銀杏


「うわ〜、おいしそうな銀杏!!」
 秋は実りの季節。
 アンジェリークは公園に落ちている銀杏を、袋の中に一生懸命拾い始める。
「これが美味しいのよね〜。なんに使おうかな・・・。炒っても美味しいし、茶碗蒸もいいわよね〜。アリオスにいっぱい、いっぱい作ってあげなくっちゃ! アリオス、茶碗蒸好きだもん〜」
 一生懸命袋いっぱいに銀杏の実を拾い上げるアンジェリークの表情は、本当に可愛らしかった。
「さてと、これが全部、私とアリオスのものだもんね〜」
 アンジェリークはその袋を持つと、にんまりと笑い、自宅へと帰っていった。

 ここからは主婦としての力の入れるところ。
 手袋をして、銀杏の実の外側を綺麗に取っていく。
「さてと〜」
 取ったものを、温泉土産で貰った炭酸せんべいのカンカンに入れていく。
 それがまた楽しい。
 鼻歌を歌いながら、アンジェリークは手仕事を続けた。


 暫くして、今日は早めに仕事を切り上げて、アリオスが自宅に帰ってきた。
「ただいま」
 玄関に入るなり、その強烈な匂いにアリオスは顔を顰める。

 何だ…。
 吐きそうだ・・・

 気分が悪くなりそうなこおばしい香りに、彼は気分が悪くなる。
「お帰り〜」
 アンジェリークが近づいてくると、益々その香りの強烈さに顔を顰める。
「おまえ、なんかしたか!?」
 あまりにも苦しそうにアリオスが言ううっものだから、アンジェリークは大きな目を不安そうに見開く。
「何って、銀杏の実の外皮剥いてたの」
「それだ! おまえ、すげ〜、なんていうか・・・」
 ”臭い”といえば、折角そとかわを剥いてくれていた彼女が可哀相だと想い、言葉を押し留めた。
「臭い…?」
 アンジェリークは少し切なそうに呟くと、アリオスを泣きそうな表情で見つめる。
「とにかく外皮全部向いたものは外に捨てるぞ?」
「うん、今むき終わったから大丈夫」
 テーブルの上にあった皮の入ったビニール袋を何重にもして包み、使った手袋も綺麗にして捨てる。
 換気扇をつければ、匂いは何とかましになった。
「後はもう一つだな?」
「え??」
 驚くなりアンジェリークは抱き上げられ、バスルームへと連れて行かれる。
「ねえ、アリオスどこに連れて行くの???」
「風呂だ。おまえのその香り全部俺が綺麗に洗って消してやるからな?」
「自分でやるから〜」
 真っ赤になってアンジェリークはじたばたとするが、アリオスは一向に離さない。
「いいか? 今日はちゃんと綺麗にしてやるから、覚悟しろよ?」
 にやりと笑うアリオスに、アンジェリークはもう抵抗できなかった。
 ふたりは一緒にバスルームに消える。
 その数分後、アンジェリークの甘い艶やかな声が、バスルームに高らかに響いていた------   

コメント

昨日のイベント帰りに、強烈な香りを放っていた銀杏(笑)
その香りをかいで思いつく創作はこんなに下品です(笑)
ほんま、臭かった〜。



モドル