オレのミニエースは百万円!ミニエース、サービスキャンペーンを受ける

小林旭や赤木圭一郎が出てきそうなタイトルで恐縮だが、筆者のミニエースが車検を受けて帰ってきた。今回は車検と同時に例の熱交換器のサービスキャンペーンを受けた。

この熱交換器、メーカーで作るのにかかる値段はなんと100万円とのことである。洒落は一切無い。メーカーの儲けナシの価格がこの価格との事である。予備の熱交換器が実は3つほどある。これを全部交換してくれとい言おうと思ったが、金額を聞いてかわいそうになった。仮に無償で部品としてもらっても多分その値段では売れない。ミニエースの熱交換器が必要な人はこの世の中にどれくらいいるのか疑問である。メーカーの設定した交換に必要な作業時間は5.5時間。これだけ聞いても必要な部品やナット類があっとた仮定して単純に一日仕事であるのがわかる。もちろん実際の作業はこの通りにはいかない。ただでさえまともに部品がはずれるかどうかもわからないのだ。通常の整備作業もあるだろう。それを考えると、預けてから一ヶ月と少しで帰ってきたのは幸運かもしれない。

ただ、メーカーは実際面食らったと思う。「そんなまともに動けるミニエースなんかないだろう」と思っていたところに部品のオーダーがあって「マジかよ!シャレで書いておいたのに本当に来ちゃったよ!」というのが本当のところだろう。筆者がメーカーの人だったらどう思うだろう…と思って考えたのが次のようなシナリオである。

ある日、メーカーの人が菓子折りの一つでも持ってきて筆者の家に来る。何事かと思えば、メーカーの人が言う。筆者のミニエースは大変貴重なのでトヨタ博物館に譲って欲しい。ついては現金50万円か替わりにダイハツのハイゼットあたりを新車で提供しますとのこと。いろいろ考えた挙句、筆者は新車のハイゼットか現金を受け取って快くミニエースをメーカーに譲る。「大事にしてくださいね」と、筆者がメーカーの方にいうと、「はい。大切にいたします」とにっこり笑って答えるメーカーの人。キャリアに載せられたミニエースを筆者は見送る。
一方メーカーの人に引き取られたミニエースは真っ直ぐトヨタ博物館に行く、と思いきや三河の人里離れた山中に。さっきまでの温和な表情のメーカーの人はまるで人が変わったかのような険しい表情。「この、ごくつぶしが!」とはき捨てるようにミニエースを罵ると、メーカーの人はミニエースのリアゲートに蹴りを入れる。蹴られて前に進み始めたミニエースは徐々に勢いを増す。ミニエースは崖から落ちて岩肌に数回バウンド。上だか下だかわからない向きで谷底に落ちるうちに跡形も無く四散。あわれミニエースは一巻の終わり。

部品代の原価が100万円ともなると、こんな筋書きも書ける。メーカーとしてはこちらの方がリーズナブルであろう。幸いミニエースを預けている間にメーカーの人は来なかった。企業としての良心はトヨタにはあるようである。

さて、交換後のヒーターの利きであるが、古いものとそう変わらない。ただ、筆者のミニエースは隙間風がすごい。腰から上はすっかり冷えてしまうのに、アクセルペダルを踏む右足はアクセル開度を維持できないほど暑い。
12/01/2006

非常に悩む… アイドラーアーム交換に向けて

既報の通り、ステアリングギアボックスのオーバーホールは完了したが実はこれだけでは完全とは言えない。そもそもステアリングギアボックスのオーバーホールをしたのも、44ヨタのハンドリングをよくしたいという購入当初からの目的を達成するためのアクションの一つであって、全部ではない。ステアリングのフィーリングをよくするために必要なアクションが実はもう一つある。ギアボックス下にあるピットマンアームの相方、アイドラーアームの交換である。

みなさんの車にこんな症状が出ていないだろうか。エンジンを始動して最初にステアするときによく起こるのだが、ハンドルを回すと左のサブフレームから「バキバキバキ!」という音がする。これ、実はアイドラーアームを留めているブッシュの不良が原因である。また悪いことに、この音がするのは始動直後一番最初にステアリング操作したときだけの症状であることが多いので、次にステアするときに音がしないと「さっきのはなかったことにしよう」とか「気のせいにちがいない」で片付けられてしまわれがちな症状である。

しかし、そんな音がしていい訳は無い。できればすぐに修理したいところだがそうは問屋が卸さない。このアイドラーアームのブッシュ、前期型はアイドラーアームを留めているブッシュを交換できるようになっているのであるが、後期型はこのアイドラーアームブッシュに部品の設定が無く、アイドラーアームをアッセンブリーで交換しなければならない。またアイドラーアームのブッシュは、ブッシュ類が割りと出るヨタハチにおいて結構前に補給されなくなった部品である。つまりアッセンブリーでもブッシュだけでも持っていないことには現在は治せない。

しかし筆者は幸いにもアイドラーアームを新品で持っている。では、悩みは何かというと、工具を買おうか買うまいかを大いに悩んでいるのである。

ピットマンアームのシャフトをステアリングブッシュに通してキャッスルナットをつけて締めこもうとしたときに手が止まってしまった。そのキャッスルナットには締めこむときにトルク管理をして締めなければならないのだが、その時に借りていたプリセット型のトルクレンチではそのトルクが設定できなかったのだ。筆者はメカニツクとしての修練を積んだ訳ではないので、トルクを感覚的に覚えてはいない。で、トルクレンチの登場というわけだが、これを買おうか買うまいか…。

筆者が考えた旧車格言にこんなのがある。「買うは一時の出費。買わざるは一生の損失」とかく仕事で車をいじる必要の無い筆者のような旧車オーナーは部品とかにはお金を出しても、工具にはお金を出さない傾向にある。しかし、やたらと安い工具をつかってボルトやナットを散々ナメたあと、いい工具を使うとかなりの損失をしていたことに気がつく。トルクレンチも工具である以上これがあてはまるのだが、いやわかってはいるのだけれど…いざ買おうとなると勢いが落ちる・・・悩む。
11/20/2006

修復計画は次の段階へ ステアリングギアボックス車体に取付完了

ようやくこの日を迎えた。本日、オーバーホールなったステアリングギアボックスの取り付けが完了した。取り外しはエンジンルームにエンジンがなかったおかげで簡単だったが、取り付けもそう難しいものではなかった。

ステアリングシャフトをバルクヘッドに通したあと、ギアボックスを止める3本のボルトのうち、1本を仮留め。ステアリングリンケージのブッシュにピットマンアームのシャフトを通して、室内側のステーを取り付ける。その後、ステアリングギアボックスをフレームに3本のボルトで本締めする。

しかし、こんなボルト3本でステアリングギアボックスが止まっているのかと思うと、ステアリングを据え切りしたり、ロープロファイルのタイヤを付けようとは思わなくなる。一度他の人にステアリングを据え切りしてもらって、その時にこのギアボックスがどうなっているか見てみるといい。信じられないくらい変形したギアボックスをお目にかかれるだろう。オーバーホールした今、改めて負担を少なく動かそうと思う。

さて、最後はタイヤを真っ直ぐにした状態がちゃんと中立の位置にあるか確認する。そのまま車に使うにはちょっと…というコンディションの借りていたパブリカのステアリングのてっぺんに赤いビニールテープを巻いて、左右に何回転するか確認する。ジャッキでフロントをあげて右に一回転と4分の1、左にも同じだけ回った。これにて取り付け完了である。

次はリアアクスル。ホイールベアリングの交換だ。
11/12/2006

一つの山を越す ステアリングギアボックスのオーバーホール完了

筆者の44ヨタハチがその走りを止めて2年を越すが、今日完了したステアリングギアボックスのオーバーホールを考えるに、結果的にはこれ以上は走ってはいけない状態であったと気がつく。今回の大規模な修復計画の二つの大きい目的のうちの一つ、ステアリングギアボックスのオーバーホールを今日完了した。

筆者がいつもの自動車屋さんに行くと、既に作業が始まっていた。ここの社長、作業を始めれば手は早いのにその始めるまでが時間がかかる。折を見て顔を出しながら無言のプレッシャーをかけるのであるが部品を預けてから既に4ヶ月。さすがに数日前にハイエースのタイミングベルトの交換を夜になるまで筆者が手伝ったので率先して作業に入っていてくれた。

ばらした部品を見てびっくりした。ステアリングシャフトの先端についているボールベアリングはカバーを外したと同時にボロボロと崩れて出てきたという。ボールの形こそあったものの、ベアリングは粉砕されていた。ベアリングのインナーレースはいやに磨耗。底部につかうオイルシールは既に陶器のように固くなりもはや用を成していない。ギアの類がモリブデングリスに漬けたような感じになっていたのでよくみると、普通のギアオイルを使えばだらだらたれてきてしまうのでグリスを中に入れていたらしい。そこへ筆者はギアオイルを入れていた訳だが、結果的には流動性を高めていただけに過ぎない。定番のウォームギアとセクターローラーは磨耗していて、まっすぐなはずのギアが微妙に波打っていた。一言でいえば、全くいいところナシである。既にオーバーホール以外に道は残されていなかった。

筆者がついた頃にはグリスでデロデロになっていたギアハウジングは洗浄した上でサンドでブラストし、新たにパスターを塗られてきれいになっていた。万力に挟まれていたギアボックスの底部には新しくオイルシールが付けられ、セクターシャフトと触れ合うブッシュの部分にモリブデングリスが塗られていた。このブッシュ、パブリカ、ヨタハチ以上の大きさの車ではセクターシャフトにこじられて偏磨耗していることが多いらしいが、駄目なところばかりが目立った筆者のものの中ではそのまま使用しても大丈夫だったようである。

ウォームギアがついているステアリングシャフトは筆者がヨタハチを買って間もなくに買っておいた虎の子の部品である。セクターローラーも含めて、当時はまだこんな部品がきちんと出たのである。このギアの前後に新しいボールベアリングのインナーレースを圧入する。このベアリングだって使わないかもしれないけど…と言って渡していたものなのだが、結果的には用意しておいてよかった。ベアリングをつけて、ステアリングシャフトをギアボックス入れてカバーを取り付ける。簡単に書いているがこの車が現役で走っていた当時にメカニックとして働いた職人の匠の技が満載で非常に勉強になった。特に各部のプレロードの掛け方が絶妙である。修理書を見ると、バネばかりで計りながらやっているがそんなことはしない。「このくらいかなぁ」といいながら、締めたり緩めたり押し込んだり引き抜いたりする。組みあがった部分を動かしてみると、不快でない感じで適度に重さの乗った作動感がなかなかいい。やたらと勘ばかりに頼るメカニックは信用ならないが、かつて数値の裏づけを取りながら訓練された人間の感覚は何物にも換えがたい。

次にセクターシャフトの取り付け。シャフトにカシメで止まっているセクターローラーを外して、新品のセクターローラーを取り付ける。このセクターローラーも磨耗が酷い。一方でセクターシャフトのコンディションは良い。というか、このセクターシャフトは、ピットマンアームの取り付け部分でがたが出ていない限りはそのまま使えそうである。セクターシャフトをギアボックスに収めて、上についているカバーを取り付ける。するとどうだろう、あれだけ中に入っていた調整のボルトがカバーの上ににょっきり突き出ている。感動した。作業前は、このボルトが位置を決めるナットの中に入り込んでいたのだ。それが今、出っ張っているのだ。

できあがったステアリングギアボックスの動きはシャープでいい。ピットマンアーム側で動かしてもがたがほとんどない。全然無いといいたいところだがやはり部品の精度が現在の部品とは違うようだ。とかく遊びが大きいとされるヨタハチのステアリング。「利き始めるまではダルだが、利き始めるとクイック」と評されることが多いが、この動きを体感するとそのインプレッションは払拭できること請け合いである。ただ、オーバーホールを受けていない車ではそれも致し方ないと思う。ヨタハチが出来て間もなくの道路は何しろ酷かったので、どの車も直進する位置にあたるギアが必ず磨耗している。結果筆者の外したウォームギアのように波打ってしまうのである。

以前から気になっていたステアリングシャフトのところどころに浮いていた錆を全部取り除いて、パスターで塗った。明日はステアリングシャフトを車体に取り付けようと思う。
11/11/2006