Magagine


 レイチェルは雑誌を見つめながら溜め息を吐いた。
 読んでいるものは、「彼とのえっち採点表」(笑)という特集を組んでいる、ティーン向け(笑)の雑誌。
 普段は、こんな雑誌には見向きもしないのだが、やはり乙女なので気に掛かる。
 早速、自己採点とばかりに、点数表をみてやってみる。
 レイチェルの恋人は、11も上の研究者。
 当然、普段は忙しく、休みの日ぐらいしかゆっくりと逢えない。
 電話は毎日しているので、特に不満を感じることはない。

 逢った日はちゃんと”えっち”してるし、お泊まりも経験してるから、普通のカップルだけど。

 採点をしてるみると”彼はスキモノ、ちょっとムッツリ””刺激があって素敵なカップル”と、なった。
「確かに・・・、あたってるかも」
 レイチェルは、「えっちの回数カウントダウン」のページに吸い寄せられ、じっと見つめた。
「やっぱり、うちって多いのかな〜。逢ったときは、必ず2回はしてるもんね〜」
 ふと、レイチェルはアンジェリークの顔を思い浮かべる。
「アンジェはどうなのかな〜! 訊いてみよ〜!」
 訊く相手を間違えたとは、レイチェルは気がつかなかった。
 早速彼女はアンジェリークに電話を掛け、自宅にお邪魔することになった。

 ケーキを持って、レイチェルはアンジェリークの家に向かう。
 本当はアンジェリークの家ではなく、彼女の恋人の家であった。
 今、アンジェリークは、両親公認で、恋人のアリオスと同棲している。
 彼女が高校を出たら、結婚することになっている。
 一緒に暮らすことになったのは、売れっこ美容師である彼が忙しすぎて、アンジェリークを可愛がれないことに困り、強奪したのが原因である。
「アンジェ〜、来たよ〜!」
「いらっしゃい」
 玄関を開けてくれたアンジェリークは、見るからにアリオスの幼妻だ。
「ケーキ持ってきた」
「有り難う」
 レイチェルをリビングに招き入れて、アンジェリークは熱い紅茶を淹れた。
「訊きたいことって?」
「うん。アンジェも私も凄く年上と付き合ってるじゃない?」
「うん」
「で、えっちの傾向とか知りたくてさ。
とにかくこれを読んでみて?」
 レイチェルはアンジェリークに雑誌を差し出し、それを見るなり彼女は真っ赤になる。
「このテストやってみて?」
「うん」
 アンジェリークは言われた通りに、テストをする。
 レイチェルは、横からアンジェリークの採点を見ながら、目を丸くした。
 想像以上の高得点である上、「彼に縛られたことがある」まる、「彼とオールナイトで愛し合ったことがある」まる、「車でしたことがある」まる。
 など、凄い内容のものが軒並みまるだった。

 アリオスさ〜ん!!!

「終わったわ」
「何だって」
 アンジェリークは真っ赤になりながら、指差した。
 ”えっちの相性最高カップル”で、彼は”ワイルド野獣さん!! えっちの帝王!”と書かれていた。

 確かに・・・。

 レイチェルは思わず頷いた。
「ねぇ、アンジェリークは週に何回えっちしてんの?」
「えっ!?」
 真っ赤になって、アンジェリークは俯く。
「何回って・・・」
「うちは、デートの度に出来るだけしてるんだけどね? まあ、一日三度が限度だしね」
 アンジェリークの顔はますます真っ赤になった。
「一緒に暮らすようになってから・・・、毎日・・・」
「毎日って・・・」

 アリオスさん凄すぎ・・・。

「何回?」
「あ、あのね、週か日かどっち・・・」
 アンジェリークはしどろもどろに話している。
「どっちも!」
「学校とか仕事があるときは、2回だけど、休みのときは、5,6回・・・」
 恥ずかしいのか、アンジェリークはソーサーの中の紅茶を何度もかき混ぜている。
「これって普通よね・・・?」
 レイチェルは訊く相手を間違えたと思ったと共に、絶倫の彼が初めての相手であるアンジェリークに、少しだけ同情するのであった。

 まあいいか。
 幸せだったら…

 結局は、自分たちがまだまだだということを確認しただけに終った、レイチェルであった。

コメント

やりすぎ(笑)