Summer Disese


 突然夏の熱さになった------
 春から初夏を通り過ぎて、いきなりの熱さにアリオスは閉口してしまう。

 ったく、どうなっちまってるんだ…。

 夜になってもこの暑さは収まらず、アリオスはネクタイを緩めながら、我が家に直行した。
 マンションのドアの鍵を開けると、ぐったりとした顔のアンジェリークが出迎えてくれた。
「お帰りなさい!」
 顔色が悪いのは明らかにも関わらず、彼女は明るい作り笑顔で出迎えてくれる。
 その心根がアリオスにとっては最高に嬉しい。
「暑かったでしょ? お部屋はちゃんと空調効かせてるし、お風呂の準備も万端よ。ご飯もあっさりとしたものを今日は作ったから」
「サンキュ」
 アリオスはさっと彼女を抱き寄せると、軽く甘いキスをした。
「------おまえ、身体熱いじゃねえか…」
 心配そうに眉根を寄せる彼に、アンジェリークは慌てて否定する。
「大丈夫だから! さっきシャワーを浴びたからそう感じるのよ?」
「そうか?」
「うん! だから心配しないで、さあ、シャワー浴びてさっぱりしてきてね!」
「ああ」
 強引にアンジェリークに送り出されて、アリオスはカバンを彼女に託してバスルームに入った。
 脱ぎ捨てたスーツはアンジェリークがちゃんと寝室のクローゼットにかけてくれる。

 顔色悪いけど大丈夫なのか…?

 シャワーを浴びながら、アリオスはアンジェリークが心配で堪らなくて、急いで身体と髪を洗ってさっぱりとしたあと、浴室から出た。
 ざっとローブを羽織っただけで、何も下は着ていない。
 このまま彼女を愛そうということである。
 ダイニングに入ると、アンジェリークがぐったりとして、机に突っ伏していた。
「アンジェ!!」
 アリオスは直ぐに心配になり、アンジェリークの元に駆け寄る。
「アンジェ!?」
 顔を覗き込むようにしてみると、アンジェリークが気分を悪そうに身体をゆっくりと起こした。
「アリオス…」
「大丈夫か?」
 心配げに彼に額を自分の額につけられて、彼女は力なく笑う。
「------頭が重くて痛いの…。ちょっと戻しそうだし…」
「ベッドで横になれ。俺のことはかまわねえから」
「・・・うん…」
 アリオスはアンジェリークをしっかりと抱き上げると、寝室に運んだ。
 彼女が苦しくないようにと、エプロンを外し、ブラウスとスカートのボタンも外してやる。
 もちろん空調を整えてやり、身体に触れてみる。
「ごめんね…。
 ホントに何ともなかったんだけど、外に買物に出かけタ後から気分が悪くて・・・。
 熱さに当てられたみたい…」
「水分取ったのか? ちゃんと」
 これにはアンジェリークは首を振る。
「ついつい直ぐ終わるからいいと思って…」
「ったく、待ってろ」
 アリオスは苦笑いするとキッチンに行き、冷蔵庫を開けて氷をひとかけ口に含む。
 そのまま寝室に向かい、アンジェリークを起こした。
「ん・・・」
 アリオスは氷を入れた口をそのままアンジェリークの唇につけ、冷たい氷を舌で彼女の口に渡す。
「んんっ」
 氷の刺激がとても冷たくて気持ちよい。
 お互いの舌で、冷たい氷を溶かしあって、アンジェリークは喉を潤した。
 鼻で息をして、氷をとろかせる。
 ようやく氷が溶け、ふたりは唇をようやく離した。
「ふう…っ」
 甘い声で溜息を吐く彼女にをアリオスはゆったりとベッドに寝かせた。
「今日はしっかりと寝ていろ? メシはちゃんとして食っておくから」
「うん、有難う…。
 直ぐによくなると思うの…」
 甘えた声でアンジェリークは言うと、アリオスにぎゅうと縋りつく。
「眠れるまで傍にいて?」
 甘える彼女が可愛くて堪らない。
「しょうがねえな」
 フッと笑うと、アリオスもアンジェリークの横に身体を滑られ抱きしめた。
「嬉しい…。
 私にはアリオスが一番のクスリだからね?」
「ああ」
 安心したように目を閉じると、アンジェリークは安らかに寝息を立て始める。
 アリオスは穏やかな眼差しで彼女を見守りながら、一緒に眠りに落ちた------


 2時間後------
 アンジェリークはすっかりとよくなり、アリオスと軽く食事を 楽しむ余裕も出た。
 -------が、その後はお約束どおりにアリオスに戴かれてしまったらしい------
  
コメント

転んでもただでは起きない女。
tink(笑)

モドル