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どろどろどろどろ、気が付けば足元に揺蕩っている 黒い黒い液体、黒い黒い俺。 いつ飲み込まれるのかと怯えながらも、いつでもいいやと不敵にそれを見つめる わからないのは自分自身の事、だから近付いた 似ていると思ったから、自分を知りたくなったから それは決して、懸想事ではないと言い聞かせて。 恋愛無自覚症候群 太陽はジリジリと地面を照らしつけて 暑く気だるそうに歩く人の群れを更に苦しめている それをみながら俺はただ、ほくそ笑む。 道行く人間はちらりとこちらをみるが、不気味に思うのかその後は早歩きで通り過ぎる 臆せず話しかけてくるのなんか、ほんの一握りで 大概こんなバカが多い 「何やってんだお前?」 黒い影を落として、いつものハスキー声を響かせる。 「休日にまで見たくない顔ですねぃ、なんなら今日死にますか?」 煙草の煙を吐きながらこちらをみているのがわかった 「ひどくご機嫌斜めじゃねーか、珍しく出かけたと思ったら物騒な事呟きやがって」 「物騒はいつもの事でさぁ、死にたくなったらいつでも言ってくだせぇ」 「なるかアホが・・・まぁいい」 ここに居座るつもりかと睨みつけたが、そんなものはさらりと流してまた煙草に口をつける 「大丈夫ですぜ土方さん、また危ない事をあいつらに密告するつもりはありやせんよ」 「・・・・・・。」 「今日はただ暑いから、男だらけのあんなむさ苦しい場所にいたら息が詰まると思っただけでさぁ」 「だったらなんでこんな所にいるんだ、人をおちょくったような看板が見えるこんな場所に」 ゆっくり斜め向かいの万事屋銀ちゃんの看板を指差す、 相変わらず勘はいいがどこか外しているバカな上司に冷笑する。 「そりゃ気がつきませんでしたねぃ、確かにありゃ万事屋の旦那の性格がでてる」 一体いつまでこの男はここにいるつもりなのか まだ黙ってこちらを見ている。 あれこれ適当にあしらう言葉を探ったが、途中でそれもめんどくさくなってしまった。 仕方がなく、ポツリポツリと唇が動く。 「ただ、何らかの優越感を得たかっただけでさぁ 忙しそうに歩く人間が汗を流しながら辛そうに歩いているのをみると楽しくなりやせんかぃ? こうして一人動かないで見ていると気持ちがいいんでさぁ」 「楽しくなるかアホが」 「アホはオマエだ」 「・・・今なんか言ったか?」 「別に」 男二人がくだらない会話を淡々と交わしている。 その光景は先ほどのものよりもっと不気味なものらしい、前を歩く人間がやはりチラチラこちらを見てくる ピリッと自分の中に電気が走るのがわかる、気にくわない。 「おいおい、相手は一般人だぞ・・・そう殺気立てて睨むな」 「何が目的でさぁ、さっきもいいやしたが万事屋の連中とは関係ありませんぜ あんたがどんな心配をしようと勝手だが、オレのテリトリーには踏み込まないでいただきたいもんですねぃ」 「はっ・・・関係ない?・・・だからお前はアホなんだよ」 空気に緊張が走るのを感じる もっとも、走らせているのは自分だけで 走らせた元凶は気にせず煙草をふかしていた。 「人に執着しないお前が、あそこのチャイナのガキにはよくつっかかる」 「・・・。」 「それが普段のお前の突っかかり方なら気にしないんだが、今回ばかりは違うと見える」 「何がちが」 「無意識なら重症だ総悟、あのガキはお前じゃないぞ、どこも似ちゃいない その事にお前ももうとっくに気がついてるはずだ・・・最初は探るために関わっていたみたいだが」 「・・・・・・。」 「では今は?何故気にする?・・・今日も、あいつの後ろに付いていったガキをみたから そんなに機嫌が悪いんだろ」 刹那というそれよりも早く、身体が動く 右手は既にモノをしっかり掴んでおり、その先には咽元が見えた 勿論当たるはずなどない、仮にも相手は真選組副長、実力がないわけではない キンと激しく音を立てて、ギラリと光る自分の刀は脇差で寸前止められる。 「図星も図星、ストライクだなオイ」 何事もなかったかのように脇差で刀を押しやり、呆れ顔で言葉を返してくる 「土方さんも人が悪ぃ、いつから尾行してたんです」 「なんだ、そんな事にも気が付かないほど頭の中がいっぱいだったのか?空っぽのお前が」 「2ラウンドめにいきやしょうか?」 「アホか、こんな暑いのにこれ以上疲れてられるか」 お互いから意味の異なる溜息がこぼれる 「何が楽しいだよ、ガキが戻ってくるの待ってるだけだろうが 今にも通行人殺しそうな目で睨みやがって」 「あ〜うるせぇ」 「それが上司に向かって吐く言葉かよ」 「実際土方さん、勘違いしてますぜ・・・俺のはそんな甘い感情なんかじゃない」 「じゃぁなんだ」 「ただの戯れ事、あんたが思っているような」 雑踏の中から、ふっと感じた。 アイツがいる。 「総悟?」 気がついたらもう目の前の男の方は見てなくて 小さく聞こえてくる声のほうに集中する。 「銀ちゃん!この間面白い遊びおぼえたネ!」 「あ〜?またくだらねぇ事吹き込まれたんじゃねぇだろうな」 「僕もういやですよ、顔腫らして家に帰るのは・・・銀さんが相手してやってくださいよ」 「バッカお前だろ世話役はよぉ、お父さんは黙って背中を見せてればいいんだよ、 そういうの全部お母さんに任せたから」 「背中見せたからって子供が育つわけないでしょう・・・って僕がお母さん?断固拒否しますよ」 いつの間にか声のする方へ、人の合間を縫って歩き出していた 思ったより冷静な自分がいる ホラ、大丈夫だ、違う。 世の中が言う愛だ恋だのの類なんかではない。 ただ、面白いだけ 似ていても根本的な何かが違った女 今はもう、ただ、からかいたいだけ きっと、それだけだ 「あれ、どうなってんのこれ?」 「・・・・・・。」 「警察が善良な一般市民に簡単に刀向けちゃっていいの?駄目だよね?どうなの?」 「何が善良だ、諸悪の根源が」 「あらら、二人揃ってデートですか?」 「違うわボケぇぇ、どこをどうみたらデートになるんだこの糖尿野郎」 「ったく、ガキの躾がなってねーんじゃね〜の?それに比べてうちの神楽は・・・っておい!」 「早く刀おろすヨロシ」 首に突きつけられた傘の末端がヒヤリとして、急激に周辺の状況が見えてきた 「それ以上物騒なもの銀ちゃんに向けるんなら私が相手するアル」 いつ、こいつらの前に立っていたんだろうか ただはっきりしているのは、またしても刀が人間に向かっているという事 無意識のうちにこの掴みどころのない男に突きつけていた 何故? 「あ〜・・・何だ、旦那が指名手配の人間にそっくりだったもんだからつい」 冷静を装うが、内心かなり動揺している自分がいた、刀はおろさずに適当な事を呟く。 「お前何度も俺と会ってるだろ」 「人の顔を覚えるのは苦手なんでさぁ」 傘に力を入れながら、幼いその輪郭線から作られる全てが怒りを露にしているのを感じる。 面白くない、全くもってこの状況は面白くない 「早くおろせって言ってるアル」 くいっと手首だけを動かして、刃の切っ先を少女のその小さな鼻の前に動かした 少し傷つけてやろうか?お前と違って躊躇いなんかないよオレは その瞬間、ガギッと鈍い音がしてすぐに刀が弾かれる・・・旦那の木刀が突いたらしい 嫌な振動だけ手のひらに残った 「銀ちゃ」 「なんだお前、カルシウム足りてねぇんじゃねぇの?今日はピリピリしてんな・・・イチゴ牛乳やるか?」 「ちょっと本当にどうしちゃったんですかこの人・・・えと、土方さん?」 「・・・・・・。」 「ピリピリ?なんだぃ旦那、ちょっとからかっただけですぜ」 横目で見るといつの間にか、服の袖を土方が掴んでいた これじゃあ、動きようにも動けない 「今日は何だか、つまんねぇや・・・仕切り直しは今度に・・・じゃぁなチャイナ」 「ちょ・・・」 ぐいっと服を引っ張られる感覚の後に その高い子供の声が後ろから響いた 「待つネ!!お前結局何しにきたアル?」 なんでそんな事を聞くんだこいつは 「何しに?」 そんなもの、こっちが聞きたいくらいでさぁ 「ナニ・・・しに、ですぜ」 「は?」 くるりと振り返るとそこには驚いた瞳があって、その紫がじっとこちらを見ていた うっすら自分がうつったそれが、どんどん大きくなっていく ああこれもまた、無意識なんだろうか 軽くぶつかるくらいのソレ 感触なんて楽しむ暇がないから ふっと自分の舌がチャイナの上唇を舐めた 目の前でただ呆けたままでいるから おもわずにやけた顔になってしまう。 そう、コレだ いつものノリは、さっきは少し調子が狂っただけだ。 「ナニはまだまだその先があるので、乞うご期待」 「・・・・・・。」 肩がプルプルと震え始めた、キレるのも時間の問題 「カルシウムが足りないんじゃないのか?チャイナ」 「お・・・まえ」 「おいおい、お前んトコのガキは少しませてんじゃねーの?」 「知るか、俺のせいじゃねーぞ」 「子供はお父さんの背中で育つんですよ」 「お父さんは近藤さんだろ」 「あのゴリラにそんな部分がねぇ?」 「なんだその目は、たたっ斬るぞ」 「ちょ、やめてくださいよいい大人が・・・銀さん、神楽ちゃんぶち切れますよ、止めないと」 「今止められるかバカ、大丈夫じゃねーの?・・・今はいつもの雰囲気に戻ってるし」 「お前いまからブチ殺してやるネ!!!!!」 「できるならやってみろぃ」 「しかし、あれで総梧の自覚がないから驚きだな」 「・・・今度から危ない時は縄でしばっとけ」 「うるせぇな、だったらお前も自粛してくれ、原因は十中八九お前だよ」 「お前はバカですか?ガキ守るのは保護者の役目でしょ」 「不用意に近付くなってんだよ、総悟が不安定になって迷惑だ」 「迷惑はこっちだ、おかげで神楽までが不安定になりそうだろうが・・・。」 「うがあぁぁ」 「これだからガキは困る」 「お前もガキじゃねぇかぁあああ」 どろどろどろどろ、気が付けば足元に揺蕩っている 黒い黒い液体、黒い黒い俺。 いつ飲み込まれるのかと怯えながらも、いつでもいいやと不敵にそれを見つめる わからないのは自分自身の事、だから近付いた 似ていると思ったから、自分を知りたくなったから それは決して、懸想事ではないと言い聞かせて。 けれど気がついてしまった 知るどころか触れるとどんどんわからなくなる 隣にいると思っていたのに、それは幻だったのかもしれない ずっとずっと上で、光の当たる所でこちらを見ているような気がする どうにか引きずり込もうと必死な俺がいる そうだこれは、懸想事なんかではないのだ 恋焦がれているのは、同じ場所でもがくアンタ ただそれがみたいだけ なぁチャイナ、糖尿持ちの旦那の所じゃなくて ここで沈みましょうや、それはきっと凄く気持ちがいい。 この世で一番の・・・オレの為の快楽になる。 210000番小説 凌さん(リクエスト:沖神のカプで沖田が黒いの) 白銀梅花21万HITキリバン参加・ありがとうございました凌さんv 拙い作品ではありますが受け取ってやってくださると嬉しいです。 リクエストが沖神ということで頑張ってブラックモードも壊さないように行こうとしたのですが 持て余した感情を認めたくない必死総悟にもみえてきて・己の未熟っぷりに汗をかきました。。。 何となくブラックも織り交ぜた雰囲気が伝わってくださればなぁと・・・思います(コラコラ 一応神楽も少なからず総梧のことを気にしているととってくださると、沖神になるかと・笑(銀時の不安定発言辺りから・笑 21万という数字を踏んでくださって、本当にありがとうございましたv |