まるで別物…。5ナンバーシングル、エンジン換装作業完了

当ホームページでかねてよりの話題、魅惑の5ナンバーシングルの42年式を本物の2Uエンジンへ換装する作業を終了した。これにかかわった皆様のご協力にこころより感謝するとともに、これでまたいい車が更によくなることとなった充実感で今は満たされている。

今しばらくは慣らしの走行を行わなければならないが、素性の良さはすぐに感じ取れた。この週末の作業は補機類の取り付け、油脂類の補充。そしてオーナー立会いの下、万感の火入れ式を挙行の後、点火時期、キャブレター等の調整をして全てが終わった。こう枚挙すれば簡単に終わったようであるが、そこはそれ古い車、数々のイレギュラーな作業もかさみ言うほど簡単ではなかった。まずはスタビライザーが上下逆についているのが判明、これを急遽外して取り付けなおす。次にオイルフィルターケースのふたの締め込みが甘い状態でクランキングしたところ、オイルがフィルターから情熱の如くほどばしるアクシデント。オイルラインから空気がぬけるのが早かったという副産物もあったのだが、意図していなかった分あわてることとなった。おそらく20年以上使用していなかった油温計のセンサーにつくハーネスが異常に汚れていた上に、取り付けようとしたらカプラーがハーネスの根元からポロッと外れることもあった。こちらはこのカプラーの中に入っている金具が手元にたくさんあったので、ハーネスを付け直すだけで難なく終了。油温計の針が動くのを確認して、ようやく本物の2Uエンジンが載ったのだと実感することとなる。全ての作業の最後にボンネットフードを取り付けることになるのだが、このヒンジに付くスタッドボルトが外れて、ねじ山もだめになっていることが判明。筆者のガレージにたまたま置いてあったボンネットヒンジに取り換えことなきをえた。そのヒンジが新品ではなく適当にヤレた中古で、偶然にも車の雰囲気とぴったり。部品を交換するのはいいが一部分だけ新しいと違和感を覚えるという経験は心ある方なら誰でもしたと思うが、昨日までそこについていた感じのままなのはいい。

折からの雨の中、動作を確認するために近所をオーナーの運転で走ってみる。距離にして数百メートル。住宅街故べらぼうなスピードを出すわけでもなかったが、それでも今回ファインチューニングを施したエンジンは、始動一発目から軽々回って見せる。もちろんこの上なくパンチもある。回転計の針は少しでも気を許すとメーターの端まで行こうとする。これは慣らしなのに回るのを抑える方が難しいかもしれない。別段不具合もないことを確認して、後ろ髪ひかれる思いで筆者のガレージにヨタハチを収めた。今しばらくは筆者のガレージにあることになるが、これから更によくなることを考えると楽しくなる。

2011/8/1

作業順調!5ナンバーシングルにエンジンが載る。

実際は先週の作業になるが、魅惑の5ナンバーシングルの42年式のヨタハチにリビルトなったエンジンとトランスミッションを搭載する作業をした。それまで載っていたミニエースのエンジンを降ろし、本物の2Uエンジンをつくり載せ替えることをしてきたが、この作業はその大きいエポックになる作業だ。オリジナリティの高い車体に本物に忠実なエンジン。これで鬼に金棒というわけだ。作業にあたって機材を貸してくれた方、そして作業を手伝ってくれた方々にはこの場にてお礼を申し上げたい。

偶然にもクランクシャフトとカムシャフトがない2Uエンジンを入手して、これに手持ちのエンジンをつぶすことにして一基仕上げたのだ。悪く言えば2個1ということになるのだろうが、結果的には最良の組み合わせが実現した。元になる2Uエンジンはオリジナリティが非常に高かった。本当にクランクシャフト周りとタイミングギアを含むカムシャフトがないだけ。エンジンナンバーも52万番ぐらいで、シリンダー、シリンダーヘッドなど、エンジンパーツのすべての鋳造がきれいに作られていた当時のままだった。一方で部品を出すためにつぶしたエンジンは67万番くらいの見まごう事なきミニエースのエンジン。こちらも2U仕様ということで入手したのだが、2U仕様だったのはベンチレーションチューブのみというこれまたいわくつきの品物だった。とはいうもののこのエンジンにもいいところはあって、過去に一度オーバーホールされているようで、クランクシャフトは補給品の新品。多分コンディションが悪かったロッカーアームを含むエキゾースト側のロッカーアームカバー二つは比較的新しい補給品がついていた。2U仕様ということで、ヨタハチ用のカムシャフトを期待していたのだが、その目論見は脆くも崩れてしまった。急遽カムシャフトを探すことになったのだが、ここは筆者の知り合いに無理を言って助けてもらった。これら集まった部品を洗浄の上、必要な内燃機加工をして完成。オリジナリティ重視でエンジンはパーシャルフロー仕様で作った。パーシャルフローというと冷却がつらいと思われがちだが、おそらく全く問題なくこのエンジンなら冷える。

先週はエンジンとミッションを車体に搭載するところで作業終了。エキゾーストや補機類を現在コツコツ組み立てているところだが、それももうひと仕事で終わりそうだ。

今回の作業で筆者はヨタハチのエンジンの上げ下ろしを二回やったことになるのだが、そのたびに思ってしまうことがある。ヨタハチの場合、エンジンを下すのにクレーンは上げなければならず、エンジンを載せるのにクレーンは下げないと載らない…というのが腑に落ちない。上なのか下なのか載せるのか降ろすのか訳がわからなくなる。ヨタハチを作った関東自動車はトヨタの下請けなのにボディは上に載せるんだな。なんだか禅問答のようで、あまり考えると頭の中が混乱するのだが、そんなのは筆者くらいだろうか?

2011/7/26

まだまだ驚く!ヨタハチあるある クーリングシュラウド編 その2

クーリングシュラウドというと忘れられないのは、筆者が部品取りのミニエーストラックから外したエンジンだ。このエンジン、なんと左のロアシュラウドが半分切れてなくなっていたのだ。ちょうど、シリンダーヘッドの部分だけあって根元の分がそっくりなくなっていたのだ。そのエンジンを精査すると、なるほど、そうしたかった理由がわかった。ご存知の通り、われらがパプリカ、ミニエースのエンジンはプッシュロッドカバーがシリンダーヘッドからロアシュラウドを貫通して裏側に回り、クランクケース根元のゴムブッシュに刺さる構造になっている。仮にシリンダーヘッドを外すようなギリギリ重整備に入らないような作業をすると当然このプッシュロッドカバーを外すわけだが、再び組み立てた時にそれをそっくり忘れて組み立ててしまうことがある。

ここまではシュラウドというよりどちらかというとエンジンあるあるの部類に入る。しかし、このミニエースを整備したメカの人は更にその上を行ったのだ。素直にもう一度シリンダーヘッドを外してロアシュラウドを通せばいいのだが、シリンダーヘッドのところについているOリングはどうする?それにロッカーアームカバーのところ、シーラー塗ってくっつけちゃったぜ…。外すとなるとそういった軽い消耗部品は再使用できなくなる可能性が高い。そして、このメカニックの人はロアシュラウドをつけないでエンジンを載せてしまった後、リフトで車が上がっているときにそのことに気が付いたと思う。ミニエースの場合、一度エンジンを載せてしまうと、この横方向に部品をずらす作業がスペースがなくてできないのだ。シュラウドをつけるためにはつないだハーネスやリンケージの類を外して、エンジンを支えているクロスメンバーごとエンジンをスタンドに載せておろし、そこから初めてエンジンのパーツが外せる。早い話がその日の仕事は最初からやり直しということだ。作業の手間とロアシュラウドがなくて起きる不都合を考えた結果、導き出された結論がシュラウドを半分切る、だったと思われる。気になるこのシュラウドの固定方法だが、アッパーとロアを止めるビス類で止まっていた。止まるものだね、と感心した。

ヨタハチのシュラウドあるあるでは、右のアッパーシュラウドに意味が分からない丸く平らな部分があるもの。これを見ると筆者は笑いをこらえるのに堪えられなくなる。このシュラウドを付けている車は「俺の車は共販から直した時に出た新品のパーツを惜しげもなく使ったんだぜ!」と、言って息巻いているオーナーの車に多い。正確には新品の部品をたくさん使ったと、売っていた店から聞いていて自分では部品など取ったことのないオーナーと言った方がいいか。じゃあなぜそんなことを言えるのかというと、この意味不明の平らな部分はミニエースのエンジンでPCVといわれるブローバイ中のオイルを取り除くオイルセパレーターが付く年式に使われているシュラウドなのだ。ミニエースではそこにステーが溶接されてオイルセパレーターが置かれるのであるが、エミッションコントロールなど必要なかった時代の車であるヨタハチにはそんなものはない。少しでもオリジナル度の高いヨタハチを見た経験のある人なら、見れば何か異変を感じるはずなのだ。それを純正のオリジナル…と言ってしまうところに問題がある。「いやあ、部品がなかったんでミニエースの使いました。どこかにないですかね、年式の合うやつ」と、謙虚に認めて言う人の方がまだ見込みがある。後年補給された部品はステーも付いた状態で手元に来たので、ピカピカのシュラウドに用途不明のステーがついている…という場合もある。それを見て腰が砕けた筆者の横で「純正新品!」「オリジナル!」と言っているオーナーの絵はどんなに空虚か想像できるだろう。尚、こういう場合アッパーシュラウドにつくカバーがなく、シュラウドになぜか大穴が開いているというのもお約束だ。あの部品に部品番号の設定はない。アルミ板で適当に作っているくらいならかなり気が利く方だ。

2011/7/25

驚愕の事実!ヨタハチあるある クーリングシュラウド編 その1

今月で筆者のヨタハチ生活も17年目を迎える。その中で、筆者の良識を疑った方がいいのか?と一時錯覚に陥った事象をいくつも見てきたので、悪い見本として参考にしてほしい。万一ど真ん中でやっている人がいたら大いに反省すると同時に改めてほしいと思っている。

クーリングシュラウドでよくありがちなのが、インレットを前後逆にしているパターン。ヨタハチオーナーの中には馴染みはないと思うが、極初期のパプリカを見ると口が前方にせり出した形状になっている。レーシングエンジンのスロットルについているようなファンネルに近い形状をしている。この形が年式を追うごとに変化して徐々に薄くなっている。なので、年式の違うインレットはセンターシュラウドの開口部に付かないか、ついてもクーリングファンのブレードに接触してしまう、なんてことがあるので、クーリングシュラウドは部品ごとの互換性はないものと思っていた方がいい。どんなに偉そうなことを言っていても、インレットが逆についているだけで瞬間説得力をなくす。そこからは偉そうなことを言えば言うほど底がしれてしまう。

インレットついでにやるのがこのインレットごとなくなっているというパターン。これを見たときにはびっくりした。なぜこうしているのかと、オーナーに聞いたところ市街地を走るのにはこうしないと冷えないから…という驚愕の答えが帰ってきた。なるほど、このインレットを外した方が一見空気が前方からガンガン入っていくようだが、実際はそうではない。例えるなら、高速道路を走っていて窓から顔を出し、口を開いているようなものだ。これで息が吸えるかといえば吸えないことは誰にでもわかる。適切に整流しないと空気は思ったように流れてくれないのだ。それに必要なのがインレットである。余談だが、このオーナーは「冷えない、冷えない」と言って、オイルクーラーまで追加していた。ここまで言えばわかるだろうが、これじゃあ一生冷えない。エンジン冷やす前に自分の頭を冷やした方がいい。

一番びっくりしたのがシュラウドがないというパターン。正確に言うと、左右のシュラウドのアッパーとロアがなくなっていた。正直にいうと、こちらの方がインレットがないよりエンジンは冷えると思うが、冷やしたいところが冷やせないと思う。エンジンで一番冷やしたいところはどこか?それはシリンダーヘッドであり、もっと言えばプラグである。クーリングシュラウドはだてについている訳ではなく、きちんと目的があって形状が完成されている。シュラウドがないと、あたたかいままでいいところは冷やし気味になり、冷やさなければならないところがやっぱり冷やされないことになる。このシュラウドなしの車も調子が悪いといっていたが、それは道理だ。

2011/7/22

今月は頑張る!ホームページ強化月間スタート

ついに先月は一度もホームページの変更がなかった。それはつまり44ヨタハチの修理に進展がないことなのだが、その実、本当はいろいろなことをやっている。今月はそれらも含めて書いていくことにしていこうと思っている。そこで、今月はホームページ強化月間と銘打ってたくさん書いていこうと思う。

いままで意図的に書かなかったミニエースのことや他のヨタハチやパプリカのこと、そして筆者が思うことをこまごまと書いていこうと思う。今月の一枚はエンジンを降ろしているところ。このヨタハチは筆者のものではなく、別の方のものを預かっている。このヨタハチ、仲間内では「奇跡のヨタハチ」と言っている。昭和42年式で、魅惑の5ナンバーシングル。その上オリジナルの部品がこれでもかというほどきちんと残っているからだ。一見みためがよくないヨタハチだが、この車のオリジナリティの高さに目がいかないヨタハチオーナーとは友達になりたくはないので、そんな人の評価は一切気にならない。ただ、そんな車でも既にエンジンがミニエースのものに載せ替えられており、それが唯一にして最大の残念なところだった。しかし部品の神様はいるのだ。本物の2Uエンジンが手に入ることになりそれをオーバーホールの上で載せることになった。これはその第一弾の作業となる訳だ。

そんなにオリジリティの高いヨタハチがなんと普通の中古車販売店に相場よりは格安で出ていたのだ。筆者も現物を見たわけではなかったが出ている画像を見ただけでもその素性の良さがわかったので、筆者が「1パーセントでもほしいと思ったらその場で手付だけでも置いて行ってください」とまでいって勧めた手前、これくらいの手間は払って当然なのだ。何より自分の勉強になる。
2011/7/2