Bathing


 インターホンが鳴って、アンジェリークは慌てて玄関へと向かう。
 今はもう10時を過ぎている。
 如何しても今夜中にしなければならない書類のせいで、アリオスが残業になったため、今のご帰還だ。
「おかえりなさい!」
「ただいま!」
 玄関のドアを開けてくるなり、抱きついてくる妻アンジェリークに、アリオスは満足そうに抱きしめた。
 二人は、結婚以来、習慣にしている”お帰りのキス”を唇にし合い、甘い雰囲気を玄関先でも出している。
 結婚して5年。
 4歳の双子もいるが、相変わらずのらぶらぶぶりである。
「おまえいい匂いするな?」
「あ、子供たちとお風呂に入ったから…」
 アリオスは腕の中で愛しい妻を抱きしめながら、鼻を掠める甘い香りに酔いしれていた。
「パパ、お帰り〜」
 レヴィアスとエリスの双子の姉弟も、廊下に駆け出してくる。
「ただいま。おまえらにおやつかってきたから、明日食え? 今夜はもう遅いからな?」
「うん! 有難う!!」
 現金な長女エリスは、アリオスのお土産をいち早く受け取り、それをキッチンに持っていった。
「アリオス、ご飯は?」
「ああ。書類作ってるときに、オリヴィエと二人でラーメンを取って食ったから、軽くでいい」
「そう。だったらお茶漬けつくるわ」
「頼んだ」
 アンジェリークは、キッチンに入り、アリオスのために、美味しいしかも手の込んだお茶漬けを作リ始めた。
「ねえ、パパ! 今日はみんなでお風呂に入ったんだ!」
 長男のレヴィアスが、アリオスにまとわりつきながら、一生懸命はなしてくれる。
 この温かな温もりが、彼はとても大切だと感じずにはいられない。

 この温かさをくれたのは、アンジェ・・・、お前なんだな…
 いつだっておまえに感謝してるぜ?

「そうっだってな? 楽しかったか?」
「うん!! ママのおっぱいが柔らかくって気持ちよかった〜!!!」
 レヴィアスの恍惚とした一言に、アリオスの眉根が僅かに寄せられる。

 何・・・!?

「エリスも気持ちよかったよ〜!! ぷにぷに!!」
「きゃあっ! もうエリスったら!」
 エリスはうっとりと、母親の豊かな胸を触り喜んでいる。
「あ! 僕も〜!!」
 今度はレヴィアスがアンジェリークの胸をぷにぷにと触る。
「もう二人とも、赤ちゃんじゃないでしょう?」
 苦笑いしながら、アンジェリークは、わが子に笑いかけた。

 俺だって触りてえ!!

 アリオスは、子供たちのところへ行くと、二人をアンジェリークから引き離しにかかった。
「こらおまえら、いつまでもそうしてねえで、早く寝ろ? パパが部屋に連れて行ってやる」
「そうね、二人とも。もう寝なさい? 夜更かしはだめよ?」
 父親が少し不機嫌になったことを察し、同時に大好きな母親に言われたので、二人はしぶしぶ頷き、アリオスに部屋に連れて行かれた。
 アリオスはとっとと子供たちを寝かしつけると、直ぐに一階に降りていく。
「アリオス、お夜食できたわよ?」
「冷蔵庫にラップをかけて置いてくれ?」
「うん」
 アンジェリークは頭を捻りながら、冷蔵庫に夜食を入れたが、次の瞬間には、アリオスに抱き上げられていた。
「きゃあっ!」
「一緒に風呂に入るぞ?」
「・・・私、入ったけど…」
「俺が”ぷにぷに”してねえ。子供にだけは不公平だぜ?」
 夫が、子供のように駄々をこねる姿を少し可愛いと思いつつ、アンジェリークは真っ赤になる。
「もう・・・、バカなんだから…」
「公平にな? 奥さん?」

 その後一緒にお風呂につかり、アリオスの”ぷにぷに”攻撃にアンジェリークは、激しくも甘い時間を過ごすことになった。

 アスが土曜で万歳だな?
  

コメント

このパパどうにかしてください(笑)



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