肌の温度


 彼に近づくたびに、体温が上がる。
 心臓がどうしようもないほど跳ね上がって、もうどうしようもなくなってしまうの・・・。

 好き…。
 あなたが好きなの…。
 どうしようもなく好きなの…。

 夕陽が差し込んできた部屋であなたに強請る。
「ね、キスして?」
 あなたは煙草をくゆらせるのを止めて笑うと、そっとキスをくれる。
「…もっと…」
「しょうがねえな…」
 悪態は吐くけど、あなたは絶対に私のワガママを最後はきいてくれる。
 少し角度を変えたキスは、先ほどよりももっともっと甘いキス。
「はあ…」
 キスをされるたびに出る溜息は薔薇色。
 憎らしいくらい上手いキス。
 だけど、私は残念なことにそれを測る尺度は私にはない。
 だけど、アリオスのキスは私をいつもとろけさせてしまう-------
 悔しいけど、彼のキスは私をかしづかせる。
「アリオス、どうしてキスが上手いの? 犯罪的なくらい…」
 私の質問に、あなたは笑う。
 いつものように喉を鳴らして。
 それがあなたの癖------
 大好きな癖。
「それはおまえより俺がジジィだからだろ?」
「キスが上手いのに、歳は関係ないような気がするけど…?」
 本当にそう思ったから素直に言ってみたら、彼は更に余裕を持って笑う。
 オトナの笑い------
 確かに彼は私よりも11も年上だし、キスも上手い。
 そして-------
「おまえ専用で上手いの」
 嘘も上手。
 それもとびきりの嘘。
「嘘ばっかり…」
「ばれたか?」
 くすくすと笑いながら、私はアリオスの首に手をまわす。
「じゃあお姫様。
 今度はお姫様からのキスを所望するぜ?」
「ええ、騎士さま」
 わざとそう言った後、笑顔が消えて、私はただの”女”になった。
 唇が重なる-------
 少し冷たくて硬い、極上の唇。


 私の体温は、あなたの唇で極限状態になる-------
 

TAWAGOTO

アリコレはこういううじゃれあいが良く似合う・・・。
ああ、もっと修行せねば・・・
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