オーバーホールは… 第2回パーツ洗い合宿終了

先週の22日から24日まで、第2回目になるパーツ洗い合宿を行った。今回も場所とパーツ洗浄台を貸してくれた仲間にはお礼をいいたい。

ステアリングギアボックスのオーバーホール、リアアクスルのホイールベアリング交換を終了したのでいよいよエンジンの整備に着手することにした。本当ならオーバーホールといいたいところだが、整備…微妙な言い回しになってしまうのはオーバーホールというにはおこがましい内容で終わってしまうからだ。せいぜいやってもピストンやコンロッドの重量合わせまでぐらい。カタログスペックの45馬力がきっちり出てちっとも危うい感じがしなければそれでいいのである。調子自体はそう悪くはないのだが、オイルのリークが結構ある。主にフロントのタイミングギアカバーあたりからのオイルが多いようだが果たしてどこから出ているのかははっきりとわからない。降りているエンジンを見ると、フライホイールの前側までオイルの汚れが来ている。リアのオイルシールもどうやら怪しい。

まず手始めに、クーリングシュラウドの塗り替えをすることにした。というと、オーバーホールとは関係ないじゃねぇか!と、突っ込みが入りそうだが、外してみたシュラウドの内側を見ると長年のオイルリークと走行風に含まれた埃で育まれたあぶらうんこが満遍なくびしっと詰まっている。これを洗い落とすだけでも充分オーバーホールの作業だ。加工に出すにしても、分解するにしても現状を精査するためには洗浄は欠かせない。オーバーホールの作業の5割はパーツ洗浄と言っても過言ではない。今回はこのシュラウドの他に、灯油でははなから洗浄できないほど汚れていたデスビとあぶらうんこまみれでくずパーツと言っていたエンジンのショートパーツ類を洗浄した。

結果、デスビのパーツはキレイになった後、一本のデスビにくみ上げられた。くずパーツもすっかりきれいになり再び使用するのに充分耐えられる。そのままならごみ、洗って取っておけば貴重なパーツなのである。肝心のクーリングシュラウドだが、汚れは落ちたものの塗装はところどころはげている。一方で重ねて塗っているところもあり。部分的には表面に錆が現れている。これをサンドブラストに出して塗ることにしよう。44のヨタハチらしく、色はパスター色。共販で板金部品を頼むと塗られている深みは無い黒色だ。
02/27/2007

「こんなの出るだろう」は命取り?補給されていない細かい部品

44ヨタハチの修復も進んだところで一挙に部品の整理をした。いろんなところにちょぼちょぼと部品があったので、それを少ない拠点に集中させた。忙しいときには全く手を付けられないので、時間があって思い切った時に勢いでやらないとたぶんこのままずっとしないんだろうなぁと思って手を付けてみた。いや、手を付け始めてみるとこれが大変で、結局事態が収拾するまで2日かかった。

部品と言うといろいろなものがあったが、実は大きいものよりも小さいものを整理する方が大変で、しかもこの作業をおろそかにすると、いざ使うときに「あれっ?ここにあったのに!」となって混乱すること請け合いだ。そして、この小さい部品にも確実に補給打切の魔の手は伸びているのである。

最近補給されなくなった小さくて専用に近い部品をいくつか列挙してみよう。まず、エンジンパーツ。シリンダーヘッドをスタッドボルトに留めるキャップナット、実はこれが補給されていない。ついでに言えば、シリンダーヘッドの外側でヘッドを留めているナット、これも補給されていないしその下の厚いワッシャも実は危うい。これだけ考えてもキレイにシリンダーヘッドが留められない事態になっていることがわかるだろう。

スターターモーターの上にイグニッションコイルがついているが、これに必要な足の短いボルトが補給されていない。もっとも、こんなのは切ればいいのかもしれないが。

オイルポンプカバーのリリーフバルブスプリングが入るところに大きいプラグがあるが、この下にあるガスケットはかなり前から無い。できるなら開けないことをお勧めする。

燃焼式ヒーターの部品で小さい部品も危うい。ヒータースイッチとコントロールワイヤを留める小さいクリップがあるが、これが実は補給されていない。パイロットランプの電球もトヨタ品番では補給が無い。

シフトノブの下に薄いナットがある。ノブの下にこれがないとノブがクルクル回ってしまい、シフトパターンが明後日の方向を向いてしまう。このナットなどはかなり前になくなっている。イベントなどでシフトパターンがあらぬ方向を向いている車を見るが、オーナーの程度が知れてしまうので気をつけるべき点である。シフトパターンが変な方を向いている車がマメにオイルを交換していると思うだろうか?

最近一番のショックはライトカバーを留めるビスが補給されなくなったことだろう。ビスの頭が半円形でもなく、かといってまっ平らでもないあの微妙な丸みを持っているのが特徴である。あの丸みのあるビスは自動車専用だそうで、いざ探してみるとわかるが探すのはなかなか骨が折れる。頭の平らなビスを使っている車を見ると、なんだかライトカバー全体がいびつな感じがするから不思議だ。

幸か不幸か、筆者はヨタハチに乗る前にスバル360に乗っていた。このスバル360、実はナット一つ、曲がってもボルト一本捨てることの出来ない車なのだ。古い車になれば、「これもしかして旧陸軍の規格?」と思わないと理解できないピッチのナットやボルトはざらにある。昭和42年以降のISO規格の入っているはずの年式でも、部分的には旧規格のままだったりする。同じ部品を留めるナットが若干の年式違いで使えないこともある。ボルト頭のカタカナの「フ」の字は富士重工のマークではなく「捨テル不ズ」の「不」と思っていい。ヨタハチに乗ってもその習慣が筆者には残っていたので意外と失敗は少ないが、後悔しない瞬間がないとはいえない。
02/13/2007

結果オーライ?ドライブシャフト取り付け完了

一筋縄でいった例があまりないせいか何をするにも疑り深くなっているのだろうか。本日、ドライブシャフトの取り付けを完了した。あまりにあっさり終わったので、はっきり拍子抜けしている。

本当は今日、作業を終えるつもりはなかったのだ。とりあえず、両方のオイルシールを外そうか…。それだけで終わりにするつもりだった。ガレージに行って、ごみが入らないようにウエスを詰めたリアアクスルハウジングをみる。オイルシールを見てみると、リップ部の変形などはなし。やわらかさも十分ある。「これ、外す必要あるのか?」もっとも根本的な疑問が浮かぶ。どうやら一度はこのオイルシールの交換をしているらしい。そうでなければあれほどやわらかくはない。エンジンやミッションなどに使われているオイルシールを外したことがある。交換しようと思うオイルシールは、それはそれは凄いコンディションである。しかしこのオイルシールはそんなことはない。暫く考えた後、今回はオイルシールの交換はやめることにした。

となるとドライブシャフトである。オイルシールのリップ部にグリスをつけて、ドライブシャフトを差込む。デフのサイドピニオンにあるスプラインを探してドライブシャフトを入れる。ブレーキのリターンスプリングをよけながらにドライブシャフトを更に差込む。最後はドライブシャフトにあて木をして、その端をハンマーで軽く叩いてホイールベアリングをハウジングの中にはめ込む。これをもう一方でもやると、作業は完了した。

さて、問題は左のシャフトに出ていたガタである。スラスト方向、今ドライブシャフトを差込んだ方向にガタがあったことがこの大修復計画のはじまりなのだ。バックプレート裏に出るボルトをナットで留めて均等に締めこむ。疑い深くなっているからそれでもきっとガタは直らないんだろうな…。いや、ベアリングは新品にしているんだし大丈夫だろう。いや、ハウジングの方でガタが出てるんだろうか、と、ナットを締めながらいいこと悪いこといろいろな思いが頭をよぎる。

ナットを締め終わった。ホイールを留めるボルトを恐る恐るボルトに手をかける。ボルトをつまんで軽く力を入れて引く。…ガタがない。疑り深くなっているから今度は両手でボルトをつかんで引いてみる。やっぱりガタがない!ドライブシャフトを外す前、少しあったガタが今は全くなくなっている。

これにて、リアアクスルの修復は終了である。いやまだ何かあるのかもしれないけれど、これ以上違う結果はでない。本当なら44ヨタハチ修復計画は一挙に加速するだろう。
02/06/2007

ますますわからない…分解したドライブシャフトを精査する

ドライブシャフトから外したホイールベアリングとリテーナーを精査した。分解する前にはきっと左側のドライブシャフトが比較すると駄目になっているんだろうなと思っていたが、どうもそうでもなさそうである。

まずベアリングとリテーナーを外す前に、ベアリンクの外側を万力で挟みドライブシャフトとベアリングの嵌合の具合を見てみた。ドライブシャフトを横方向にゆすってみたがピクリとも動かない。結果は右も左もがたはなかった。ということはがたはベアリングとドライブシャフトの間では出ていないことになる。

外してみたホイールベアリングはさすがに年月を経ているために、回してがらがらと音はしないものの中に入っているはずのオイルは既にかなり程度抜けている。左右のベアリングを比べてみると、意外なことに左のベアリングの方がコンディションがいい。がたが出ているはずの左側がである。他を見てみると、左のリテーナーの底部に傷が、左のドライブシャフトにも小さい傷があった。これらから考えると、どうも左のドライブシャフトだけベアリングの交換はしたようである。ただ、傷から察するにリテーナーは再使用。しかもSSTが無いから使えそうなもので作業をした。ただ、少し気が利いていたのは脱着の作業中、リテーナーを暖めていたことだろう。常温で着ける作業をしたらドライブシャフトに長くて細い傷がついていてもおかしくない。
02/06/2007

ビンテージパーツシリーズその2 オイルレベルゲージ

今月のビンテージパーツはオイルレベルゲージである。このパーツ、実は筆者がヨタハチに乗り始める直前、90年代前半には平気で出ていたパーツである。だから新品を持っているという人は大勢いると思う。写真に出ているオイルレベルゲージは恐らく昭和40年代のものだ。輸出用のトヨタのカタログにある東京の個人タクシーの上に載っているカタツムリのような形のぼんぼりに似ているマークが入ったシールがついている。当時物と言っても過言ではない。先日格安の値段で手に入れた。だか見た瞬間また使えないパーツが増えてしまったとうれしく思うやら悲しく思うやらで複雑な心境だった。

このオイルレベルゲージ使うなら断然古いものの方がいい。最近まで補給されていたものとの違いは、その長さにある。

オイルレベルゲーシはクランクケースに差込むと先端がオイルパンの中に浸されるわけだが、差込んだところから先端までの長さが新しいものを古いものと比べると新しいものが若干短くなっている。ということは、古いレベルゲージで適正な油量だとしたら新しいゲージで量ると足りなくなるのだ。個体差があるので一概には言えないがその差およそひとメモリからひとメモリ半である。オイル管理の第一歩、オイルレベルを量るものなのにそもそも古いものと新しいもので長さが違うなんてあってはいけないことである。

いいように解釈すれば、オイルを消費する分を見越して多く入れることになるということもいえるかもしれないが、そもそもオリジナルは大事な根拠があって決めたはずである。
02/06/2007