こんなヨタハチはいやだ!ヨタハチに載ったミニエースのエンジンあるある

旧車イベントに行くと、たいてい一台はヨタハチがあるもの。ボンネットを誇らしげに開けていると、見ちゃいけない!と思いつつも見てしまうのはヨタハチオーナーとしては悲しい性だ。見れば約8割はミニエースのエンジンが載っていてがっかりするのだが、更にがっかりするのはその処理の仕方だ。今回はたけしの元気が出るテレビ風に、いままで見てきたミニエースのエンジンを積んだヨタハチあるあるを披露しようと思う。よく、ミニエースはトヨタスポーツ800と同じエンジンが載っていて…というのが流布しているのだが、同じか同じでないかといえば同じではない。わかりやすく言えば、32スカイラインの2.5リッターエンジン、RB25とGT-RのRB26とか、86トレノ/レビンに載っている4A-Gと85トレノ/レビンに載っている3Aくらい違っていると思った方がいい。代わりに載せることは可能だが、本来あるポテンシャルは発揮できる訳がない。よく、ヨタハチのエンジンの出力が45馬力しかないと言うが、それは45馬力も出ていない、あるいは出しようもない車に乗っていたオーナーの戯言でしかない。本物の2Uが載っているヨタハチのエンジンはパタパタ言わないのだ。ミニエースのエンジンに対してある程度の知識がないと、いざ換装しようと言うときにハタと気が付いてどうしよう…という例がいくつもあるので、代表的なところをみてみよう。

こんなヨタハチはいやだ。アイドリングしているところを見てみるとエンジンがずっと揺れている。ありますね、こんなヨタハチ。部品取りしたミニエースが昭和49年3月以降のもので、クランクケースの後ろにエンジンスタビライザーを取り付けるところがないんですね。エンジン外したはいいけれども、後ろ見たらスタビライザー付かないじゃん。どうしようか考えた挙句、見なかったことにしてそのまま載せちゃったりしたりしてね。

こんなヨタハチはいやだ。右のアッパークーリングシュラウドにPCVがついたままになっている。ありますね、こんなヨタハチ。ミニエースで昭和48年排ガス規制に適合させるためにブローバイから出たミスト状になったエンジンオイルを回収するために取り付けられた装置なんですけれどね。液体状のオイルはPCVを通ってクランクケースに戻るようになっていて、これだけ見ると地球にやさしいヨタハチを目指しているのかなぁ、なんて思っていると気体状になったブローバイはミニエースではキャブレターに行くようになっているのにヨタハチにはそれがないからホースのいくところがなくなって、そっちは大気解放かい!って突っ込んだりしたりしてね。ヨタハチを作っているときはこのブローバイが出ないようにエンジンを作ってるんですけれど、ミニエースでPCVが付く頃にはむしろ積極的にブローバイが出るようにしてすぐに戻そうとしてるから、こんなエンジンに限ってオイルの消費量が多くてね。オイル垂れ流してるのにヨタハチはオイルの消費量が多い!なんて、ヨタハチ買って間もなくの人に教えているオーナーがいたりなんかしてね。

こんなヨタハチはいやだ。右のアッパーシュラウドになんだかわからない細いパイプがついている。ありますね、こんなヨタハチ。ミニエースには熱交換式ヒーターの熱気を送るために必要なパイプなんですけれど、ヨタハチにはこれが必要ないんですね。これがついているのがいやだからって、カバーごと外したのはいいんだけど右のシリンダーが丸見えになって、これでエンジンが冷えるのかな?なんて心配になったりしてね。げんこつでも入れてみようかな?なんて思ったりしてね。

こんなヨタハチはいやだ。シュラウドインレットが逆についている。ありますね、こんなヨタハチ。冷却風って整流されないときちんとシリンダーヘッドに送られないんですけれど、インレットが逆についているだけで、整流されずらくなるのはわかりますよね。そんな車のオーナーに限って、油温が上がる、エンジンが冷えないなんていってますね。じゃあ、きちんとつければいいんだろ?と思って付けようと思ったら、シュラウドセンターの穴にインレットが入らない。一見、同じように見えるシュラウドの部品ですけど意外と年式で違がってるんで、流用が利かないんだね。つけてエンジン回してみたら、ファンが当たってものすごい音が出たりしてね。あと、そっちの方が冷えるとか言ってインレットを外してある。ありますね、こんなヨタハチ。ファンが空気をかき回しているだけになっているのに冷えない冷えないって言って、挙句の果てにオイルクーラーなんかつけちゃったりしてね。街乗りで冷えないんじゃ、もうちょっと考えたらいいのにね。

さて、ヨタハチにミニエースのエンジンが載っている時のあるあるナンバー1、油温計の針が動かない。ありますね、こんなヨタハチ。もう、こんなヨタハチばっかりです。油温がわからないのがいやだからって、後付けの油温計なんかつけちゃったりしてね。そのエンジン側のゲージがドレンボルトの所につくんだけどねそれが長いこと。そんな車に限って車高を落としたりするもんだから、車道から歩道を横切ってファミレスに入る時にこのゲージが当たったりして、温度計れなくなるならいいけどゲージを折っちゃってファミレスの前でオイル全部出して立ち往生したりなんかしてね。今度は純正の油温計ゲージを手に入れたからって付けるのに、クランクケースにゲージだけが入る穴を開けて直接付けちゃう。ありますね、こんなヨタハチ。本来はユニオンボルトがクランクケースについてそこにゲージが入るんですけれどね。ちょっとバーツリストで調べればわかるのにね。この作業をエンジンを載せたままやるものだから削りカスがエンジンの中に残っちゃって、それが原因でエンジン壊れちゃうなんてね。

さて、今週も元気が出るテレビ、始めましょう。
2012/10/16

季節は移る…。ヒーター、無事に点火

八月にはもう涼しくならないんじゃないかと思ったくらい暑かったのに、うまくしたものでやっぱり季節は変わる。ヨタハチに関して言えば、燃焼式ヒーターなんてもう使わないだろうなんて思ったのに、やっぱり必要になりそうな時はくるのだ。現在預かっている41年式のヨタハチ、これに搭載されている燃焼式ヒーターは筆者が組んだものなのだが、借りている手前何か持ち主にメリットのあることのひとつもあっていいだろう。ということで、本格的に使う前に調整をして返そうと思った。

だがこのヒーター、汗ばむ季節に止めて以来、次に付けるときでも全く調整したことがないというヒーターだった。経験上、こういう便利な癖があるヒーターはやたらと開けたり部品を換えたりなどしない方がいい。もし支障があったらそれを解決すればいいだけなのだ。とはいうものの、記憶にある範囲では2年前に点けたのが最後だと思うので、何か起こることも覚悟しつつヒーターのスイッチを入れた。やはり時間が開いて一発目なので、点いても安定燃焼までには時間がかかるかな?などと考えながらパイロットランプを見ていると、大した時間もかからず明るく光った。かくして、このヨタハチの冬支度は終了。しばらく近所を流しながらヒーターを使用したが消えることなし。スイッチをオフして冷えるまでの間勝手に動いて止まった。ただ、中に古いガソリンが多少入っていたのか、安定燃焼していてもぬるい風しか来なかったが、新しいガソリンが回り始めたのか、しばらくするとおなじみの溶けるんじゃないかと思うくらいの熱風が足元に広がる。ヒューズ切れもなく、全く問題なしだった。

筆者の44ヨタハチも最後にヒーターを点けたのが2年前。出来上がったら真っ先に点火しなければいけないこと請け合いだ。
2012/10/26