少し形に…44ヨタ、修理進む

左のフロントフェンダーの穴から端を発した筆者のヨタハチの修理だが、遂に3年目を迎えた。正確には7月に出したので、既に3年目も2か月経過している。定期的に話がてら見に行っているのであるが、その作業が少し進展していた。単に左のフェンダーが仮留めとはいっても元の場所に収まっていただけ。作業的にはその前にやってもらっていたロッカパネルのところに無残に開いた穴を切開して新たに鉄板をあてた作業の方が大変なのはわかっているが、素人は目に見えることが起こるとなんだか進んだような気がするから現金なものだ。

ついていたお気に入りのタイヤ、RD108にいよいよオゾンクラックが入りはじめたのと、タイヤ屋さんに預けているタイヤとホイールのセットを整理するために、現在ついているタイヤとアルミホイールのセットを外して、純正鉄ホイールと最後のRD108のセットに交換した。外した方のRD108は既に製造してから12年が経過していた。残り溝はバッチリあるが、既にゴムは固く、前述したとおりクラックが入り始めた状況では使うに能わず。思えばこのタイヤでは大して走っていなかったことを思い出す。エンジンのオーバーホールなるまで寝かしていた時期が5年、鈑金で預けていた時期が2年。気に入っていただけに捨てるのは残念である。

44ヨタの工場からの出し入れを筆者も手伝ったのだが、その時ドアを開けてキャビンの匂いを嗅いだ。これだ。同じヨタハチでもそれぞれ置かれた環境で車内の匂いは違うものだが、この時嗅いだヨタハチの匂いはまさしく筆者のものだった。
2012/9/19

遂にヨタハチ乗りたい病発症か?41年式のヨタハチを預かる

このまま乗らないときっと無駄な買い物をしてしまうかも…。そんな気分になるといよいよヨタハチ乗りたい病の発症が近い。手元にヨタハチがなくなってこの2年、考えると無駄な買い物をしている。おととしは一度持っていたホンダのCL50を買ったものの、半年で売却。去年は去年でユーノスロードスターを買った。これは足としては少し気が利いていたが、こと趣味となると今一つ物足らない。とはいえ買った状態からは相当手を入れて、もともとロールバーなんかが入っていたのをほぼオリジナルでフルオプションに。細部も忠実に再現し、ロードスターとしてはラグジュアリーな乗り味の車を作り上げたのだがそれも所有10か月で売却。ロードスターを趣味で乗っている方には申し訳ないが、筆者のマインドを満たすものでは必ずしもなかった。ライトウエイトスポーツというが、スバル360の450キロ、ヨタハチの580キロを知ってしまっている筆者にしてみれば980キロもあってライトウエイトはない。走ってみればわかるが980キロの物理エネルギー量と580キロのそれでは全然違う。それも、ロードスターの中では軽量の部類に入る平成4年式ですらこれらの車に比べるとはるかに重い。

そんな筆者の動向を察してか、筆者の信頼する筋からヨタハチを借り受けた。正確に言うと、最初は筆者から2週間ほど貸してくれ、このままだと無駄な買い物をするからと借りて、それを延長してもらったのだ。
このヨタハチは筆者が企画し、そして書いた「トヨタスポーツ800&トヨタパプリカ大全」(芸文社 刊)の表紙に使ったトヨタスポーツ800だ。オーナーの「徹底的にオリジナルにする」というコンセプトの元、筆者もその考証に手を貸した。元がレーサーだった車だったのでオリジナル云々よりも一時はその完成すら危ぶまれたのだが、オーナーが純正部品を大量に持っていたので助かった。修復前にはオルタネーターがついていたエンジンをわざわざジェネレーター仕様にし、ワイパーもハーネスの関係で2速になっていたものをわざわざ1速にした。このあたりは前期型なのにワイパーを2速したり、電力が不安だからオルタネータにしようとするオーナーには気持ちがわからないところだろう。シートもステッチパターンはもちろんのこと、シートの色も当時の表皮のきれいなサンプルから忠実に再現。この車でオリジナルではないところと言えば、アシュトレーと、フューエルポンプから分岐して燃焼式ヒーターに行くフューエルラインのフューエルホース、ウインドーウォッシータンクがパプリカ用というところだろうか。

乗ってみるとやはり詮無いこととは思いつつも筆者の44ヨタハチと比べてしまう。ボディの剛性感でいえば、筆者の44ヨタハチの方が上であるが、車にかかる力を「いなす」感じが味わえるのは前期型特有の感じだ。どこかで何百万もかけて「レストアされた」なんてヨタハチに限って、ないフィーリングである。パーシャルフローでエンジンナンバーもそう新しくない2Uエンジンは吹け上がり方がスパルタンだ。実際の回転の後から回転計の針がついてくるというか、気が付くと回転計の針がレッドゾーンに飛び込んでいるフィーリングは筆者の44ヨタハチにはない。パーツを見てもそう違いはないはずなのに、このフィーリングの違いがなぜ出るのか未だにわからない。
2012/9/24