レイチェルは、アンジェリークとアリオスが同棲するマンションに遊びに行き、そこでまったりと時間を過ごしていた。 勿論楽しみは、アンジェリークとのおしゃべりである。 最近、アンジェリークは、アリオスの”幼な妻”と化して、いろいろ世話を焼いているせいか、レイチェルとあまり出歩く機会がなくなった。 アリオスが離さないのなら自分からということである。 今日も、二人は優雅にティータイムを楽しんでいる。 レイチェルはストレートのダージリン。 アンジェリークはミルクである。 「レイチェル? 今日は夕飯食べていってね?」 「アンジェの手料理なんて大歓迎だよ!」 二人は、ワイドショーを見ながら、他愛のないおしゃべりに興じていた。 「へ〜、30歳ロッカーが19歳女優と結婚、女優は妊娠二ヶ月だって〜!! 出来ちゃった結婚! 男はなに考えてんだろうねえ? だって、これじゃあ、もうこのコ”清純”な役は出来ないよ? 30男が重大を妊娠させるなんて… 犯罪だよね〜」 ”犯罪”という声が大きかったのか、アンジェリークは身体をビクリとさせ、ミルクを零してしまった。 「ごめんね! レイチェル!!」 慌ててアンジェリークはカップを置きなおして、キッチンに行って台布巾を持って来る。 「直ぐに拭くから」 アンジェリークはてきぱきとテーブルを綺麗にして、再び座りなおした。 「大丈夫、アンジェ?」 「うん」 応えると、レイチェルはまたテレビを見つめる。 「あ〜、この女優また離婚したの〜懲りないわね〜」 「そうね」 レイチェルの話題が変わってくれたので、アンジェリークはほっとする。 勘がいいもの、レイチェル…。 今の話アリオスが聞いたら絶対に怒る…。 よかったいなくて… ---------------------------- 夕食の準備をしているとインターホンがなり、アンジェリークは早速出る。 「はい?」 「アンジェ、俺だ」 「あ、アリオス! 直ぐにロックを解除するわね!」 アンジェリークは、玄関ロックを解除すると、すぐさま玄関に走っていった。 「おかえりなさ〜い!!」 走ってきて飛びつくアンジェリークをアリオスが抱きとめる。 レイチェルがいるにも関わらずである。 「余り走るなよ? おまえはもう一人じゃねえ大事な身体なんだからな?」 「うん…」 はにかんで応えるアンジェリークがアリオスは可愛い。 「ほら、これ買ってきたぜ?」 アリオスはアンジェリークに、子供用の玩具を見せる。 「もう、まだ早いでしょ?」 くすくすと笑いながら彼女は彼を嗜めた。 「夕食できてるから」 「いつもサンキュ」 ダイニングに入ると、レイチェルが既にスタンバイをしていた。 「お帰り、アリオスさん」 「ああ。来てたのか?」 「うん・あれ…、これ・・・?」 レイチェルは、目ざとくアリオスの手の中にある子供用の玩具を見つける。 「これか? ああ、俺とアンジェの子供のおもちゃ!」 その瞬間、レイチェルはびっくりして椅子から立ち上がった。 「え〜!! アンジェ!! 妊娠してるの!!!」 レイチェルは驚きのあまり呆然とアンジェリークを見ている。 「うん…。今日、言おうって思ったんだけど、言いそびれて…」 はにかみながらアンジェリークは許しを請うようにレイチェルを見つめる。 なるほどね…。 だから今日ミルクを零したのか…。 だって、そのうえをいくものね〜 妙に納得をしたレイチェルであった。 |