逢えないからって別に死ぬわけじゃないのは判ってる。 だけど、胸は苦しい。 折角、逢えたたら、いっぱいおはなしして、いっぱいKISSして、いっぱい抱き合いたいのに…。 約束の時間に、恋人のマンションに行けば、予想通りの展開だった。 「アリオス…」 ベッドに視線を落とすと、恋人は疲れているの熟睡を決め込んでいる。 「今日は夏休みの最後の日なのよ? なのに…」 ちょっと悔しくて、ちょっと寂しい。 本当は、二人で街に出てまったりとウィンドウショッピングなどをしてランチをし、その上後に家に戻って、ご飯を食べて、ここに泊まる。 そんなささやかなプランが、最初からものの見事に崩れ去る。 だけどここで、彼を叩き起こしてどこかへ行きたいと言うのは可哀相だ。 「ゆっくり、休んでね?」 アンジェリークは微笑むと、部屋の片付けを開始した。 アリオスが寝ている寝室以外をきれいにしていく。 いつも綺麗にしている彼のせいか、キッチンやリビングは比較的綺麗で、直ぐに掃除は済んだ。 が、洗濯はたくさん溜まっているようだ。 「もう、しょうがないわね!」 溜息を吐きながら、アンジェリークは洗濯にもいそしんだ。 同時に、浴室も綺麗に掃除する。 夜のことが一瞬よぎり、少しだけ恥かしかった。 客間を掃除した後、書斎に入る。 書斎は締め切り後のせいか、凄まじい事になっている。 「…しょうがないな、もう…」 綺麗に資料などを片付け、あちこち散らばっているペットボトルを広い、こんもりと積まれた吸殻を捨てて、掃除機をかける。 洗濯物も干し終わって、ようやく一息をつける。 10時に家に来て、丁度2時間30分後に、無事に掃除が終了した。 「あ〜、疲れた!!」 おなかも程よく空いてきた。 そろそろ恋人が起きる頃だろうと、寝室に行ってみる。 が…。 「もう、一体何時間寝たら気が済むの?」 悪態を吐いてみたところしょうがない。 アンジェリークは溜息を吐いて、眠りを貪る恋人の顔を覗き込んだ。 「こら、せっかく来たのに」 アンジェリークはアリオスの鼻を人差し指でこんと叩いた。 「んんっ…」 起きると思ったが、ただ寝返りを打つだけで、アリオスは一向に起きようとしない。 アンジェリーくは大きな溜息を吐くと、ベッドに頭を置いた。 カーテン越しに光が入って来た。 それはもう秋の色を帯びている。 「この埋め合わせはしてもらうからね?」 もういちどつんと鼻を突いた後、アンジェリークも大きなあくびを一つした。 「…昨日まで宿題やってたから、ちょっと眠くなってきちゃった」 彼女も目をゆっくりと閉じる。 そのまますやすやと寝息を立てながら、眠りに落ちた。 アリオスが目覚めたのはその30分後。 「やべっ!」 目に時計が入るなり飛び起きる。 不意に天蔵元を見ると、そこにはあどけない顔で眠っている恋人がいた。 「アンジェ…」 アリオスは柔らかな微笑を浮かべると、アンジェリークをベッドで入れ替わりに寝かしてやる。 素早くベッドから降りて、Tシャツとジーンズに着替えると、キッチンに向かった。 土の部屋も綺麗に片付けてあり、洗濯までしてある。 全て恋人がやってくれたと思うと、アリオスの心は温かくなる。 「じゃあ、俺が今度は、特製昼飯でも作ってやるか」 キッチンに立ち、アリオスはご機嫌に料理を始めた。 いい匂いが漂ってきた。 元々おなかも空いていたので、アンジェリークは直ぐに飛び起きた。 「あ・・・」 もうベッドにはアリオスはおらず、代わりに自分が寝かされている。 「あ、アリオス…」 匂いにつられてキッチンに向かうと、美味しそうなパスタが出来上がるところだった。 料理の上手いアリオス特製のえびとブロッコリークリームパスタだ。 ちゃんとサラダまでついてる。 「タイミングがいいな、待ってろ? 直ぐに運んでやる」 「うん♪」 やっぱり料理のできるカレはいいなあ・・・・ テーブルにつくと、アリオスは美味しそうなパスタを運んで着てくれた。 「わ〜!!!」 「ほら、冷めないうちに、な?」 「うん!!!」 渡されたフォークを握り締めて、アンジェリークは嬉しそうに満面の笑顔を浮かべる。 「いただきます〜!!!」 早速、口に運ぶと、パスタはなんともいえずに美味しい。。 ほっぺが落ちるとはまさにこのことである。 「美味しい〜!!!」 「だろ?」 「絶対アリオス、シェフになれるわ!!」 一生懸命はぐはぐと食べるアンジェリークが可愛くて仕方ない。 「今日、すまなかったな。その上、掃除までしてくれて」 「いいよ! このパスタで帳消し」 「サンキュ」 アリオスは恋人の愛らしい姿に目を細めながら、彼女の肩をそっと抱く。 「何?」 「この埋め合わせは、今夜たっぷりな?」 「・・・・もう・・・・」 恋人は真っ赤になりながらも、コクリとはにかむようにして頷いた------ |
コメント これかいてたら、おなかがすいた〜。 うるるのる |