
「うわあああ!!」
 男が、銃を飛ばされ、血を流して蹲っているうちに、SPたちが駆けつけ、取り押さえる。
「アンジェ! アンジェ!!」
 腕の中にいる彼女に声をかけ、その様子を彼は確かめた。
「…アリオス…」
 恐怖に全身を震わせ、彼女は震える唇でやっとのことで彼の名を呟く。
 彼は思う。
 母親を目の前で殺され、自らも危険に遭ってきたのだ。
 恐ろしくない方はおかしい。
 彼女を宥めるように、包むように抱きしめ、安心させようと、アリオスは勤めた。
「アリオス…」
 まるでうわ言にように彼女は呟くと、ふっとそのまま意識を手放した。
「アンジェ…」
 甘く囁くと、彼はそのまま彼女を抱きかかえ、車へと連れて行く。
「オスカー公爵、後は任せた」
「はい」
 オスカーに事後処理を委ねて、彼は彼女をホテルへと連れて帰ったのだった。

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「…アリオス…!! 助けて…」
「大丈夫だ、俺はここにいる…」
 ベッドの上で悪夢にうなされ、何度も彼の名を苦しげに呟く少女の手を、青年は何度となく握り返してやった。
 最初激しかった呼吸も、徐々に落ち着いたものになってくる。
 暫くして、少女はようやく瞳を見開いた。
 最初に目に飛び込んできたのは、銀の髪を持つ愛しい男性(ひと)----
 その姿に、彼女は安心する。
「----アリオス…、ここは…、行事は…」
「ああ。ホテルだ。今日の行事は中止になった。今は、休むことだけ考えろ」
 心地のよいテノールに安心しながら、彼女はゆっくりと頷く。
「今、何時?」
「七時だ」
「そう…」
 言って、彼女は縋るような不安げな視線で彼を捉え、彼の手をしっかりと握り締めた。。
 幼子そのものの彼女に、彼はフッと深い笑みを瞳に滲ませる。
「気分転換に、夜風でも浴びるか?」
「うん…」
 アリオスは、華奢なアンジェリークの背中に手を当ててベットから起こすと、そのまま抱き上げ、バルコニーへと連れて行った。
「きもちいい!!」
 栗色の髪を、爽やかな海からの夜風が撫でてくれ、彼女はうっとりと声を上げる。
 地中海の爽やかな風が、二人を包み、大きなフランス窓にかかったカーテンが優しく揺れていた。
「気分転換になったか?」
「うん…、ありがと」
 彼の気遣いが、優しさが嬉しくて、彼女はその精悍な胸にそっと頬を寄せる。
 ネクタイを取った少し乱れたカッターシャツ姿の彼もとても素敵だと彼女は思った。
「風邪をひく。ベットに戻るぞ?」
「うん」
 そのまま彼に運ばれて、彼女は再びベットに寝かされた。
「女官を呼んでくるからな。おまえが起きたこと言ってくる」
 行こうとして、アリオスはアンジェリークにシャツの袖を掴まれていることに気付く。
「おい!?」
「…行かないで…、行っちゃ嫌だ…」
 潤んだ瞳で見つめられ、涙声で言われてしまうと、彼は一溜りもない。

 コイツにとことん甘いよな…。俺は…

 自分自身に苦笑しながら、彼は軽き口づけを彼女の唇に落した。
「解った。傍にいてやる」
 途端にアンジェリークの顔は晴れやかになり、彼の首に腕を回した。
「----お願い…、恐いの…。夜が来るのが恐いの…!! 傍にいて、今夜はずっと傍にいて!」
 彼の首筋に顔を埋めたまま少女は懇願し、強くしがみ付く。
「おまえ、自分が何言ってるのか判ってんのか!?」
 彼の魅力的で、危険な囁きに、彼女は首筋まで赤くして頷く。
「----アリオスともっと近付きたいの…、あなたがすぐ傍にいれば・…、今日の事だって忘れられる…」
「アンジェ…」
 彼は甘き囁くと、彼女にもうそれ以上のことは言わせなかった。
 彼だけの天使の薔薇の蕾のような唇に、深く口づける。
「…うん…!!」
 うっすらと開いた唇に、舌を侵入させ、歯列を割り、口腔内をくまなく愛してゆく。
 やがて、彼女の舌が上手く彼のそれと絡み合い、お互いの想いを伝えながら、口づけは深く、激しくなっていった。
 角度を変えて、何度も何度も口づけられ、唇を強く吸われて、アンジェリークは、もう何も考えられなくんるほど、思考が麻痺してゆく。
 ようやく唇が離されたときには、彼女のそれはぷっくりと晴れ上がり、大きな紺碧の瞳は艶やかに潤んでいた。
 その瞳を見てしまった以上、もうアリオスには止める事なんて出来やしなかった。
「----今日のことは俺が消してやる」
「うん…、消し去って!!」
 その言葉が、彼の理性を吹き飛ばした。
 そのまま彼は、彼女の夜着に手をかけながら、首筋に体温より少し冷たい唇を這わせ、強く吸い、所有の後をつけてゆく。
「…あっ!!」
 ゾクリと全身を駆け抜ける甘い疼きに、アンジェリークは声を上げ、身を捩らせる。
 その間も彼の手は巧みに夜着を脱がしてゆく。彼女の背中を少し浮かせ、剥ぎと取ってしまうと、今度は豊かな胸の鍵に指が滑る。
「いやっ!!」
 隠そうとした手を、彼は優しく掴んで、胸を広げさせた。
「アリオス…」
 抗議の声が甘く彼女の口から漏れる。
「ダメだ…。おまえのは最高に綺麗だと解ってるからな。見せてくれ」
 彼が手をかけると、フロントホックであるそれは簡単に解かれ、白い、豊かな少女のふくらみがふるりと揺れた。
「思った通り、最高に綺麗だ…」
「あっああ!!」
 彼の大きな手に、まるで慈しむかのように双丘を円を描くように揉み込まれ、包まれ、翻弄されてゆく。
「いやあん!」
 甘い旋律が全身に駆け巡り、それこそ寒くないのに震えが起きる。
 彼の繊細な指が頂を摘んだ時、彼女は余り物甘い疼きに背中を浮かせてしまった。
「…アリオス…!!」
「おまえと共に敵に立ち向かったときから、理性は限界だった…」
 彼は彼女の胸に顔を埋めると、左右の頂を交互に口に含み、吸い上げ、なめあげ、軽く歯を当てたりして、彼女を翻弄してゆく。
 窓から入る夜風が、彼が愛して濡れた頂を優しく撫で、刺激を与える。
「ああん…!!」
 体の芯が熱くなり、未知の感覚が彼女を覆う。
 彼の手が優しく降りてゆき、彼女の柔らかな太腿をなで上げると、自然に足が開かれ、その繊細な指が禁断の場所に侵入する。
「きゃあっ!!」
 誰にもふれられたことのない花園を、彼に撫でられ、彼女は思わず甘い悲鳴を漏らした。
 彼の指は巧みに彼女の花芯を探し当てると、刺激を与えるように指を滑らせ、彼女を甘い官能の世界へと連れて行く。
「ああっ!」
 その刺激の強さに、彼女は身体を仰け反らせた。
 その余韻が冷め止まぬ中、アリオスに細い足首をつかまれ、アンジェリークは羞恥の余り悲鳴を上げ、その身を捩じらせる。
「恥ずかしい…」
「恥ずかしくなんかない…。おまえは最高に綺麗だ。誰よりも綺麗だ」
 くぐもった声と共に、熱い息を秘所に感じた。
「いやああっ!!」
 彼の舌が、蜜で溢れる花園を弄り、刺激を与えてゆく。
「あああっ!!」
 花芯を吸い上げられ、舐め上げられて、さらには愛でるように歯が軽く当てられる。
「いやあんっ!!」
 彼女の胎内(なか)から蜜が溢れ出し、シーツを濡らす。
 彼が蜜を舐め上げるたびに淫らに響く水音。
 さらに、アリオスは指を彼女の胎内(なか)に侵入させてゆく。
「おまえの中で洪水が起こってるぞ…」
「いやあん!!」
 囁かれて、アンジェリークは前身を桜色に染める。
 彼の指は、水音を響かせながら、何度も出し入れを繰り返し、彼女の感じる場所を探っていった。
 彼の指がある場所を掠った時に、彼女は全身を震わせ仰け反らせる。
「ここがいいか?」
 余りに恥ずかしい囁きに、彼女は目をきつく閉じ、僅かに頷いた。
 それを合図とばかりに彼は何度も刺激を与えてゆく。
 彼を受け入れる前に、彼女の負担を出来るだけなくしたかった。入り口を溶けきらせたかった。
「う…やん。あっああああ!!」
 彼女は激しく身を捩りながら、官能の淵へと墜ちていった。


 放心したまま、ゆっくりと目を開けると、アリオスがこの上なく優しく抱きしめてくれていた。
 軽く2人の唇が重なり合う。
「愛してる・・・。今日から俺たちは一つになるんだ・…」
「うん」
 それが何の意味かはわかる。
 彼女はそっと彼の首に腕を回すと、怪しく濡れ、溶けきった入り口に、彼はゆっくりと熱く昂まったものを、静かに押し当てた。
「いやああ!!」
 初めての侵入に彼女の唇からは悲鳴が上がった。
 それを宥めるように、悲鳴を吸い込むように、彼は何度も口づけをしながら、腰を進めてゆく。
「…!!」
 苦痛に歪められる、彼女の顔。
「アンジェ」
 それを取り除くために、彼は護るように彼女を抱きしめ、あやしてゆく。
 やがて、彼の根元まで彼女は受け入れ、何度もされた口づけと優しい囁きで、彼女の体から緊張が消えてゆく。
「愛してる…」
 彼はこの上なく優しく動き始めた。
 その動きに合わせて、彼女の中が彼をしっかりと締め付け、離さない。
「あああああっ!!」
 動くたびに、彼女から漏れるのは明らかの嬌声。
 甘く、痺れるような感覚に溺れながら、彼を夢中で締め付けてゆく。
「…アリオス…、アリオス、大好き…!!」
 最も愛しい人と結ばれる悦び。
 彼の熱を身体で感じ、彼女は否が応でも高まってゆく。
 彼の動きが早急になってくる。
 それと同時に彼女の全身が粟立ち、甘い旋律に全身が痺れる。
 もう、彼のこと以外は考えられない。
「アンジェリーク…!!」
 彼の息も早くなり、互いに"天国"へと登りつめてゆく。
「あっああああああ!!」
 彼が熱を発したのと同時に、二人は頂点に登りつめ、アンジェリークは余り物快楽に意識を手放した----


 夜風が優しく頬をなで、温かな腕に護られているのがわかる。
「アリオス…」
 ゆっくりと目を開け、彼の不思議な瞳をうっとりと見つめる。
「----有難う…、もう怖くない…、アリオスがいるから…。あなたと結ばれたから…」
 アリオスは優しく微笑み、そっと彼女の額に口づける。
「----ずっと、護ってやるからな。何時でも傍にいてやるから…」
「うん…、ずっと傍にいてね…。あなたなしじゃもうダメ…」
「俺もだ」
 再び唇が重ねられる。
 夜風が2人を揺りかごのように包み込み、見守っている。
 恋人たちの夜はまだ始まったばかり----  

I Won't Last A Day Without You

After DESPERADO


















































































































































































































































コメント
9696番のキリ番を踏まれた空山樹様のリクエストで「DESPERADO」の裏です。
事件を解決して、もうすぐ結婚と言うところで、アンジェちゃんのお誘いで(笑)ようやく…です。
前半部分はあくもでハードボイルドということにこだわって見ました。
空山様のリクエスト通りだといいのですが・・・。
久しぶりに、私にしては「ソフトな裏」なのかも・・・。