もう一つの山を越す?ホイールベアリング交換完了 その1

今までのことがなんだったのだろう、と思うくらい今回の44ヨタハチ修復計画のもうひとつの山、ホイールベアリングの交換が終わってしまった。こんなに簡単に終わってしまうくらいならさっさとやってしまえばよかったのにと思う。が、ことはそんなに簡単に終わるとは思えない。だが、今のところはよしとしよう。

しかし、今回ほどSSTを持っていて良かったと思ったことはない。リアアクスルのホイールベアリングの交換というと、その手前にあるリテーナーを外して、ベアリングを外して付け替える。しかし言うほど簡単ではない。一般的にはまずリテーナーをグラインダーで削って薄くして、たがねで割って外す。或いは酸素でリテーナーを焼き切るのである。これを読んだだけでも自分でやるのは無理と思う人は大勢いると思う。しかもいずれの方法でも肝心のドライブシャフトに傷を付ける恐れがある。熟練が必要だ。しかしヨタハチ、パブリカの場合この作業をするためのSSTがある。これを生かすためにリテーナーの外側にはねじ山が切ってあって、このねじ山にSST側のネジをかましてナットで固定するとリテーナーとホイールベアリングがプレスのワンアクションでドライブシャフトから外れるのである。今回ははじめてやるということもあってリテーナーとホイールベアリングを同時に外すことはせず、リテーナーとベアリングをSSTを使って別々の作業で外すことにした。

しかし作業をするとあっというまだった。プレスとSSTを使うとあれだけ固くついていた部品が苦もなく外れていく。取り付けるときもそうだ。SSTにセットとしてついているでかいソケットレンチのソケットのような工具を使えば無理に力を掛けることなく新しいベアリングがドライブシャフトに収まっていく。作業の時間は3時頃から始めて6時には終わった。そのうち、リテーナーを暖めるために使った古い電気レンジ(電子ではない)を治す時間に2時間を要していたから、実質作業時間は1時間である。1時間で数年来の懸案がとりあえず解消してしまったのだ。
01/31/2007

なんだか嫌な予感…ドライブシャフトを精査する

筆者の44ヨタハチは左のホイールにガタがあることをどこかで言ったと思う。問題はどこで出ているか、である。原因を抱えているドライブシャフトをしげしげと見てみると、小さいことだが「なんだこりゃ?」と思うところを発見した。リテーナーのアウター側にプーラーを引っ掛けたかのような傷が残っていた。プーラー?ということは、少なくともドライブシャフトのホイール側からデフ側に引っ張った形跡があるということである。ってことは外したリテーナーをもう一度元に戻した?再使用不可部品のリテーナーを?嵌合が甘くなるから再使用不可なのに?もう、疑問符が次々と浮かび続ける。「一体あなたは今までどんな経験をしてきたの?」清楚なお嬢様キャラだと思っていた女性がびっくりするようなテクニックを図らずも披露してしまった時のよう。しかし、その瞬間百年の恋も覚めるようでは旧車趣味などできないのである。そんな経験をしたから今のあなたがあるのでしょ?ありのまま全てを甘受する。その気持ちが必要だと筆者は思う。

肝心のホイールベアリングも外した直後はどこもおかしくないと思っていたが、新品のベアリングと比較すると全く駄目である。オイル封入型のホイールベアリングはクルクル回るようではそもそも駄目なのである。新品のベアリングは水あめを人差し指でかき混ぜた感じの軽い抵抗感があるのが正解である。そう、既に中にあるべきオイルはすっからかんなのである。もっとも、ここまできたら換えられる部品は全て交換なのでなんてことない。

これを読んでいる人に必ずいると思う。「オレ様の車はそんなこと絶対ないぜ」と、自信を持っている人が。だがその自信は全く根拠がない。なぜそんなことをいえるのか?全く根拠の無い自信を持っていたのが部品を精査する前までの筆者であったからだ。
01/30/2007

修復計画進む リアアクスルベアリング交換に着手

今回の44ヨタハチ修復計画のもう一方のメインメニュー、リアアクスルのベアリング交換に着手した。車体後部をジャッキアップして、ホイールを外しブレーキドラムを外す。するとリアのブレーキが姿を現す。バッキングプレートの裏で止まっているナットを外し、ドライブシャフトに開いている穴にボルトを締めこんでいくとドライブシャフトは外れて手前に出てくる。この時、ブレーキのリターンスプリングが邪魔になるが、上のスプリングを一つ外すだけで容易に外れる。

さて、外してみたドライブシャフトであるが構成している部品は後期のヨタハチのパーツリストと同じだった。もしかしたら筆者の言う22型44ヨタハチの部品構成だったらどうしよう、と思っていたがそれも杞憂に終った。問題のホイールベアリングだかそれ自体を触った限りではそう悪い感じはしない。じゃあ何が悪いのか、これから精査する必要があるようだ。
01/28/2007

ビンテージパーツシリーズその1 リアコンビネーションランプレンズ左右

今年の「今月の一枚」は予告した通り筆者の持つビンテージパーツをシリーズでご覧頂こうと思う。今回選んだパーツはリアコンビネーションランプのレンズである。なぜこれを選んだのかというと、筆者の言う「ビンテージパーツ」のコンセプトが一番よくわかるからである。

まず、パーツそれ自体が古いこと。このレンズ、箱に書いてある数字をそのまま年号と考えれば実に昭和46年に補給されたものである。筆者の44ヨタハチから考えても、実に2年しかたっていない。こういうパーツを手にするといろいろな思いが筆者の脳裏をよぎる。この頃は部品共販にいけば、なんでも部品が手に入ったんだろうなぁ。貨幣価値はともかく、今よりも安い金額で手に入ったんだろうなぁ。この頃にヨタハチを持っていれば、今頃パーツで蔵がたったかもしれないなぁ。自分の机の引き出しにタイムマシンがあったらいつでも買いにいけるのになぁ。いや、でも貨幣が違うから買えないか?カード払いはできるのかな?TSキュービックでポイントたまるかな…などと、あらぬ妄想に耽ることができる。妄想を掻き立てることのできるパーツ、これがビンテージパーツの素晴らしいところである。

次にコンディションがいいこと。傾向としてはデッドストックの新品がいいことになるが、それが絶対の条件ではない。実用に供していたか或いは実際に実用していてもコンディションがよければそれでいいのである。このレンズでいうと時間は経過しているが新品でありコンディションは抜群。惜しむべくは片方の箱は開封してしまったことである。

誤解して欲しくないのはこの際、パーツの価格が高いか安いかは全く関係ないのである。価値はそのパーツが経た時間で決まるものであってだからいくらで売買するといった類のものではない。金額のことを言うのは野暮なのである。

なぜこんなことに血道をあげてしまったのか考えてみた。そもそもは補給されたパーツを手にしてみるとその品質の低下が著しいのにある日気がついたことからだ。むしろ昔のパーツの方が品質がいいくらいである。最初はより品質のいいパーツを自分の車に使うために、筆者の考えるビンテージパーツを集めていたが、集まるにしたがってそれらを使うのがもったいなくなって結果的に最近の品質の低いパーツを使っていた。品質のいい古いパーツは勢い押入れの肥やしになってしまう。パーツによっては陽に当てるのが駄目になる原因のものがあるから、文字通り押入れで日の目を見ないことになる。なので、たまには出して愛でようとう訳である。

まさしく骨董と同じ感覚である。無用の用。それが存在することだけで用を成しているのである。だからと言って使わない訳ではない。もし使った時にはそれはもう幸せな気分で走ることができるのである。だから素晴らしいビンテージパーツなのである。

このレンズ、実は現在でも補給はされている。ただし、今のパーツと見比べてみると、透明度は今のレンズの方が上であるがレンズの色の深みは昔のパーツの方が上である。見た目の重厚感は後者が上。細部をみると古いパーツにはバリがないのであるが、現在のものはバリが少しある。金型がいいのか古いパーツの方がシャープな印象を与える。
01/04/2007