本末転倒とはこのこと…。ヨタハチオーナーの低燃費議論に物申す

最近ようやく自分の心模様がわかってきたものがひとつある。自身がヨタハチオーナーでありながらヨタハチオーナーの燃費自慢には何事かの違和感を持っていたのだが、その違和感というものがどうしてなのか自身で説明が付かないでいた。燃費自慢の違和感、簡単に言えば「燃費のいい車に乗りたいからヨタハチにした訳じゃないだろ?」ということなのだ。燃費がいい車に乗りたければプリウスをEVモードにしてエンジンに切り替わらない程度のわずかなアクセル開度のところで走ればいいだけなのだ。「ヤッベー、もう少しでエンジンに切り替わるところだった」とかなんとか言っていた方がよっぽどスリリングだ。仮にヨタハチが燃費の悪い車だったと購入以前にわかっていたとして、だからと言ってあなたは買わなかったのかと問うたらどうだろう?いやそれでも買っていたと答える人たちにこそ乗ってもらいたいと思う。同じヨタハチオーナーとしては、最低でもそういう気持ちのある方でないとお友達にはなれない。

あるとき、こんな光景に出くわした。ヨタハチオーナー二人の会話。「一番燃費のよかったときってどれくらいでした?」「リッター22キロだったかな」「僕は24キロいけましたよ」筆者は気になってボンネットフードを開けている二人のヨタハチを見た。一方は見紛う事なき、筆者にとってはおなじみのミニエースのフルフローエンジン。もう一方は、ちょっとマニアックにパーシャルフローのミニエースのエンジン。一瞬パプリカそのままと思いきや、まさかのレアもの。圧縮比を上げている、とかならばまだ見込みはありそうだったが、あのほこりまみれの状況ではそれも期待できない。「確かに燃費はいいかもね」その場で腰砕けになったのは言うまでもない。同じミニエースのエンジンがあると仮定して、シングルキャブとツインキャブとでは一見シングルキャブの方が燃費がいいように感じる。しかし、シングルキャブだと意外と無駄にスロットルが開いている時間が長い。必要な燃料を必要な時に早く供給できるのはツインキャブの方で、無駄にスロットルが開いている時間は少ない。結果、ツインキャブの方が燃費はいい。こと燃費に関して言えばツインキャブ+ミニエースのエンジンはいい組み合わせだと思う。しかし、この二人の場合、スタートラインが既に違っているのでヨタハチの燃費がどうのなどという土俵にすら立っていないのはわかると思う。

しかも二人とも現在補給されているキャブレターに交換されている。実はこの時点で燃費自慢は退場のはずなのだ。ご存知の方も多いと思うが、完調であれば新車時のキャブレターが一番効率が良くできている。新車時の、と言ってもそれぞれの年式で少しずつ仕様は変わっているので例えば40年と44年とではこれまた仕様が違うのであるが、それと後補給のキャブレターでは比べようもない。メインジェットの番手が違うとか目に見えるもので違いが説明できれば早いのだが筆者もその研究の段階だ。ただ言えるのは、後補給のキャブレターはどんなに調整してもプラグがかぶり気味なのに、新車時のキャブレターは比較的容易にきつね色のプラグができあがる。これだけ見ても新車時のキャブレターはよくできていると思う。

燃費がいいことと燃料代が安いことを混同している方がいることも事情をややこしくしている。確かに燃費がいいと燃料代が安くなることになるのだが、だからと言って本物2Uエンジンにレギュラーガソリンを入れて点火時期を遅らせてノッキングが起きないようにするなんて話は全くのナンセンスだ。燃料事情が悪かった戦時中の日本軍機じゃあるまいし、この調子じゃ水メタノール噴射に挑戦するなんて言い出しかねないとひやひやした覚えがある。きちんとハイオクガソリンを入れた方が燃費はいいし、その結果燃料代もわずかだろうが安くなる。なによりその方が機械にとっていい。いい例が筆者のミニエースだ。現在、筆者のミニエースはヨタハチと同じ圧縮比仕様になっているのだが、レギュラーガソリン使用時でリッター14キロくらいだったのがハイオクガソリン使用でリッター16キロに改善されている。この結果一回の給油の燃料代は高くなったがで走れる距離は伸びている。

2011/8/20

そう甘くはなかった・・・。5ナンバーシングル、キャブレターなど交換へ

エンジンが無事に載って補機類も機能することが確認されて、いざ慣らしを…と思ったのだが思わぬところに落とし穴があった。慣らしのために筆者の近所にある立川の昭和記念公園を囲むように配されている道路に向かった。ここの道路、筆者が設定しているルートが一周10キロとわかりやすく、戦前は羽田ができる前までは日本の空の玄関口となっていたぐらいなので平坦なところ故、慣らしにはもってこいなのである。100キロ走りたければここを10周すればいいし、上り下りがないので動き始めてまだあたりの出ていないエンジンにも優しく負荷がかけられる。

異変はすぐに起きた。どうも、パワーの出方が大雑把な感じがする。スロットルを大きく開ければ回転がスパッと上がり見事な加速を見せるのだが、渋滞ができるかできないかというトラフィックの状況すなわち2速ホールドでスロットルを少し開けたり戻したりの繰り返しだと回転落ちがよくない。加速のはじめから二番目ぐらいのところで進角していないような燃料不足ともタイミング不良とも付かない変な加速不良がある。

どうも以前、ミニエースのキャブレターに起きていた症状に似ている。原因はなんだったのかというと、スロットルシャフトの不良。ご存知の通りわれらがヨタハチ、パプリカ、ミニエース、に使われているシングルチョークのキャブレターはスロットルシャフトがキャブレターボディに直接開けられた穴に通っている。ちょっと気の利いたキャブレターならここに金属のブッシュが入っているのだが、これがないためにキャブレターのボディ側がシャフトの動きで偏摩耗して動くたびにスロットルの開き方が変わってしまうのだ。エアホーン部を流れる空気の量の変化もピーキーなので、スローからメイン系への切り替えもうまいこと行かないのではないだろうか。それでも動けているのはヨタハチがツインキャブだから。摩耗があるにはあるが致命的に悪い訳ではなく、かといっていい訳ではない。実に中途半端な状態だ。もちろん、この状態で慣らしをしてもいい訳はない。当座筆者が以前使っていたキャブレターを清掃してもらいそれで慣らしをする一方、現在車についているキャブレターがせっかくの新車時からのものなので、オーバーホールすることにした。
加速の不良はデスビにも原因があるのかもしれない。詳しくは言えないが思い当たる節もある。この際だから疑わしいところは手を入れることにしよう。これもいい品物に交換することになった。

しかし、この期に及んでキャブレターやデスビの交換。これすべてエンジンを組み立てているときから手をいれようかどうか悩んでいたところだった。いずれもちょっと前まで使っていたものだし…といい訳をして結局何もしなかったところだったのだ。これが自分の車だったらやるのかもしれないが流石に他の方の車、できるだけ手間もお金もかからないようにと配慮したものだったが全てが裏目にでてしまった。

今日の昼間、いつも行っているクルマ屋さんにもっていくこととした。

2011/8/9