火は噴かないのか?シールドビームについて考える その4

適用除外の対象になる年式の車、早く言えば我らがパブリカ、ヨタハチであるが、これ用のシールドビームと新しい基準のシールドビームをわざわざ両方用意していたのにも多分理由はある。仮に明度が上がったシールドビームを旧規格用のハーネスに通した時の事を考えてみよう。新しいシールドビームに対してハーネスは従来のままだからハーネスにかかる負担は大きくなる。するとハーネスが焼けるなどのトラブルが出るというのも想像に難くない。だから旧規格で作られた車にはそれ用のワッテージのシールドビームが用意されていたのではないかと思う。

しかし、現在は古い品番で頼んでも新しい規格のシールドビームが来る。額面通り受け取ると、メーカーが率先してハーネスが焼けるような事をしているように見える。が、恐らく現在のシールドビームは昔のシールドビームに比べてハーネスにかかる負担が軽くなっている一方で、新規格の明度を確保している品物になっているのではないかと思う。三十年以上の時間が経過してシールドビーム自体の技術的進歩があってもなんら不思議ではない。もちろん、違う規格のものを用意するコストも考えなければいけない。というわけで、現在は50/60Wというシールドビームしか補給されていないのではないかと思う。
09/28/2006

法律の文章はまどろっこしい… シールドビームについて考える その3

読んで理解できないわけではないが、正確を期すると理解がしずらくなるのはなぜだろう。シールドビームの件で筆者の手元にある本を紐解いた。「道路運送車両の保安基準詳解」(交文社 刊)がそれである。そこより抜粋する。括弧内は理解しやすいように筆者が加筆している。

「すれ違い用前照灯(いわゆるロービーム)は、その照射光線が他の交通を妨げないものであり、かつ、そのすべてを同時に照射したときに夜間にその前方40メートルの距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有すること。」とある。

これは現在の車両に適用されている条文である。この条文は昭和48年7月6日運輸省令第23号により一部改正され、「30メートル」だったものが「40メートル」になっている。つまり、これ以前は「30メートル」照射できればいいことになっていたのである。シールドビームのワッテージが変わっていたのはこの40メートル照射するために必要な明るさだったからだろう。この昭和48年7月6日運輸省令第23号の灯火に関する条文の施行は昭和48年12月1日からである。

しかし、ここでまた疑問が沸く。シールドビームが入っていたのはトヨタの赤箱であったのだ。このデザインの箱は80年代前半まで使われていた。ということは、この法令が施行されていてもなお30メートルまでしか照射できないものが補給されていたことにある。だがこれについては説明が出来る。この法令、昭和48年11月30日以前に製作された車両については適用除外となっている。ということは、適用除外となる車両には新車時と同じ明るさのシールドビームがわざわざ補給されていたことになる。
09/28/2006

明かりはぼんやり灯っているか?シールドビームについて考える その2

先日、デッドストックのシールドビームを手に入れた。トヨタの赤い箱に入っていて純正部品となっているが小糸製のシールドビームである。荷物を解いて中を見てみると、シールドビームはロービーム時に40W、ハイビームにすると50Wになるタイプのものだった。このワッテージ、どこかで見覚えのある人はいると思う。そう、パーツリストに載っているシールドビームのワッテージと同じなのである。

現在カー用品屋で手に入る小糸製のシールドビームは50/60W。前がロービーム時、後ろがハイビーム時である。この数字だけ見ると、古いシールドビームがハイビームの時の明るさが新しいもののロービームの明るさになる。もちろん照射角度も違うので体感する明るさが数字どおりにはならないだろうが、新しいものは新車時のものよりも明るいことになっている。では、この明るさはなぜ変わったのか?というと、多くの自動車屋さんが法規が変わったからと答える。じゃあいつから?となると、はっきりとした答えを言える人は少ない。

ここはそれ、調べ物が好きな筆者の出番である。
09/20/2006