「まさか、双子だったとはな」
「ふふ、そうね・・・」
リヴィングのソファに座りながら、アンジェリークはゆったりと微笑む。
現在六ヶ月。
彼女のお腹はすっかり出てしまって、とても六ヶ月には見えない。
それもそのはずで、彼女は現在二人の子供がお腹の中にいるのだ。
愛しげにそっとお腹をなで、優しく微笑む彼女が、アリオスは誰よりも美しいと感じる。
「綺麗だな・・・」
心から漏れた呟き。
彼女は、頬をうっすらと赤らめ、はにかんでしまった。
「・・・すごい太めなのに?」
「バカ、お腹以外おまえはそのままじゃねえか」
「うん。けれども、こんな私、アリオスいやじゃないかって・・・」
「バカ。おまえ以外に目にはいらねえよ」
そっと彼女の前に跪くと、彼はお腹に耳を当て、胎動を確かめる。
「こいつらに最初に教えてやらなきゃならねえな」
目を閉じながら、アリオスはそっと囁く。
「何を?」
彼女は彼の銀糸を指で絡ませながら、愛しげに梳き、優しく囁く。
「----お父さんはお母さんが世界で一番大事だってことを・・・。おまえ足しも愛しいが、それはお母さんの次だってことをな」
「アリオス・・・」
嬉しくて、アンジェリークは思わず涙ぐんでしまう。
アリオス・・・。大好き!!
「おい、こら、本当のことを言っただけだろ?」
「うん、うん、だからね、とっても嬉しいの・・・」
彼女は綺麗な涙をぬぐいながら、嬉しそうに笑う。
その姿はとても神々しく、彼の心を離さない。
「俺はいつだっておまえが一番だからな」
フッと深く微笑み、」彼は愛しげに彼女の涙をぬぐってやった。
「私も、あなたが一番・・・。子供たちも可愛いけど、あなたを一番愛しているわ・・・」
「アンジェ・・・」
彼もまた嬉しくてたまらない。
甘さのにじんだ微笑を浮かべ、再びお腹に耳を当てる。
「あっ!」
思わず二人は同時に声を上げる。
明らかに二箇所で子供が動いたのだ。
まるで返事をするかのように。
「二人ともわかってくれているみたいだな?」
「そうね」
二人は甘く微笑みあうと、いつまでもじっとその幸せをかみ締めていた。
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