いいところも沢山!パーツ洗浄でわかったこと その5

このホームページを開設して6年になりなんとする。別のページに44年式に載せられているフルフロー2Uエンジンのことについて書いてはいるが、実際のエンジンを全部ばらして確認したのははじめてだ。これによってはUP30のエンジンを載せただけのものかもしれないし、筆者のいうことが正しいのか、重大な岐路に立っている。ことによっては全面的に訂正した上でお詫びしないといけなくなる。実のところ、細部を調べるのにびくびくしていたのだ。

別ページのフロフロー2Uエンジンについて書いているところに、筆者はこう書いている。「カムシャフト、フライホイールなどのスポーツ800の専用部品はそのまま使用して、オイル経路をフルフロー化したものです。」と。つまり、筆者のエンジンから2U専用部品が出てくれば自説は正しいことになり、44にフルフローの2Uエンジンが存在することの証明になる。しかし出てこなければミニエースのフルフローエンジンに手を加えたかUP30のエンジンであることになります。詳細は別ページに譲るとして、ここではエンジンを分解しないとわからない部分についてだけ、見てみようと思う。

まずフライホイール。これが凄く汚れていたのだが、洗浄してみると2Uテーキンが入っていた。ここで少しほっとする。筆者が一番見たかったところ、それがバルブコッター。ここは実は2Uは専用部品で、2U用はパブリカに比べて少し長いものが入っている。バルブコッターを外して、パブリカ用のコッターと比べる。果たして筆者のエンジンから出たコッターはめでたく2U用だった。

ここであらかた安心したのだが、肝心のカムシャフトが…。ちょっと困ったことになった。
08/31/2007

修理屋さんのセンスはどうなの?パーツ洗浄でわかったこと その4

前述したとおり、筆者の44ヨタハチのエンジンは購入後半年で壊し修理している。今回エンジンを開けてみて、その時の修理のいい加減さが明らかになった。道理で修理後も調子が良くなかった訳だ。

まずピストンリング。ピストンリングはどうやら他車流用のようである。いや流用してもいいのだ。しかしセカンドリングの厚みがピストンの溝に入っているだけで、寸法が足りなくなっていた。オイルリングはエキスパンダの中に入っているべき線が途中で切れている。これは流用するのとは問題の方向性が違う。

シリンダー内側をみるとホーニング跡がほとんど残っていない。これなら修理の際にもさほど違いはなかったはずだ。だとしたら、オーバーサイズピストンを入れてシリンダーのボーリングとホーニングを勧めるのが本当なのではないかなと思う。右のシリンダーには傷があり、これだけでもボーリングは決定である。

バルブリフターは全部交換したのかと思いきや、どうやらコンディションの悪かった二つを交換して、よかった方はそのまま使ったようだ。エンジンから出してみたら、コンディションが一様でなかった。道理でエンジンを直したはずなのにリフターの音がカキカキいう訳だ。これも交換決定だ。

コンロッド小端部のブッシュは既に少し減っていた。音が出るほどではなかったが、ピストンピンを抜こうとするとコンロッド小端部からはスルッと抜けた。

プッシュロッドカバーの根元のゴムのブッシュには、中にシーラーが塗られていたし…処置がだめなところがいくつもある。この修理でよかったところといえば、バルブガイドがブロンズに換っているのを確認したことだ。これは無鉛化対策をしてくれと筆者が言ったからだ。今考えると、こんなことしなくてもこのシリンダーヘッドは大丈夫なのに、聞きかじりの知識でいかに発言していたか恥ずかしくなる。

この当時は筆者も勉強していなかったのだなぁと痛感する。この勉強代に当時27万円支払っている。払うのはいい。しかし合っていないオイルリングや多分役にたっていないシーラーに27万円支払った心算はない。
08/30/2007

そんなにダメだったのね… パーツ洗浄でわかったこと その3

ここまで来るとそうそうの事では驚かなくなったが、いや、これにはびっくりした。ヨタハチのベンチレーションチューブの下には、ブローバイで出たオイルがクランクケースに戻るようにリターンパイプがあり、その下はユニオンボルトでクランクケースに留まっている。エンジンのパーツを洗うわけだからここも当然外したのであるが外した瞬間目を疑った。

まず、下のユニオンボルトを外す。苦もなく回って外れたのであるが、外したユニオンボルトを見てビックリした。「あれ?これユニオンボルトだったよな?」ボルトのねじ山の部分にある穴がそのユニオンボルトには無かった。やられた、こんなところに普通のボルト使いやがって、と思ったのだが、良くボルトを磨いてみるとかすかに穴の跡が出てきた。そう、ブローバイから出たオイルに含まれるスラッジが長い年月を経て溜まり、やがてこれを栓するかのごとく固まってしまったのだ。これにはビックリした。もしやと思ってリターンパイプを外してみてみると、パイプの上の口までスラッジでぎっしり詰まっていた。つまり、このリターンパイプは機能していなかったのだ。

長く走るとここに繋がるホースからオイルが出ているような気がするのだけど気のせいかな?と思っていたのだが、結果からいうと気のせいではなかったのだ。このパイプを通るオイルは他のところと違って圧がかかっていない。そのためにここにスラッジが溜まりやすいようだ。手に入れてから一度もこの部分を外してみたことのない方には是非一度外してみることをお勧めする。

ユニオンボルトとリターンパイプを洗浄液に漬けては洗い、洗っては漬けたが一向に穴が開通する様子がない。遂には針金で穴をほじくってとりあえず通し、その後も洗っては漬け漬けては洗いした。
08/29/2007

やっぱりダメだったのね… パーツ洗浄でわかったこと その2

今回のエンジンオーバーホールの遠因はオイルリークだった。元々はオイルシール類を交換する。するとリアのクランクシャフトのオイルシールも交換したくなる。じゃあ、全部バラそう。ということになった。原点にたちかえってクランクシャフトのフロント、リアのオイルシールはどうか見てみた。

フロントのオイルシールはクランクシャフトプーリーを外して触った瞬間、終わっていると感じた。既にレコード盤くらいの固さに固くなっている。リアのオイルシールはどうか、こちらはフライホイールを外した瞬間終わっていると思った。フライホイールの裏側は満遍なく油うんこがついていた。出所はリアのオイルシールからである。間違いない。どうやら両方とも一度も交換されていないようだ。少なくとも筆者は交換したことがない。

タイミングギアカバー、ポンプロッド、オイルポンプカバーのOリングは断面が丸ではなく四角くなりしかも全部固い。唯一、プッシュロッドカバーのOリングは柔らかかったが、これは筆者が以前に交換したからだ。

どうせ換えるつもりでいたから文句は言わないが、これほどことごとくダメだとちょっと滅入る。
08/28/2007

基本的にダメだったのね… パーツ洗浄でわかったこと その1

エンジンのオーバーホールに際して、全部分解してパーツ洗浄してきたのは既報の通りである。ここ暫くはこの時に気がついたことを通して筆者の44ヨタハチの状態を詳しく見ていきたいと思う。程度の差こそあれ、これを読んでいる皆様にも思いあたる節があると思うので、参考にして欲しい。

筆者のエンジンは購入半年で一度壊していて、今考えるとオーバーホールとは言わないが直していた筈である。その時の直接の原因がコンロッドメタルが減ってものすごい音を発するようになったからだ。分解したエンジンのコンロッドをよく洗って部品を見てみると、換えたコンロッドメタルに目が奪われた。「なんだこの減り方は・・・」コンロッドメタルの下半分は昨日取りつけたんじゃないか?と疑うくらい表面がきれいになっているのに上半分のコンロッドメタルは部分的に艶のある金属部分が出ている。面当りしているところもある。これはおかしい。筆者が持ってからは1000キロ程でオイルの交換もしたし、走行距離にしてもオーバーホール後3万キロも走っていない。もう一方のコンロッドの方も、程度の差こそあれ同じ傾向を示している。いろいろと検討した結果、クランクシャフト側、クランクピンの不良の恐れがあるのではということになり、クランクピンの寸法を測ってみようということになった。

クランクピンの直径をマイクロメーターで一度測り、今度は90度回転させた位置に変えて測ってみる。この二つの計測した数値の差が大きければ大きいほど楕円形になっていることになる。これで大まかな傾向はわかる。果たして二つのクランクピンを測ってみた結果だが、わかった途端に全てが終わった。

前のクランクピンの数値が0.65ミリ、後のクランクピンが0.29ミリ、二点の数値の差があった。つまりえらい楕円形になっているということだ。特に0.65ミリというのがいけない。研磨してアンダーサイズのメタルを入れたとしてもカバーできる数値ではない。これにて筆者のクランクシャフトは廃棄決定である。このクランクシャフトでやれオイルを固いの入れたとか、添加剤を入れたらよかったなどと言っていた訳だ。多少良くなってはいただろうが、根本的な問題の解決にはなっていない。逆に言うと、こんな状態で調子よく感じられるほど、このエンジンは消耗に強いともいえる。

幸い持っていたストック部品の中にクランクシャフトが複数あるから、それを使うことになるだろう。いずれもミニエースのエンジンからのものだから、消耗もヨタハチのものよりは少ないことを祈ろう。

実は購入半年で故障したときのコンロッドメタルを今でも持っている。これを出して見たら、今のコンロッドメタルと同じような消耗の傾向がある。このころからクランクシャフトの状態は変わっていないということだ。
08/28/2007

勉強になりました!第3回パーツ洗浄合宿終了

23日から25日の3日間、第3回になるパーツ洗浄合宿を行った。今回もパーツ洗浄台を貸してくれた仲間にはお礼をいいたい。今回のパーツ洗浄合宿はすなわち、第1回エンジンオーバーホール合宿といいかえるべき充実した内容だった。

詳細は今後お知らせすることにする。まずは今回の合宿の総括から始めたいと思う。

まず初めに、エンジンにとっていかにオイル管理が大切なのか痛感した。はっきり言って、一度オイル管理を怠ったエンジンはコンディションのリカバーが利かないのである。いくら洗浄液につけても、如何にこすっても全くびくともしない汚れが少しだが残ってしまっている。筆者のエンジンはそれがために、取り返しのつかないことになってしまった。これは筆者以前のオーナーの怠慢によるものである。

次に、パーツの洗浄は大切であるとわかった。エンジンをバラして駄目な部品を換えて再び組み立てるという工程に、パーツを洗浄することは一見副次的な要素のように考えがちである。しかし、やってみるとわかる。オーバーホールにとってはパーツ洗浄は下ごしらえ。この良し悪しで出来上がるものの味が変わってきてしまう。地味だがそれがいかに大変でいかに大切なのかわかった。出来上がったものに対して作業料が高いだのとむやみにいう人がいるが、出てきた金額は決してアンリーズナブルな価値ではないことがわかる。仮に自分のエンジンでなかったら、この三日間でそこそこもらわないと合わない。義理や心持だけではモチベーションを維持できない。

総合して考えると、現在の44ヨタハチを持って13年目になるが、自分の車のことでまだまだ知らないことがあるのだなぁと思った。非常に勉強になる3日間だった。
08/27/2007

エンジンオーバーホール本格始動!エンジンを発送

本日、筆者の44ヨタハチに載っていたエンジンを発送した。エンジンパーツ洗浄合宿をやる先にである。お世話になる皆様には改めてこの場でお願い申し上げる。
当初はオイルフィルターとデスビもつけた状態で発送しようと思ったが、かさばるし重さも馬鹿にならないので、フューエルポンプ、デスビ、オイルフィルターケースを外した。輸送中に折れたりしたらいけないので、オイルチューブも外した状態にした。部品取りのエンジンをこの状態にしたことはあったが、自分の車に載っていたエンジンをこのような状態にしたのは初めてである。いままで外したくても外せなかったオイルチューブをタイミングギアカバーに留めているユニオンボルトを外す。ここに使われているガスケットは生産当時のものなのかもしれない。デスビはもとより新しくなっていたので、当時物にする心算だ。フューエルポンプのロッドの周りにあるOリングはやっぱり硬化している。オイルフィルターケースには買った当時オイル漏れに悩まされたものだ…部品を外していくにつけ、いろいろな思いが去来する。
外せる補器を外したエンジンをみると改めてオイルが満遍なく乗っているのがわかる。エンジンの梱包のためにパレットを仲間からもらってきた。結わえ付けるタイラップが付いてきた。ありがたい。エアキャップを近くのお店から一巻買ってきた。実は梱包は筆者の得意技である。学生の頃、引越しのバイトをしていて梱包裁きのあまりの鮮やかさに美術品輸送の係りとして紹介してもいいといわれたくらいだ。数あるガムテープの中で、筆者がベストと思う寺岡製作所のガムテープとエアキャップで、パレット上に置かれているエンジンを梱包した。
今夕、そのエンジンを仇敵の佐川急便に持っていた。ここは梱包が甘いといわれて発送を拒否されたことがあるからだ。今回はそこの社員にぐうの音もでないほど素晴らしい出来栄えだ。やっぱり自分のものとなると気合が入る。
タイミングよく九州に行くトラックが出る前で、そのトラックの運転手に直接エンジンを手渡した。
08/10/2007