イメージする力

想像力が強さの秘訣

「リミテッドはイメージが強い人が勝ちだ」

これは自分のリミテッド論であり、自分の勝ち負けに大きく関わってくる大事なファクターである。本来、Magicというゲームそれ自体がイメージ、すなわち想像力が大事なゲームであってわざわざリミテッドだけで強調して言う事ではないのだが、最近の構築戦がメタゲームの産物から作られている現状を見るとそうせざるを得ない。もちろん、構築戦で想像力がメタゲームを打ち破るシーンは何度もあり、最近ではエクステンデッドでのエンチャントレスなどが記憶に新しい。

本題に戻ろう。イメージ、すなわち「想像力」がなぜMagic(とりわけリミテッド)にとって必要かを説明する必要があるかと思う。ONS環境では早々に「アーキタイプ」という単語よって支配されてしまったのだが、これは想像力を大きく阻害する要因になっていると思う。なぜか。それは、色の組み合わせが決まった時点でデッキの大まかな形が決まってしまうからだ。ちょっと思い出して欲しい、ONSが出たばかりの青のことを。あの頃の青はとても使い物にならないという評価で埋め尽くされていた。相手が島を置いたとたんに勝ちが確定した時代があった。しかし、今では青は赤を組み合わせることによって最強との呼び声も高い。評価が一転したすばらしい例といえるだろう。赤が強いのだから当たり前だという人もいるだろう。しかし、同じ赤を組み合わせている赤緑、赤白は2〜4番手に甘んじているのが現在の状況だといえる。やはりそれは青が強いからに他ならない。

今だから言える「青は赤と組み合わせると強い」という事はたくさんの人の文章によって明らかになった産物である。青を崇拝したゲリーワイズなどはその最たる物だろう。そして、その頃の赤青使いはまず負けなかった。それはなぜか。他の人には想像できなかった「赤青」という「アーキタイプ」を「想像」できたからである。

何故、「想像」できると強いのか。「赤青」というアーキタイプのキーカードが《溶岩使いの技/Lavamancer's Skill(ONS)》(更には《稲妻の裂け目/Lightning Rift(ONS)》)であることは最早疑い様の無いことだが、それが無い赤青は果たしてデッキとして成り立つのだろうか? このときに力を発揮するのが「想像力」である。この場合の勝つためのプロセスである「火力などで除去兼時間稼ぎ。その間に飛行で殴り勝つ」というのが想像できれば、ドラフトピックの順位付けが簡単にできる。詳しくどれが強い弱いというのはここでは述べないが、勝つための手段を「想像」すればおのずと答えは見えてくると思う。上記のキーカードはその想像の結果、ピック順位が高いカードであるだけの話なのだ。

例として赤青を上げたが、このことは他の色でも十分に成り立つことである。赤緑が飛行クリーチャーに対して劇的に弱いのは周知の事実であるし、赤白は終盤の膠着状態を打破する必要が不可欠であるなど、デッキの動きを想像した結果の格言は後を絶たない。これらを知っているのと知らないのでは大きな違いである。それを知るのが「想像力」であり、格言化するのは結果や知識である。

ここまで書くと、「想像力」というのは「知識」で置きかえられるものであることがわかると思う。それはもちろんその通りである。他人が想像、実践した事を知識として得ることによって同じ強さ、考え方は手に入れることができる。しかし、それではMagicでは時間が足りない。同じ条件の期間が4ヶ月(場合によってはもっと短い)しかないのがこのゲームの大きな特徴の一つだ。考えても見てくれ。3ヶ月経ってから「想像力」豊かな人によって発見された技術は「知識」ではほとんど知ることができないのだから。

このコラムでは「想像力」の重要性のみの説明に終始してしまい、はっきり言って読んでも強くはならない記事になってしまっている。しかし、将来強くなるために確実に踏まなければいけないステップの一つである自信はある。強くなるために必要なことをぜひ考えて欲しい。


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