ひっそりと仕様変更

1.U型から2U型へ

 昭和41年2月、早くもクーラー付きライトバスが仕様変更されました。この仕様変更はサブエンジンとして使われてきた排気量700tであるU型のエンジンを800ccである2U型に換えました。この理由は、700tでは性能が不十分で…という訳ではなく、単にパブリカが10から20にモデルチェンジした為です。量産している部品を流用して安価にクーラーを装備するのが旨のライトバスですから、わざわざU型のままである必要はないのです。2U型…、正確を喫するならば、20パブリカに搭載された2U−B型と同じ仕様です。以後もエンジンの仕様の変更は量産のパブリカのエンジンの仕様変更に準じます。
 結果から言えばライトバスにU型のが装備されていた時間が8ヶ月と短期間であった事、クーラー装備のマイクロバスを一般化しようという目論見はいいとしても、やはりクーラー装備の方が価格も高く、頭数も乗れないということでそれほど多くの台数は出なかったために、700ccのサブエンジンを装備したライトバスは少量になってしまったようです。

整備中

ベンチレーションチューブがU型のものでないことがわかる。青竹色のイグニッションコイルが眼を引く。
昭和41年6月発行のトヨタ ライトバスのカタログより。

2.非力を憂う!ライトバス、無念のメインエンジン変更

 昭和42年2月、トヨタ ライトバスにとっては最後となるマイナーチェンジが施されています。
 一番大きい変更点はエンジンの変更です。従来の3R−B型から5R型にエンジンを変更しています。排気量が1900ccから2000ccへ、最大出力80馬力/4600rpm時、最大トルク14.5s−m/2600rpm時から最大出力93馬力/5000回転時、最大トルク15.0/3000rpm時と少し高速型になっています。これに伴い、最高速度が110q/hとささやかながら5q/h上がっています。型式名はRK171B。なお、サブエンジンである我らが2U型エンジンについては変更なしです。
 今でもその傾向は強いのですが、1960年代のトヨタ車のモデルチェンジに於いて、エンジンと車体同時に新開発のものを使うというものは稀です。その稀な例は昭和41年に発売されたカローラぐらいのもので、我らがパブリカについても、エンジンの開発は車体の開発よりもずいぶん先行していたので、この例にそっていると思われます。たいていは車体の変更はしてもエンジンの変更はないか、エンジンの変更はあっても車体の変更はありません。というのも、何かを新しくするとテストの時には出なかった不具合が必ず出るもので、その対策を極力しないですむようにするための処置です。
 5R型エンジンは以後コースターになっても使用されます。ライトバスのパワーアップという目的も当然ありますが、来るべきコースターのため、5Rエンジンをバスに使った場合どうなるかを試すための先行テストの意味もあると思われます。