いよいよ完成!第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 最終回

クランクピンにコンロッドを取り付ける。やった人ならわかるが、コンロッドの下側を組んでいる途中にクランクケースの中に落としてしまうことがある。今回はコツを教えてもらって組んだところ、落とすことなく組むことが出来た。規定トルクでコンロッドボルトを締める。一方、ピストンにピストンリングを組み付ける。このリングももう補給されていない。失敗は許されなかった。ピストンリングをつけるためのツールもあるが、これは何度かやっているので手で十分だ。リングを組んだピストンをコンロッド小端部に組む。ピン穴を炙ってピストンピンを入れる。

そしていよいよシリンダーを組み付ける。ピストンリングを手で縮める。流石は新品、反発する力は凄い。これを縮めながらシリンダーを入れる。全部のリングが通過すると、シュポン!という気持ちのいい音を立ててクランクケースに入った。流石はホーニングを新たにしたシリンダーだ。引っかかる感じはないが、空気の漏れる感じはない。これを左右ともやってシリンダーの組み付けは終了だ。

シリンダーヘッドを組み付ければ完成だが、その前にやることがあった。実は筆者のエンジンのシリンダーヘッドは過去にエキゾースト側のバルブシートが変更されていて、エキゾーストバルブが少し厚みが違うものが入っていた。今回、そのまま当りを見てもらっている。普通のエキゾーストバルブよりは少し燃焼室側に入っている。これ、排気効率が上がっていいことのようだが、一方でバルブがピストンと当たる可能性もある。ましてや、今回シリンダーのベース面を一ミリ削っているので、その可能性は更に高い。

ピストンの上にあるエキゾースト側のバルブリセスに小麦粘土を詰めて、シリンダーヘッドを本締め。数回クランクを回して当たるかどうかみる。これでべったりくっついていたら、何らかの対策をしないといけない。祈るような思いでクランクを数回まわした後、再びシリンダーヘッドを外す。結果は、盛り上げて詰めた粘土の先に跡があるだけで、リセスに大きく跡にはなっていなかった。これで大丈夫だ。再びシリンダーヘッドをヘッドボルトでつけて、規定トルクで締める。あれだけ手がかかったリターンパイプを取り付けて、最後にブローバイのホースを取り付ける。

このホース、内径12ミリの青色の耐油性ホースを使用した。後から補給されていたブローバイのホースもやはりこんなような色をしたホースだった。だが、このままではベンチレーションチューブから出ているパイプに入らない。そもそも径が合わないのだ。そこでコンロにやかんをかけてお湯を沸かし、そこにホースの先を少しの間漬ける。柔らかくなった頃合を見てブローバイのパイプに差し込む。

遂に完成した。所有13年にして念願のエンジンオーバーホールが成った。
02/28/2008

どっちがいいのかな?第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その8

仲間にエンジンを組んでもらったり或いは彼の指導で作業をするとき、実は整備書には載っていないような何気ないアクションにノウハウを感じる。結果は同じかもしれないが、なるほどそうやると簡単に、確実に、安全に作業ができるコツが満載だ。大変勉強になる。筆者にはこういう作業に使える引き出しがあまりないのだ。

今回エンジンを組むに当たって、どちらがいいのかな?と思っていたことが2つあった。1つはコンロッドメタルを取り付ける前の下処理。もう1つはプッシュロッドカバーに付くOリングの取り付けである。

1つ目のコンロッドメタル。ヨタハチの新品のコンロッドメタルを見てもらうとわかるが、メタルの表面がつや消しになっている。これをこのまま組むほうがいいのか?いや、表面を軽く研磨剤で磨いた方がいいのか?どちらがクランクシャフトのピン部になじみが良くなるのだろう、ということだ。色々と書かれているものを見ても、ここの処理は、そのまま組んでいるものもあるし、磨いているものもある。

しかしこちらの答えはすぐに出た。今まで使っていたコンロッドメタルをみると、2万キロほど走っているのにこのつや消しの部分がたくさんあった。つまり、前回コンロッドメタルは磨いていなかったということだ。前回はそれが原因かどうかはわからないがなかなか調子が出なかった。そして仲間からの勧めもあって今回は軽く磨くことにした。

もう1つはプッシュロッドカバーをシリンダーヘッドに通すときに、そこに使うOリングをどうつけるかである。方法としては2つある。たとえが悪くて申し訳ないが、Oリングをコンドームのようにつけてプッシュロッドカバーの太くなっている部分まで移動させておいて、このプッシュロッドカバーをシリンダーヘッドに開いている穴に入れて収める方法(これを@)。もうひとつが、あらかじめシリンダーヘッドの穴にOリングを納めておいてそこにプッシュロッドカバーを入れて収める方法(これをA)。

筆者は実は@でOリングを切ってしまったことがある。しかし、仲間はAでやっぱりOリングを切ってしまったことがあるという。いずれにしても、下手を打つとOリングを切ってしまうのだ。ここは思案のしどころだったが、予備のOリングもあったので筆者にとっては冒険の@の方法を取ることにした。結果は幸運にも1つもOリングを切ることもなく無事に作業を終えられた。結果オーライだが、このOリングを切らないで済むコツを完全に習得したかといえば、いまひとつわかっていない。
02/21/2008

作業は加速!第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その7

クランクケースにクランクシャフトが入ってしまうと、組み立て作業は一気に加速した。指導してくれた仲間は「組み始めれば半日でできますよ」といっていたが、なるほどそうかもしれない。こと時間だけでみれば、パーツ洗浄とパーツの調達にかかる時間が97パーセント、組み立てる時間が残り3パーセントくらいだ。

タイミングギアについているカムシャフトをクランクケースに取り付けて、タイミングギアカバーに新しいオイルシールを取り付けてクランクケースに取り付け。その後オイルポンプを取り付けて今回特製のポンプカバーをつける。見た目は普通だが、永年不安に思っていたところを改善した優れものだ。

今回組み立てに当たっては、ナットやボルトなど、必要と思われるところはなるべく新品のものを使うことにした。カムシャフトを取り付けるボルトも新品。クランクシャフトの後でクランクケースと固定するスプリングワッシャやナットなども新品だ。しかも、少し前まで流通していた黄色いメッキのものを使用している。オイル汚れがなくなってキレイになったエンジンパーツと相まってキレイなメッキのナット類が映える。
02/21/2008

最初のヤマ場!第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その6

組み立てたベアリングケースにギア類を取り付けたクランクシャフトを取り付けて、一方でクランクケースについているクランクシャフトのフロントベアリングのアウターレースを新しいものに交換していよいよ最初のヤマ場、クランクシャフトをクランクケースに取り付ける作業に入った。

ご存知の通り、クランクシャフトはクランクシャフトベアリングケースのアウターとクランクケース自身と嵌めて支持している。これを抜き差しするためにはクランクケースを暖めてクリアランスを作り、その間に作業をしなければならない。所謂焼き嵌めする訳だ。ヨタハチを買って暫くしてそうやってクランクシャフトを支持しているのに驚いたが、理屈さえわかればクランクシャフト以外にも応用できて、作業する上では重宝する。例えばピストンからピストンピンを抜く時には絶対。常温でたたき出しても出来ないことはないだろうが、ピンを支持する部分に傷を入れたりとか、コンロッドを曲げてしまうなんてこともあるので勧めない。特に部品取りの車からパーツを外す際には結構トーチで炙って部品を外すなんてことは良くある。20年前後そのままという場合も多いので、スマートに作業しようなんて目論見はよく裏切られる。

さて、クランクケースを外で暖め始めたが、なかなか暖まらない。外では暖まった端からアルミ合金を介して熱が逃げていってしまい、人肌ほどの暖かさから温度が上がらなかった。流石は放熱性に優れた素材というべきか、その日よほど寒かったのか、原因はそのどちらともであろう。ちょっと怖かったが、室内に部品を移して再び作業する。

満遍なくトーチを当てながら改めて部材を見る。あんなに軽いクランクケースにあって、やっぱりクランクシャフトを支持する部分の肉厚はたいしたものである。満遍なく暖めたクランクケースにいよいよクランクシャフトを入れる。もう一度暖めなおさないと全部が入りきらないかも、と不安になったが杞憂に終った。一度の作業できちんと納まり、後のネジを締めるとキレイに定位置に納まった。ケースに収まったクランクシャフトを回してみると、滑らかに回る。上々である。

次にフライホイールとクランクシャフトのスペーサーとの間のクリアランスを見る。整備書によると、このクリアランス調整はクランクシャフト、フライホイール、それとスペーサーのいずれか1つでも交換したときには行うこととある。筆者の場合はスペーサー以外は全部換えてあるので必須の作業だ。たかだか100分の数ミリ単位。同じだけつけておけばいいなんていう人もいるが、ここの寸法をきちんと見ていないと最悪走行中にフライホイールが外れるなんてことにもなるので疎かにはできない。整備書にあるようにプラスチゲージを挟んで規定トルクでフライホイールを取り付ける。外してみるとやっぱりオーバーホール前とは寸法が違っていた。
02/18/2008

内燃機加工のメニューは?第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その5

ここで客観的に今回のエンジンオーバーホールに当たって、仲間と相談の上で内燃機屋さんにお願いした加工を羅列していくことにする。

@クランクシャフトのピン部の研磨。コンロッドメタルは0.05のアンダーサイズを使用。
Aシリンダーを0.5ミリボーリング、ホーニング。これに伴って0.5ミリオーバーサイズピストン使用。
Bシリンダーベース部の1ミリ面研。
Cシリンダーヘッドのバルブガイド打ち換え、バルブシートのカット。リーマー掛け。
Dフライホイールの軽量化。

いってみれば、当たり前のことを当たり前にできるようにしただけである。あえてチューニングといえるようなことは、Dくらいで、その他は内燃機関としてきちんと作動するように手を加えただけである。もっとも、結果から言えば筆者のエンジンがまともに作動しているとは思えないコンディションだったので、そこから考えればそうとういいことになるはずである。実はそれぞれに「はぁ、なるほどねぇ」と、専門職ならではの技もそこかしこにあるのだが、それらは書いているときりがないので割愛する。

いわゆるファインチューニング、言葉通り微細な調整(調教)をしたにとどまっている。それでいいのである。何しろ耐久性があって、フレキシブルで扱いやすく、時にはちょっと頑張れて、でいい。とはいうものの、ボアアップに加えて圧縮比も上がりフライホイールはもとの重さから20パーセントは軽くなっているからかなりフィーリングは変わっているのではと思う。
02/16/2008

買ったときの思い出が…第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その4

この日の為に買い集めていた新品の部品。今日、既に補給されていない部品も多数ある。その部品の数々を手にするとそれを買ったときの思い出がいくつも去来する。

ベアリングケースに新品のリアベアリングを油圧プレスを介して挿入するところをみる。トヨタの箱に入ったそのベアリングはトヨタからの注文品になっていて、トヨタ以外からのオーダーは受けられないものだとは買った当時はしらなかった。これも今は補給されていない。

0.5ミリのオーバーサイズピストンも今はなく、当然ピストンリングもない。買った当時、ピストンと同時にリングが発注できなかった。それほどお金がなかったのだ。一週遅れてピストンリングを発注して、在庫があった時には安堵したものである。

コンロッドは新品が確か2000円くらいで出ていたが、その姿の悪さに愕然とした。部品がちっともシャープでない。二本で重量差がかなりあった。これはもともとのものを使うことにする。

リアのベアリングケースには大きいオイルシールが付く。筆者が部品を買いだした頃にはリアのオイルシールは単品で補給していたがフロントのオイルシールは単品での補給はなくなっていた。そんな理不尽さに憤りもした。一方で代用できるオイルシールを見つけて嬉しかったこともある。

バルブリフターを初めて1台分買ったときはかなり思い切ったつもりでいた。忘れもしない、一個2460円していた当時だ。この小さい部品がそんな値段?エンジンを壊して間もなく、バルブリフターって部品があってそれは磨耗するということを外した部品を触ってみて痛感したあとだった。しかし今考えるとその値段で買えたからいいのである。今はその倍以上はする。

そんな思い出を紡ぐように、仲間の手によって次々とエンジン部品が組まれていく。合宿二日目でクランクシャフトにギア類を取り付け、リアのベアリングケースの組み立てが終っていた。
02/16/2008

やっぱり新車時の部品が一番…第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その3

今回エンジンを組み立てなおすにあたって、コンロッドとピストンの重量を測りなおした。もともと筆者のエンジンについていたコンロッドを測ると、一方は555グラム、もう1つは560グラムという結果が出た。両方ともコンロッドメタルをつけた状態での重さ。流石は新車時のコンロッドだ。左右の重量差もいい。後補給で新品のコンロッドを1台分持っていたが、確か600グラムを越えていた記憶がある。持ち込んだ予備のコンロッドは恐らく後年のミニエースのものだが、手で持っただけで重たいのがはっきりとわかった。このまま組んでもいいのかもしれないが、折角なので重たいほうを5グラム削って、重量を合わせた。

ピストンは0.5ミリのオーバーサイズピストンを使用することになった。こちらは同時期に新品の部品として取った2つのピストン。その重量差は5グラムあった。こちらも削るべきなのだろうがコンロッドとあわせても5グラムの差しかないことになるので、こちらは削るのをやめた。
02/15/2008

スラッジ!スラッジ!スラッジ!第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その2

エンジン組み立てに当たって、研磨が済んだクランクシャフトを洗浄した。オイル穴に入ってしまった切り粉を出すためである。仕上げにエアを吹くように言われて、言われるがままクランクピンやドライブギアの下のオイル穴からエアを吹いた。するとどうだ、墨汁のような洗浄液が勢いよく飛び出した。下に敷いていた新聞紙があっというまに水墨画のようになる。次にいくつか開いている穴を指でふさいでエアを吹いて下さいといわれて、その通りにする。すると「ポン!」という音と共に何者かが飛んできた。見るとそれはスラッジの塊。女性の小指の先ほどの結構大きいスラッジだった。

それからはクランクシャフトを洗ってはエアを吹き、エアを吹いては洗いを繰り返した。すると出るは出るは大小さまざまのスラッジが。スラッジが出なくなって洗浄液も水墨画のようにならなくなるまで5、6回は繰り返したと思う。どうやらそこにいた仲間にはそうなることがわかっていたようだ。しかし、あんなに何度も洗ったのにまだスラッジが出るなんてびっくりした。ただ、はじめからエアを吹いていたら同じ結果が出たかというとそうではないだろう。洗浄液で何度もやったからこそ、エアで飛んで出てくるスラッジも出たのだろう。

エンジンのオーバーホールで一番肝心なのはパーツの洗浄と筆者は書いた。この手間を考えるとオーバーホールにかかる費用の大部分が手間賃でもしかたがない。自分でやってみるとよくわかる。こんな感じで、その1で書いたことと今回でびっくりすることばかりで初日は終了。組み立ての工程にはいたらなかった。
02/12/2008

いきなりボーンヘッド!第3回エンジンオーバーホール合宿顛末 その1

あれだけ部品のコンディションを見ていたはずなのに、先入観とは怖いものである。いよいよエンジンパーツ組み立てのためのエンジンオーバーホール合宿、組み立てる前に部品の確認をしていた時に悲劇は起きた。タイミングギアカバーを見ていたとき、背筋が凍りついた。クランクシャフトが入るところについているブッシュに、まるで虫が食ったような穴が開いているのを発見した。合宿先の仲間と傷をみていろいろ可能性を考えたが、異物がかみこんで溶けたようには思えない。ということは製造段階で出来たものなのではないか、という結論に達した。

幸い、新品の部品としてそのブッシュは持っていた。ただ、クランクシャフト側との当り具合を見なければいけない。だが、クランクシャフトを加工に出す時間はない。となると、そこそこ程度のいい中古のタイミングギアがあればそれを使おうということにした。

そうは言っても、筆者のエンジンに使われているタイミングギアカバーは特殊である。フルフロー用になってすぐのタイミンギギアカバーはミニエースのパーツリストによると昭和44年3月から昭和45年5月の約一年間しか使われていない。他の年式でもいいじゃんと思うかもしれないが、これが別の年式のものだとここに使われるユニオンボルトのネジピッチが違ってしまい、今あるユニオンボルトが使えなくなってしまう。つまり、同じ品番のものしか使えないのである。

だが、ここが凄い。筆者の仲間はこのタイミングギアカバーを持っていたのである。さすがである。早速筆者のタイミングギアカバーと新しいブッシュをセットにして交換してもらった。ふつうはこうは行かない。この時点で合宿終了である。

今回はないだろうと思っていたが、急遽やっぱりパーツ洗浄をすることとなった。あらたなタイミングギアカバーを洗浄してみると、問題のブッシュのコンディションは程よい使用感がありいいかんじ。オイルポンプローターの入るところも傷が少なく、これならプレッシャーが落ちることはないだろう。オイル染みも少なくてむしろ筆者のものよりもいいぐらいだ。古いものには違いないが、新車当時からほどなく使われなくなったエンジンについていたもののようだ。

そして驚いたのがタイミングギアカバーの内側。なんと、日付と思われる数字の打刻があったのだ。44 6.23となっている数字をそのまま読むと、昭和44年6月23日に何かがあったことになるだろう。少なくともこの日付にはこの部品が存在していたことになる。

そのブッシュに問題があるなんてまったく思ってもいなかったのである。このまま気がつかず組んでいたらどうなっていたことだろう。自分の車と同じ部品も手に入るなんて、何者かに護られている感じがした。
02/12/2008

遂に完成!第3回エンジンオーバーホール合宿終了

永らく続けていたエンジンオーバーホールでしたが、おかげさまで完成と相成りました。組み立てを指導いただいた仲間には筆舌しがたいほど感謝している。この場でもお礼を言いたい。

今回出来たのはエンジンの本体部分。車体への搭載、補器の取り付けなどはエンジンの到着を待ってからだ。しかし、毎度筆者のエンジンには驚かされる。「こんなの普通ですよ」と、苦もなくいうが筆者のエンジンのコンディションは筆者の想像を超えていた。今回は加工の終ったエンジンパーツを組み立てるのが主な目的だったが、それだけではすまされなかった。もとよりオリジナルのパーツは使えない状態だったが、今回更にパーツを交換することとなった。加工や新品への交換などを全くしていないオリジナルパーツはいよいよクランクケースくらいになってしまった。

とはいえ、エンジンが完成したことで今回の44ヨタハチ改修計画は速度を増すものと思われる。詳細は後日。
02/11/2008

いよいよ佳境へ!第3回エンジンオーバーホール合宿へ

7日から第3回目になるエンジンオーバーホール合宿を行う予定である。エンジンを開けてみればびっくり、自分の予想をはるかに超えるコンディションの悪さ。決して調子の悪いエンジンではなかったのにこの体たらく。44ヨタハチを買って13年、この日のためにこつこつ集めていたエンジン部品はほぼ放出することになった。でもいいのである、直すために買ってきたのだから。押入れの肥やしにして時折出してほくそ笑むなんて趣味じゃない。骨董趣味のジジイではないのだから。むやみに使うのは諫められるべきだろうが、使うときにはきっちり使ってこと部品である。

エンジンのオーバーホールが終ったら我が44ヨタハチの改修計画も一気に進むものと思われる。夏頃までには路上に復帰できたらいいと思う。
02/06/2008

デッドストックの東芝製は貴重!今月の一枚解説

一月はしゃかりきになってシールドビームを集めたのでその画像だ。中でも東芝製のシールドビームである。以前にもお知らせしたとおり、東芝は自動車用灯火としてのシールドビームの生産を80年代の後半には終えている。つまり、そこから数えてもゆうに20余年の歳月が流れているので、仮に東芝製のシールドビームがデッドストックであったらそれは貴重である。画像は中古品の東芝製シールドビームのレンズ面である。

ことトヨタスポーツ800で言えば、その当時から補給されていたということがパーツリストでもわかるので小糸製と東芝製のものが双璧だ。個人的な格付けでは、@小糸、A東芝、Bスタンレー CIKI(市光)、後のメーカーは論外である。B、Cをつけていると「安いからこれにしたな」と足元を見られるのでなるべく避けたい。寿命もそれなりに短いようである。ましてや両方がそれぞれ違うメーカーだとケチって片方しか買わなかったなと、これまた足元を見られることになるので絶対に避けたいところだ。片方が切れると間もなくもう片方も寿命を迎えるなんてことがままあるので、切れたら両方換えるのがいい。片方だけ新品だと明度が違ったりするので、実用上もお勧めしない。

画像にあるごとく、シールドビームのレンズ面には製造された会社のマークが中央に入るのだが、これを見れば大雑把に古いか新しいかの区別がつく。

画像にある昔の東芝のマーク、東芝社内では「かさマーク」と呼んでいるのだが、同じかさマークでも画像のようにその周りが四角いものと楕円形のものがある。品物としてはこの四角バックのかさマークの方が新しいものである。楕円かさマークは更に古いので、あればその貴重さは更に増す。

一方、小糸製のシールドビームでは大雑把に分けて二種類のコイトがある。現在でもある四角いバックに小糸のCIが付く通称「角小糸」と丸のバックに小さい小糸のCIが入る通称「丸小糸」である。これも「丸小糸」は貴重。昭和41年頃まではこの「丸小糸」で補給されているはずである。小糸はさらに事情が複雑で、「丸小糸」でもガラスがあめ色をしているものと白いガラスのもの、「角小糸」でも中に入るCIとバックの形の組合わせの違いで3種類くらいに分けられるようだが、こちらの研究はまだ進んでいない。

大雑把であるがメーカー横断でシールドビームの貴重さランキングを書いてみると以下のようになる。1位は話の流れからすると逆転で「丸小糸」、2位は僅差で「楕円かさマーク」 3位は「角かさマーク」 そして殿は「角小糸」である。
筆者の経験では丸小糸はヨタハチ、パブリカ系車両では見たことがない。トヨタ2000GTに使われているのを現車で見たことがあるのと、新車当時の画像を丹念に見ると2000GTに丸小糸が使われているのがわかる。楕円かさマークはヨタハチよりもむしろパプリカに使われているのをよく見る。仕入れ単価が安かったとか、何らかの合理的な事情があるに違いない。部品取りの放置車ががあったら真っ先に確認することを勧める。かさマークは純正品番で頼めば来た時期があったようだ。補給されていない現在ではかさマークであればそれだけで貴重。やはり普通に使うには角小糸がルックスといい性能といい一番無難なチョイスだろう。雰囲気を重視する方には旧規格のものを、雰囲気も楽しみつつでも性能も欲しいという方には新規格のシールドビームをお勧めする。
02/03/2008