Lover And Student


「零一さん、どうして名前を呼んでくれないの?」
 は真剣になって問いただしてみた。
「それは・・・、私と君の本分はだな、”教師と生徒”だからだ」
 咳払いをしながら、彼は少し目を逸らす。
「だって、私たちは付きあってるんでしょ!?」
「付き合っているというのは、それは・・・。社会見学はその・・・」
 半分真っ赤になって、氷室はしろどもどろしている。
「ねえ!」
 に責められて、氷室はたじたじになってしまう。
「とにかく! 駄目なものは駄目だ!!」
 教師らしきっぱりく毅然とした態度を取ると、途端に切なそうな表情をがする。
「本当にダメ?」
 大きな瞳をうりゅっとさせて、彼女は懇願するかのように、氷室をみた。
 思わず彼は言葉をなくす。
 のこのような表情には極端に弱い。
・・・」
 零一は本当に困ったような表情をした。
 眉を寄せ、じっとを見つめている。
「------しょうがない・・・」
 大きく溜息を吐くと、零一はをじっと見つめる。
 ほんの少しだけは色めき立つ。

 ひょっとして・・・?

「------だったら、今度の数学の小テスト満点を取ったら、名前を呼んでやる」
「え〜!!!!」
 これにはは吃驚する。
 元来零一が作るテストは、たとえ”小テスト”であろうとも、非常に困難な問題が含まれている。
 ほんの少し、は逡巡の顔をした後、きっぱりとした表情で零一を捕らえた。
「やるわ!」
 堂々と宣言するの表情はどこか清々しい。
「-------期待してるぞ。
 そんなことは出来るはずはない。
 いやできるかもしれない------
 そんな表情が零一の中で見え隠れする。
「頑張るわ!」
 しっかりと言った少女には、まさしく、恋するチカラが含まれていた--------


 その日から小テストまでの3日間。
 は必死になって勉強した。
 それこそ寸暇も惜しまないとはこのことである。

 絶対名前を呼ばせてやるんだから------

 テストの日は早朝の朝4時に起き勉強をし、朝も早くから学校の図書室に行って勉強を続けた。


「予告した小テストを行う!」
 氷室の合図の元最終の時間は数学は10分間の小テストが」含まれていた。
 そんなに問題の数もない。
 それを解きながら、は一生懸命頑張った。
 ただ零一に名前を呼んでもらいたいがために-------

 よく頑張ってるな・・・

 旗目でを見ながらそう思わずに入られなかった。
「はい、やめ。後ろのヤツから前に順に解答用紙を送れ」
 氷室の緊張感のある声に、も固唾を飲む。

 頑張ってけど・・・。
 大丈夫かな・・・

 祈るようなキモチで、は解答用紙を送った------


 放課後。
 は氷室の車に乗って、いつものように帰宅する。

 キモチいいな・・・。
 車の揺れ・・・。

 いつしか、その揺れには誘われて眠りに落ちていた。
 今朝早くから起きたせいもあった。

?」
 氷室が声をかけると、は方にもたれて眠っていた。
 その寝顔があまりにも可愛くて、氷室は目を細めて、優しい笑顔を浮かべる。
「今日は良く頑張ったな?
 ------
 氷室の指先が、優しくの頬に触れた------


コメント

わしが4時に起きて頑張ったので思いついきました(笑)


モドル