Present


「もうすぐ今年も終わりね。何だか早かったわ」
アンジェリークは、しみじみと言い、幸せそうに溜め息を吐く。
今日は、九時過ぎまで、総帥夫人としてパーティに出席をした後、レウ゛ィアスと一緒にインペリアルスウィートで寛いでいた。
 今年は、ここで年越しをする。
 薄いピンクのドレスを身に纏ったまま、彼女は窓辺をじっと見つめる。
 丁度、港を一望出来る場所にホテルはあるせいか、船の汽笛の”除夜の鐘”を聞くことが出来る。
「アンジェ」
 タキシードに身を包んだ華やかなレウ゛ィアスが、グラスに注がれた白ワインを運んできてくれた。
「有り難う。ねぇすごいロマンティックね・・・」
「そうだな。だが…、おまえと一緒にいるほうが、ずっと、ロマンティックだ」
「レヴィアス…」
 隣に座った彼に、華奢な肩を抱かれて、彼女は心臓の鼓動を早める。
 暫く、レヴィアスに甘えて、彼の精悍な肩に頭を凭れさせた。
「今年も、有難う…。来年もよろしくね?」
「ああ。こちらこそ。
 今年はおまえのおかげで、最高の年だった。来年は、もっと最高の年になるだろうな」
 レヴィアスは、甘やかな微笑を浮かべると、アンジェリークのまろやかな頬に唇をよせる。
 二人は、そのまま躰を密着させて、暫くは、年の瀬の港の様子を見つめていた。
 大きな船の汽笛が新年をふたりに伝える。
「あけましておめでとう、アンジェ」
「あけましておめでとう、レヴィアス」
 ふたりはどちらからともなく、唇を重ねあい、汽笛の間、お互いの、甘い誓いを伝えた。
「アンジェ…、待っていろ」
 レヴィアスは少しだけアンジェリークから離れる。
 暫くすると、彼は手にグレーのケースを持って現れた。
 ヴェルヴェットのそれは、とてもシックな雰囲気で落ち着いている。
「-----アンジェ。今年もよろしくな?」
「レヴィアス…」
 いつもは厳しい眼差しの彼が、今は優しい光を湛えてアンジェリークだけを見つめてくれている。
 その眼差しが、余りにも温かくて、アンジェリークは泣きそうになる。
「有難う…・ねぇ、開けていい?」
「ああ」
 少し震える手で、アンジェリークはヴェルヴェットのケースを開く。
「わあ!!」
 そこには、ピンクの可愛らしいチョーカーが入っていた。
 淡水パール使いの、可愛くも上品な一品だ。
「おまえにぴったりだと思ってな? 去年は、俺を最高に幸せにしてくれた。今年も、きっと最高に幸せにしてくれるのは、おまえだから」
「レヴィアス」
 涙が絶え間なくこぼれて来る。
 アンジェリークは涙をこらえながらも、何とか堪えるように笑う。
「アンジェ…」
 親指で涙の雫をそっと受け止めると、レヴィアスは瞼にキスをした。
「つけていいか?」
「うん…、お願い」
 彼女ははにかみながら頷くと、レヴィアスはその背後に回る。
 項を見せる彼女の白いそこにキスをしたあと、彼は、ゆっくりと首に、プレゼントをしたチョーカーをした。
 ミルク色の彼女の肌にとても映えている。
 チョーカーをしたあと、レヴィアスはそこを再びキスをした。
「あっ…」
 艶やかな声を上げた、彼女があまりにもセクシーで、レヴィアスは堪らなくなって、背後から抱きしめた。
「アンジェ…。この後は何が待っているか判っているか」
「うん…。判っているわ・・・」
 抱き上げられると、アンジェリークは微笑みながらレヴィアスのネクタイをそっと外す。
 彼は官能的に微笑むと、そのまま彼女を寝室に運んだ----- 

コメント

2002年最後の更新です。
この一年間皆様に支えられて、更新を続けることが出来ました。
有難うございます。
2003年が皆様にとって良い年でありますように。
2003年も「異間人館」「ゆきのちんく」を
よろしくおねがいします。



モドル