「何だか興奮して眠れなくなってきちゃった」 「だったら、もう一回するか?」 甘く危険な微笑を浮かべながらつぶやく彼に、アンジェリークは真っ赤になって俯く。 「それで興奮してるんじゃないもん…」 「そうだったな」 彼はクッと喉を鳴らして笑うと、ベッドから出て、ローヴを羽織った。 「どこに行くの?」 「いいから、眠れるように、おまじないしてやるよ。待ってろ?」 彼はそれだけを言うと、キッチンに向かって歩き出す。 アンジェリークは裸のままもぞもぞと上掛けを巻きつけて、彼の帰りを待った。 その間も幸せに興奮してしまう。 左手薬指に飾られたピンクプラチナ台にプリンセスダイヤモンドがいくつも散らばっている、とても可愛らしいデザイン。もちろん、羽根をモチーフにしている。 そして----- まだ何の兆候も無いおなかに、手を当ててみる。 そこには、新たな命。 それだけでまたくすりと微笑んでしまう。 今日はなんて幸せな日なんだろう…。 アリオスにプロポーズされて、アリオスの赤ちゃんがお腹にいるのが判って・・・。 これで興奮しないって言ったらうそになるわ…。 本当はベッドの上で、いっぱい暴れたいぐらいだけれど、アリオスがそれをしたら怒るしね。 アンジェリークは、アリオスにばれないように、ほんの少しだけじたばたとして、幸せを噛み締めていた。 暫くして、アリオスがお盆の上に、マグカップとグラスを乗せて、キッチンから戻ってくる。 彼はそれをサイドテーブルに置くと、再びローヴを脱ぎ捨てて、ベッドに入った。 「ほら、これ飲めよ?」 「うん」 彼が渡してくれたのは、彼女の天使のマグカップ。 そこには温かなミルクがなみなみと入っている。 彼も琥珀色の液体の入ったグラスを手に取る。 「アリオスは、何?」 「ウォッカ。おまえは酒はダメだぜ? ミルクだ」 「うん、判ってる」 アンジェリークは幸せそうにほんわかと笑うと、マグカップの中のミルクを一生懸命覚まして飲む。 「おいし〜」 「明日から、いっぱいミルクかわねえとな? カルシウム」 「うん。パパに似て短気になったら困るもんね〜」 これにはアリオスは少し不機嫌そうな顔をする。 それを見てアンジェリークはくすくすと笑うと、またミルクを飲む。 「ミルクは興奮を鎮めて、良く眠れるからな?」 「アリオスのウォッカも?」 「まあな」 彼は優しく微笑むと、アンジェリークに躰を寄せる。 「温めろ」 「うん」 ぴったりと寄り添って、二人は、ナイトキャップの時間を思う存分に楽しんだ。 全部飲み終わる頃には、ほわほわと温かな気分になって、うとうとしてくる。 「アリオス…、眠い…」 「ああ」 彼はアンジェリークの手からマグカップをとると、自分のグラスと一緒にサイドテーブルに置く。 そのまま彼女を抱きしめて、ベッドに沈み込んだ。 「…おやすみ…」 「お休み、アンジェリーク」 むき出しの背中をじかに撫でてやると、彼女は安心したのか、直ぐに寝息を立て始める。 それを見守りながら、アリオスは甘い甘い微笑を浮かべた。 「おやすみ、アンジェ。良い夢を」 彼女のまろやかな頬にキスをして、アリオスはそのお腹も愛しげに撫で付ける。 「おやすみ…」 柔らかな温かさに包まれながら、二人はゆっくりと幸せな眠りに落ちていった------- |
コメント カクテルものを書こうとしたら、なぜかこうなってしまった(笑) やっぱり、冬はまったり密着がいいですね〜。 |