データできました…44ヨタハチ調査強化月間報告訂正

前回のトピックスで窓ガラスが全部69である車は無いかもしれない、と書いたがデータが全部出来上がったときに再確認したら、全部69の車はあった。生産末期の車に68のガラスが使われている例もあるので、もしかしたら…と思ったのだが自分が取ったデータを精査したらそれほど後半でもない車が既に全部69のガラスだった。
ガラスも謎の多いアイテムの1つである。
09/30/2007

やってみるものですね…44ヨタハチ調査強化月間報告

7月、8月を44ヨタハチ調査強化月間として活動してきた。幸いにも多くの方にご協力いただき、筆者のデータベースも充実した。ご協力いただいた皆様にはこの場を借りてお礼申し上げたい。

数もだいぶ増えてきたので、この際まとめようという気持ちになり、マニュアルと首っ引きで新たにデータベースをつくり直すことにした。仕事の書類は作れないがこういうものはすぐにできる。エクセルって使うの簡単だったんだと初めて思った。

まとめなおしてわかったことがいくつかある。搭載されているエンジンだが、この車体番号まではパーシャルフロー、ここからはフルフローという節目の車があると思っていたのだが、どうやらパーシャルフローとフルフローが混在する時期があってその後、フルフローに移行しているようである。

もとより、車体番号の若い順に若いナンバーのエンジンが載っているわけではないのはうすうす感じていた。例えば、車体番号で3番違いの車に載っているエンジンが、エンジンナンバーで言うと1番違い。しかも車体番号が若い方に後のエンジンが載っている例がある。また、車体番号では50番も違わないのにエンジンナンバーは千番くらい違い、しかも後の番号のエンジンが前の車体番号の車に載っている例なども有る。もっともその当時のミニエースやパブリカともエンジンナンバーはシリアルであるはずなので、千番くらい違っていてもそう大きい違いではない。しかし44ヨタハチの場合、仕様が変更されている時期に重なっているために大きい特徴の違いとなっている。

ライトスイッチには二種類あると別のページに記載してある。このスイッチ、当初は使用されている時期がそんなに長くはないのだろうと思っていたが、結構長い期間に渡っていることが明らかになりつつある。大体、前半の車はこのスイッチであると思った方がよさそうである。筆者としてはちょっとあてが外れた感がある。

その反対に、ホーンがマルコホーンだった時期は意外と早く終わっているかもしれない。

窓ガラスの年式にはまだ調査が必要である。もしかすると、全部が69である車は存在しない可能性が出てきた。
09/26/2007

これだから捨てられない!最後のクランクシャフト調達

先日寝る前にふと思い出した。「まだ、もう1台分コンロッドがあった」と。実はガレージの床に2つほど部品取りのエンジンがあることを思い出した。部品取りと言えば聞こえはいいが、クランクシャフトは回らずシリンダーヘッド、シリンダーは既に無く、フロントのタイミングギアカバーもない状態のもの。エンジンというよりも、昔エンジンだった金属の塊と言った方がピンとくる。2つあるほうの1つにはまだピストンとコンロッドが付いているのだった。既に見てきたとおり、古いエンジンの方が新車時に使われていた部品のクオリティは高い傾向にあるので、今日、そのエンジンから外してみようということになった。

作業に取り掛かるエンジンはパブリカに使用されていたもの。エンジンナンバー44万番台。クランクケースにはミニエースに搭載することになった後に作られたステーの取り付け部がなく、オイルラインのユニオンボルトも古いタイプのものである。ミニエースのミッションを五千円で買ったときにおまけでつけてくれたエンジンである。このエンジン、よく見るとリアのベアリングケースがクランクケースから少し外れている。ベアリングケースの一部は掛け落ちている。それを見てよくわかった。これは悪戯してしまったエンジンなのだと。

クランクシャフトリアのベアリングケースはクランクケースと焼き嵌めになっていることは周知のとおりである。じゃあ熱すればクランクはベアリングケースごと抜けるというので洒落でやってみた、というエンジンなのだ。この際に良くやる失敗がベアリングケースを欠いてしまうこと。ベアリングケースには三箇所、ボルトが入るネジ穴があるのだが、この三箇所にボルトを入れて、クランクケースを熱した後、均等に締めこんでいくとベアリングケースはきれいに外れる。この「均等に」というのが肝で、そうでないと意外と簡単にベアリングケースを壊してしまうのだ。このエンジンは失敗の典型だ。悪いことに、作業前にコンロッドを外せばいいのに付いたままベアリングケースを抜こうとして間違えに気がついて、そうこうするうちにベアリングケースを壊して嫌になってやめたパターンである。

回らないクランクに付いたままになっているコンロッドを外す。錆で固着していたらそのままくず鉄屋さんに持っていく心算だったが、意外や簡単にコンロッドボルトは回った。コンロッドを外してコンロッドメタルを見る。その瞬間ビックリした。これが意外とキレイなのである。使用感は流石に少しはあるが、偏磨耗していた筆者のヨタハチのエンジンから出てきたメタルに比べれば正常な使用感である。これはクランクピンの方もキレイなのでは?と思い、急遽クランクシャフトをケースから外すことにした。もうこの頃になるとコンロッドが欲しかったことが作業の動機になっていることを忘れていた。

ところがこれがうまくいかなかった。書いたとおり既に失敗してそのまま放置されていたエンジンである。3つある穴の内1つは既に壊れている。残り2つの穴にボルトを入れてトーチで炙った後、均等に締めていったがやはり2つとも途中で穴が崩壊した。後数ミリで外れるのはわかっている。再びトーチで炙った後、最後はクランクシャフトの頭にあて木をしてハンマーで叩いて外した。

かくして外れたクランクシャフトのクランクピンを見る。いや、これが実にキレイな肌をしている。このエンジンは大して走らないまま外されてしまったようだ。流石にクランクピンのオイル穴は1つであるが、これとて元のエンジンと同じであると思えばいいことである。このクランクピンならリペアスタンダードのメタルでいけそうな感じである。外したクランクをそのままにしても錆びさせてしまうだけなので、そこに再びコンロッドを組み付けた。組み付ける前にはエンジンオイルを塗っておいた。こうすればコンディションはそのままだ。ただ、タイミングギアカバーのブッシュと接する部分が錆だらけなのだが、こちらは研磨する以外しかたがないだろう。流石にこのコンロッドとクランクシャフトを使うような事態にならないことを祈るがこれを使うようなら終わりの、最後のクランクシャフトだ。思いがけず使える部品が調達できた。これだからくず部品も捨てられない。
09/22/2007

なんでこうなるの?コンロッドを観察する

筆者の44ヨタハチに使われていたコンロッドはパーツを洗浄させてもらった先においてある。見た感じは小端部のブッシュの緩い感じ以外はそのままいけそうである。とはいうものの、まだコンロッドの曲がりやゆがみなどの有無は精査してみないとわからない。もし、曲がりやゆがみがあるようなコンロッドを使おうものならエンジンブローの原因になるだろう。

クランクシャフトですら予想外の展開が待っていたので、この際ストックしていたコンロッドを出して、いいものから使っていこうと思う。

しかし、やはり部品は新車時のものがクオリティが高いようだ。それも古いものの方が高い。手元にあった中古のコンロッドはエンジンナンバー50万番台くらいのエンジンに使用されていたものが1台分。エンジンナンバー69万番台のエンジンに使われていたものが1台分ある。この両方を見比べると、組み付け方向のガイドになるトヨタの「ト」の字が後者の方がシャープではなかった。全体を比べても古いものの方がシャープな感じがする。両者を測ってみると、コンロッド一本あたり、10グラムほど古いものの方が軽い。古いものの方が汚れているにも関わらずである。軽さでいうと圧倒的に古いものを使いたくなる。

一方、左右の重量さを測ってみる。すると、後のエンジンナンバーのものの方が差が大きいことがわかった。というよりも、古いものの方が重さに差がなかった。軽い上に個体差がないとなれば、当然古いコンロッドを使いたくなる。実際にどれを使うか考えるときには、もともと44ヨタハチに使われていたコンロッドも曲げやゆがみがないか見た後で計ってみた上で考えないといけない。

実はかつて筆者は新品のコンロッドを持っていたが放出してしまったことがある。未使用なので曲がりや歪みとは無縁だったがこのコンロッドが曲者。重さが69万番台のエンジンのものよりも重く、しかも個体差が大きかった。あの当時まだ出たのだから、3台分くらいまとめて部品を取って重さの近いものを一組にすればよかったと思っている。確かお値段は3000円しなかったように思う。

これらのことから考えられるのは、やはりコンロッドを作るときに使った型は使えば使うだけ形がいい加減になっているのだろうということである。流石に型は一つではないだろうが、それでも同じように悪くなっていったのだろう。使用されている状況によって型それぞれの磨耗の度合いも違ってくるだろうから、元々は同じ大きさ、同じ重さで作れたものが、使用されるに従って固体差が出たのだろうと思う。
09/19/2007

単純に回ってた機会が少ないから?使用するクランクシャフト決まる

エンジンの動く部分の基本とも言うべきクランクシャフト、かねてより送っていた3本のうちから使用するものが決まった。やはり、コースターのクーラーユニットに使われていたエンジンのクランクシャフトが一番磨耗も少ないようなので、それを使うこととした。

とは言うものの精密に測ってみる必要はあるし、それを元に研磨をする訳だが。送った3本の中ではクランクピン部の傷は少なかったようだ。磨耗が少なかった原因は、やはりそれが走行用に使われていなかったこと。それとエンジン自体が同じ回転数でずっと回されているものなので、それがよかったのだろう。余分なストレスは受けずらかったに違いない。

リアのベアリングケースなど、クランクシャフトについている部品を取り外して現在洗浄してもらっているが、やはりそれなりに汚れているようだ。そこはそれ、クーラーユニットゆえ、オイル管理が多少甘かったのだろう。雨の当たるところではないとはいえ暫く置いたままになってもいる。できれば第2回エンジンオーバーホール合宿に行きたいところだが、そう何度も行くわけにもいかない。

このクランクシャフトは2穴クランクピンクランクだ。もとから比べると純正パーツ流用によるチューニングパーツになる。これでどのくらいフィーリングが変わるか、あるいは変わらないかを経験するのが楽しみだ。

エンジンの文字通り軸になるパーツは決まった。こんどはそこから出てくる部分の調達だ。
09/18/2007

疑問に終止符。カムシャフトの正体判明

もしかしたらCパーツ?と思っていた筆者の44のエンジンに入っていたカムシャフトだが、正体がわかった。オリジナルの2U用カムシャフトだった。

先般、識者に筆者のエンジンから出てきたカムシャフトを見てもらって、角度など測ってもらった結果、オリジナルと判明した。

こうなるとなんで2Uのテーキンが無いのか?という疑問が沸くが、2Uテーキンのないオリジナルのカムシャフトが存在していることをすっかり忘れていた。そのカムシャフトは前期の車には多く見られるという話をきいたことがあるが、後期にはないものと勝手に思っていた。

新車解説書にはカムシャフトにテーキンが入っていると書いてあるが、実物をみると必ずしも新車解説書とおりになっていない車を散見する。例を挙げれば、ベンチレーションチューブに700のパブリカのものを使っている車がある。そういう車がオリジナルでないのかというと、実は素性がわかっていたりする。

もしかしたらCパーツ?なんて思っていただけに、ホッとするやらがっかりするやらでなんだか複雑な心境だが、よしとしよう。同じ様な間違えをしてもしかしたらオリジナルのカムを捨てている人が過去にはいるかもしれない。これからエンジンを開けようという方には、比較するためにパブリカのカムシャフトを一つ持っているといい。筆者もパーツを洗っている現場でみていなかったら捨てていたかもしれない。
09/13/2007

機能が同じなら見た目も大事!ディストリビュータをリビルトする

44ヨタハチに使うディストリビュータのリビルトが今日やっと終わった。ここ5年くらいずっと気になっていたところだっただけにやり終えてホツとしている。

何がそんなに気になるか。実はこのディストリビュータに使われているバキュームアドバンサである。古いものと新しく補給されたものとではこのバキュームアドハンサの形が違う。新しいものはキレイな形をしているが、それでは古い車っぽくない。ここを見れば「ああ、新しいのに換えたんだ」と、一発で足元を見られることになる。困ったことにこの新しいバキュームアドバンサの方が古いものよりも壊れやすいときている。耐久性が上で雰囲気もあって機能は同じ。古いデスビを使わない理由がない。

バキュームアドバンサが気になるならそれだけ換えればよさそうだが、そうは問屋が卸さない。もう1つ気になるところそれは品番を書いているプレートだ。

古いものは-10012という品番で楕円形で金属製のちょっと立派なプレートがついているのだが、新しいものは-10013という品番でシールで終わっている。随分扱いが違う。この品番の変更は何が原因かというと、デスビの一番下にあるドリブンギアが変更になっていることだ。恐らく材質が変わっている。古いものは金属っぽいものだが、新しいものは樹脂のような質感をしている。

この-10012という品番のデスビを春ごろに手に入れ、先般のエンジンオーバーホール合宿で洗浄の上リビルトした。同じ品番のデスビが部品取りのエンジンに刺さっていたので、それを部品取りにしていいとこ取りで一本組みあげた。中の部品に良し悪しがあって、結構手間だった。
09/10/2007

新たに予想外の展開!44ヨタハチのクランクシャフトを精査する

パーツ洗浄の結果そのままでは使用不可或いは要交換のパーツが入った荷物を今日解いて、中に入っているものを精査した。その中でまたクランクシャフトにはビックリさせられた。

筆者のエンジンに使われていたクランクシャフトはクランクピンの部分に開いている穴が1つしかなかった。どうも無意識に、いや希望的観測も含めてフルフローのエンジンは即ち2つ穴のクランクシャフトと決めていたようである。だから送ったクランクシャフトは全て2つ穴のものである。見事に裏切られてびっくりしたのである。

別ページを読んでいただくとわかるが、44のヨタハチに使用されているエンジンのクランクシャフトは部品が換わる端境期にあたっている。昭和44年4月生産の物からクランクピンに開いているオイルの給油穴が1つから2つに変更されている。尚、旧部品と新部品とでは互換性がある。問題はエンジンナンバーがいくつからという表記はミニエースのパーツリストにはなされていない。

一方このエンジンがフルフロータイプに変更されたのは昭和44年3月生産からである。こちらはその変更を受けたエンジンナンバーが明らかである。フルフローに変更されている時期の方が2つ穴のクランクシャフトに変更された時期よりも先であるから、この頃のエンジンには時系列で言うと以下のようにクランクシャフトと潤滑方式の組み合わせに変化があるわけである。

@ 1つ穴クランクシャフト+パーシャルフロー(昭和44年2月まで)
A 1つ穴クランクシャフト+フルフロー(昭和44年3月以降 エンジン619495以降)
B 2つ穴クランクシャフト+フルフロー(昭和44年4月以降 変更時のエンジンbヘ不明)

筆者の44ヨタハチのエンジンは見事に2番目の組み合わせとなっている訳だ。単純に考えると、昭和44年3月に作られていることになる。

さて、これでまた1つ問題が浮上した。今オーバーホールを開始した筆者のエンジンのことだ。オリジナルを頑ななまでに堅持するというスタンスで行くならば、断然1つ穴のクランクシャフトを使用するべきである。それならまだ部品取りのエンジンはある。そちらのクランクシャフトの方がもしかしたら程度がいいかもしれない。クランクピンの給油穴が1つか2つかではフィーリングの領域ではかなり違うだろう。

一方でわざわざメーカーが変更をしたからには何か理由があるはずである。給油穴を増やしたということは即ち耐久性の向上を狙ってのことだろう。コンロッドメタルとクランクピンの間にオイルが行き渡る機会を増やすことで、コンロッドメタルの消耗を抑え焼損しないようにするための対策であろう。折角オーバーホールするのだから対策してある部品を使うべきだろう。耐久性は損なわないようにするという今回のオーバーホールのテーマにも沿う。

1つだけいえるのは、選択肢は増えたということだ。先ほど送ったクランクシャフトのコンディションの如何にかかっている。
09/08/2007

今すぐ共販へ走れ!コンロッドメタル補給打切の前兆

クランクピンの相方、コンロッドメタルを調達したのだが、いや状況は筆者が知るよりもさらに悪くなっている。どんな仕上げ寸法になろうとも対処できるように、もとより持っていたリペアスタンダードのメタルの他に、0.05ミリアンダーサイズのメタルを押入れから引っ張り出す。それからパブリカのパーツリストにはある0.25と0.5のアンダーサイズのメタルを発注したのであるが、これが袋に1つずつ入ってやってきた。つまりこれは生産困難部品ということである。エンジンオーバーホールが将来必要かもしれない方は今のうちに入手しておいたほうがいい。そんなの他車流用できるからと軽視している方もいるが、探す手間を考えると純正で手に入るときに手に入れた方が結果的に安く済む。

ヨタハチの修理書には0.05以上研磨してはならないと書いているが、実際は0.5まで研磨しても大丈夫なようである。筆者の信頼できる筋が既に長期テストしているが未だ何ら支障はないとのことだ。ただし、適切に仕上げていればの話である。信頼できる内燃機屋さんを見つけてやってもらうのがいい。レースとかスポーツ走行となると話は別かもしれないが、街乗りときどきツーリングの筆者には十分信頼性があると見ていいだろう。

尚、実際に研磨したクランクシャフトを使用する際にはオーナー自身の責任の下やっていただくようお願いします。また、どこで作業したらいいかなどのお問い合わせにもお答えいたしません。
09/06/2007

予想外に難渋!クランクシャフトの調達

かくして、筆者のエンジンはばらしてパーツを精査してみたら、交換が必要なものがたくさん出て来た訳である。これはダメ、これは要交換と当座使えなくなったパーツとそのまま使えるパーツを分けてみたら、部品点数でいうと4割、重さで言うと6割程が使えないことがわかった。そのまま使えるパーツをみると、いやぁずいぶん寂しくなっちゃったなぁ、という感じだ。そもそも部品点数が少ないヨタハチのエンジン。そこから更に4割の部品がなくなったわけだから実に寂しい。使えない、或いは使わない部品の多くが結構大きいものなので、その寂しさたるや相当なものだ。

とはいうものの、この時の為に44ヨタハチ所有後13年もの歳月をかけて営々と部品を集めてきたのである。この時をおいて他にストックの部品を吐き出す時はない。ここは惜しげもなく部品を投入しよう。どうせ墓まで持っていけないんだし。

まずはエンジンの肝心な部分、クランクシャフトを何とかしよう。ここが決まらないとエンジンの他の部分が決まらない。前述したとおり、通り一遍の修正ではもはや使用することのできない状態になっているのだ。

このクランクシャフト、筆者が44ヨタハチを手に入れた時には既に補給が終わっていた。なので、新品があればそれで決定なのだがそうはいかない。営々と集めていた部品の中に、中古のクランクシャフトは2本ストックしていて、それを使うことにしよう。1本は見た目きれいである。もう1つはクランクピンのところに錆はあるものの、研磨すれば大丈夫かな?の程度。一時屋外に放置されていたから、できれば使わないほうがいいかな、と思う。

ところが、クランクシャフトを送って精査してみるとコンディションはむしろ錆があるクランクシャフトの方がいいんじゃないかという。キレイなほうはクランクピンの部分にヘアライン状の傷があり、これをキレイにするのにどのくらい研磨が必要なのかがいまいちわからないとのこと。この辺から筆者の目論見は崩れてきた。

こういうときに頼りになるのは仲間である。筆者の近所のヨタハチ仲間にクランクシャフトを譲ってもらえないか頼んだ。すると快くくれるとの事。ありがたい。値段がいくらかなんて野暮な話はない。別の形でいつの日か返さねばならない。それまで借りにしといてもらう。

果たして、代わりのクランクシャフトを受け取りに行く。このクランクシャフトが入っていたエンジンはコースターのクーラーユニットに使われていたものだった。使われていた環境を考えると高回転で回されていない分、クランクピンの寸法は限りなく新品に近いものと期待させるが、一方でオイルの管理がどうだったかが未知数だ。走行には支障がないために割りといい加減にされていたかもしれない。実際のものはクランクピンのところに軽く錆は乗っているが、なかなかいい感じ。傷も少しあるが見る限りでは送ったクランクシャフトよりもよさそうである。

受け取ると今日の午後には筆者のエンジンのある地に送ってしまった。クランクシャフトのオイルラインの清掃などの手間を考えると、できるだけ早く送って作業に入ってもらわないといけない。果たして、新たに送ったクランクシャフトは如何に。
09/06/2007

オイル管理って大事だね…パーツ洗浄でわかったこと 最終回

基本といえば基本だが、オイル管理は大事だとつくづく思った。既に書いたとおり、リターンパイプにはスラッジがいっぱいに溜まっていたし、実はクランクシャフトのタイミングギアを外してみると穴を完全にふさぐがごとくスラッジがてんこ盛りであった。どこも油圧がかかっていないか低い部分なので、冷静に考えれば溜まってもしかたのないところである。しかし、あのスラッジが気まぐれを起こしてオイルのラインを流れたら、クランクピンに傷をつけたりするのかもしれない。もとより融けてクランクピンを保護するコンロッドメタルも、異物が流れてこなければ長持ちする。クランクシャフトのリアベアリングも使えないレベルではないが洗ってもなかなかオイル染みは落ちなかったし、タイミングギアカバーの裏もついにオイル染みは完全には落ちきらなかった。

筆者の車のエンジンは残念ながらオイル管理がいい加減な時期があったようだ。それも結構長く。クランクシャフトの例を出すまでも無く、機械部分に磨耗を与えるほどになってはやれマメにオイル交換していますだの、固いの柔らかいだのは全く意味がない。組みあがった後はきちんとオイル管理しようと思う。

ミニエースのエンジンも同じ感じかな。走っていて調子はいいけれど、分解したら「これはないだろう」って所はゴマンとあるんだろうなぁと思う。ミニエースのエンジンから初めてオイルを出したときの、あのつや消しになった黒いオイルの色は忘れられない。
09/05/2007

このカムシャフトは何?パーツ洗浄でわかったこと その6

エンジンの性能というか、キャラクターを有る程度決定するのがカムシャフト。今更言うまでも無く、パブリカとヨタハチとではこのカムシャフトが違う。二つを見比べればはっきりとそのカム山の形状、カムプロファイルが違うのはわかる。

異変はすぐに起こった。タイミングギアカバーからオイルポンプを外して、周りのナットを取り去るとタイミングギアについたカムシャフトの頭が見える。いわゆるヨタハチオリジナルのカムシャフトならここに「2U」と打刻が入っている。ところが筆者のエンジンのカムシャフトにはそれが無かった。

…終った。フルフローの2Uエンジンがあると大見栄切っちゃったのに言っていた本人のエンジンにそれが入っていなかったなんて。全国のヨタハチオーナーの皆さん、特にうるさ方の面々が筆者を嘲笑する姿が目に浮かぶ。帰ったらホームページ書き換えなきゃなぁ、などと思いながらカムシャフトを洗っていると何か違うことに気がついた。

このカムプロファイルおかしくない?ヨタハチオリジナルのカムシャフトとも違う。打刻が無かったからパブリカの?と思って手元にあったパブリカのと比較してみたが、それとは似ても似つかない。わかった、なんとかっていう専門店で売っていたカムシャフト?何とか技研で作ったもの?いや、つくりは純正と同じ、カム山以外のところはなにやら工作機械で削ったような感じで、純正に必ずある浮き文字の数字まで入っている。純正っぽいけどオリジナルじゃない、後から作ったっぽいけど社外じゃない。なんだこのカムシャフト?

ここは1つ冷静にカムプロファイルを精査してみる。まず全体的にカムプロファイルが大きい印象がある。エキゾーストのほうのカム山と併せて比べてみると、どうもオーバーラップが大きいというか長い感じがする。カム山の形状も変わっている。頭頂部を中心に左右を見比べると、対称ではない。ヨタハチの新車解説書には左右対称ですと書いてあったのに。特にバルブ閉じ側がじわっとゆっくり下がっている感じである。

非対称で思い出したのが、700のエンジンのパワーアップ、そしてヨタハチのエンジンを作ったトヨタの技術者、山川淑夫さんのお言葉。第一回日本グランプリに出たパブリカは高回転型にして尚且つバルブバウンスしないようにするために結果カムプロファイルが非対称になった。

ということは、本当にレースに使ったカムシャフトとは言わないけど、もしかしたらCパーツなのか?ただ、これは本当に仮説の段階である。まだ結論を出すのは早い。Cパーツ。いつかは調べないといけなかったのだが、情報が少なくて調べようが今のところない。
09/02/2007

まさか、社長自ら?「今月の一枚」解説

今月の一枚はディストリビュータキャップである。昔はこのように専用の箱に入れられて、ディーラーの工場の一隅に積み重ねられておいて合ったのかもしれない。トヨタに部品共販ができる前、よく出る部品はそれぞれのディーラーでストックがあるか、主幹店には部品部或いは部品係という役職があったらしい。

箱もさることながら、中のデスビキャップの品質たるや素晴らしい。キャップの材質は何故か重厚感のある素材だし、ポイント部分は現在の材質とは全く違う真鍮のような黄色い金属でできている。デンソーのマークもまだ筆記体のものだし。ビニール袋のコンディションも秀逸である。

青い部品箱のところでも書いたと思うが、当時の部品の箱には封印がしてあるし、中に検品した人の名前とその日付が印鑑にて入っている。このディストリビュータキャップの箱、上蓋の裏にその印鑑があったのだが、それを見て我が目を疑った。「39.10.31神谷」と入っている。箱にも書いてあるが、この部品を当時扱っていたのがトヨタ自販。そして自販の社長は言わずと知れた神谷正太郎氏。で、箱の裏の名前が神谷。社長が自ら検品していた?まさかね…。と、想像まで掻き立てる素晴らしい一品である。多分、これも一生使わない部品になるだろう。
09/01/2007