なぜ過ちを繰り返すのか…。ヨタハチにベストなタイヤとホイールの関係について考える その1

すっかり44ヨタハチのホームベージを疎かにしてしまった。ここには書いてはいないが、実は別の車にその元気を奪われてここまで手が回らなかったのだ。実はダニオブルーのミニエースのほかにからし色のミニエースバンを入手し、その復元作業をしていたのだ。このミニエースについてはここでは書かないことにするが、断片的にはおいおい触れざるを得ないと思う。

どこかで書いたかもしれないが、筆者の旧車趣味の起源は近所にあったタイヤ屋さんである。そのせいか、車を見ると自然とタイヤとホイールを見てしまう。このタイヤとホイール、車本体を見るよりもオーナーが無意識レベルで考えていることすら手に取るようにわかるので、実に面白い。極端な例だが、例えば20系セルシオに純正ホイール、タイヤはハンコックなんて組み合わせであれば、オーナーはけちというよりも自分の命すら安く見積もっているいると判断できる。夏で前後の窓全開だったらお金はない。多分エアサスも終わっている。セルシオにハンコックだったらセルシオになんか乗らなければいいのだ。

ヨタハチにもこれは言える。実際、筆者はタイヤとホイールのチョイスでそのオーナーと話がしたいかどうか判断している。まずホイール。無難にいけば鉄の純正ホイールだが、UP30やミニエースの小さいホイールキャップを取り付ける用の耳があったらこちらから話かけることはない。これが耳のないパプリカのデラックス車用ホイールだったらちょっとできるな、と思う。もしパプリカのスタンダード用のホイールをつけていたら、別の意味で大いに興味をそそられる。話をしてみて、訳がわかってつけているとしたら多分お友達になりたいと思う。

鉄のホイールの場合はホイールキャップがついてくる場合もあるので付け足すと、まず年式にあったホイールキャップがついていることが基本だ。40年式に10穴のホイールキャップがついていれば最高。40年でホイールキャップなし、デラックスホイール付きだったら普段もこのまま乗っているのだと判断できるので好感度アップだ。10穴のホイールキャップは持っているけれども付けているとなくしたり、あるいはミーティグで気を許した時に盗まれたりする、という意識がオーナーにある証拠だ。41年式以降の8穴ホイールキャップを付けている場合、まずメッキが変にきれいなものだったら話かけない。よく見ると同じメッキでも部分的に梨地のメッキがかかっているところがあるのが普通だが、後年の最後の方の補給ではこれが全面につるつるのメッキになっているうえにメッキのかかり方が浅いので全体的に安っぽい印象を受ける。古いものになればホイールキャップ全体のプレスがシャープなので遠目に見ると潔い感じがする。後年のものになればなるほどこのプレスが甘くなり、特に8個ある穴の際にしわが出ていたりする。決定的に違いが出るのはホイールキャップをホイールに取り付けた時だ。新車時に近い古さのホイールキャップは取り付けの際にはまる爪の部分がホイールのリムに優しく、次に取り外してもあまり傷にはならない。対して新しい品物は、まずホイールに嵌らない。無理に嵌めれば次に外したときにホイールのリムに深い傷が現れる。

さて、ここで第一段階としてホイールキャップとホイールの関係であるべき組み合わせはどれか、という一時的な結論を出すことにする。一番好感の持てる組み合わせは古いホイールキャップにパプリカのデラックス用ホイール。ホイールの色がグレーないしはシルバーという組み合わせだろう。ただ、経年変化でホイールが腐食して使用できない、なんてことも結構あるので、新品の耳あり純正ホイールに古いホイールキャップ。できれば補給されたままのダークグレーではなく、新車時っぽいグレーやシルバーに塗ってあると機能性とルックスをバランスよく考えている感じがあって、これも好感を持てる。個人的に好きなのはホイールを艶消しの黒に塗り、できればデラックスホイールでホイールキャップなし。スパルタンで好きである。
2012/8/18

興味があるのはルックスだけ?ヨタハチにベストなタイヤとホイールの関係について考える その2

ついているのを見てしまうと気になってしまうのがアルミホイール。しかし、その動機が機能面からなのか見た目からなのかでその発露は大きく変わってしまう。アルミホイールを付けるときの肝は見た目ではない。ひとえにオフセット値である。ぜひともオフセット値が純正に近いものを選んでほしい。

オーナーされているヨタハチを見るに、このホイールのオフセット値がいい感じのホイールを付けているものは8割がた、ない。傍らで偉そうなことを言っていても、肝心の車にオフセット値のずれているアルミホイールがついていれば全く空虚なものとなってしまうのはわかるだろう。そんな人の言っていることも間違えなく間違えだ。古い車だから当たり前みたいに言う人もいるが、ステアリングが重い原因のひとつがこのホイールのオフセット値があっていない場合も多い。ステアリングギアボックスにかかる負担も相当なものだ。一度試しに別の人にステアリングを回させてみて、その時どんなことがステアリングギアボックスに起こっているか見てみるといい。乗っているだけでは決してわからない、想像もしていなかったことが起きている。それを見れば、ステアリング系の負担を軽くしたいと思うに違いない。オフセットを合わせるためにスペーサーを入れるということは更にオーナーの愚かさを増す。鉄のホイールからアルミホイールにする目的の第一はバネ下重量の軽減である。ホイールのほかに重量を増やすスペーサーはその第一の目的に反している。

リム幅は最高でも5Jまでだろう。この5Jでヨタハチの場合はもしかしたらフェンダーからタイヤがはみ出てる?という感じになる。後でいうことになると思うが、タイヤのチョイスによるけれどもこれ以上のリム幅が必要なタイヤは使わない方がいい。ヨタハチにアルミを履くときにはオフセット。これを第一に検討した方がいい。
2012/8/25

自ら壊しているようなもの…ヨタハチにベストなタイヤとホイールの関係について考える その3

さて、肝心のタイヤである。この前に書いた通り、車検に通りなおかつ車に負担をかけない程度のリム幅として最大5Jのホイールにつくタイヤとしては、175/65/12とか165/70/12といったサイズのタイヤが合いそうだ。しかし、最初に言っておくが70以上の扁平タイヤを公道を走るヨタハチに使用するのはやめておいた方がいいと思う。確かに幅が広いと路面に対するグリップは高くなり、走行性能も上がるが、それと引き換えにするデメリットの方が圧倒的に大きいので差し引きすると大損をすることになる。日常の整備の時にガレージジャッキが入りずらい、オイル交換もうまにかけるかリフトなど設備のあるところでやることになる。タイヤ径が小さくなるのと走行抵抗が増えるのでアクセルオフで流して走る時間が圧倒的に少なくなり燃費が悪くなる。設計時には想定されていない負荷が機械部分にかかる。具体的にはリアのホイールベアリングなどは覿面に影響を受け、リアアクスルからガラガラ言わせている車に限ってオフセットの合っていないアルミと70以上の扁平タイヤだったりする。ステアリングギアボックス、タイロッドエンドなども相当の負荷を受けていて、あまり見たことはないとは思うが、ステアリングギアボックスの中のボールベアリングにとどめをさすのは扁平のタイヤをつけた後だったりする。

では、ヨタハチにいいタイヤのチョイスはというと、155/80/12か145/80/12というサイズが結局一番いいと思う。個人的には145の方がルックス、性能ともに好きである。あまり面白くない結論であるが、新車時の6.00 12というサイズをラジアルにしたサイズだ。どうせならバイアスの方が…と思うかもしれないが、制動性能と現在の道路事情を考えるとそのチョイスはない。少しでも車間距離を置こうものなら、車に乗せられているような奴が自分にテクニックがあるかの如く割り込んで憚らない時代である、こちらの命がいくつあっても足らない。

タイヤとホイールの関係で無理のないところで一応の結論を出すと、タイヤは155か145の80、ホイールはオフセットがあっていればアルミでも可。なければ現在でも手に入る鉄の純正ホイールという組み合わせがいいだろう。

しかし、これだけタイヤとホイールがどうのこうのと言ったのに、実はそれらは些細なことと思う。肝心なのはタイヤとホイールの車に於ける位置、つまりアライメントだ。残念なことに、タイヤやホイールには百万語の薀蓄を並べるヨタハチオーナーはいても、ことホイールのアライメントについて何事が考えていると思われるヨタハチオーナーはあまりいない。その方がかっこいいからと、出先でヨタハチのフロントロアサスペンションのアジャストボルトをくるくる回して車高を下げていた人を見たことがある。これほどはっきりしている例はないと思うが、アクションとして出ていないだけで、どのオーナーも程度は大して変わらないのでは?と思う会話を聞くことがある。どちらもない品物だが、ヨタハチに合うホイールを探しているという人にあったことはあっても、フロントアッパーアームに入っているシムを厚さ違いで持っていないかと聞かれたことは一度もないところをみると、筆者の受ける感じはあながち間違っていないと思う。
2012/8/26