天空の楽園
中国四川省 九寨溝・黄龍
天空の秘境といわれる九寨溝・黄龍へは、四川省の首都、成都からバスで12時間要したが、昨年秋3500mの高地に開設した九龍空港のおかげで僅か45分で着くようになったので、娘と出かけてみた。空港で既に軽い高山病になりながら4200mの黄龍に向かう。途中4000m以上の山でしか見られない珍しい青・赤・黄色の高山植物に感激しながら黄龍に着く。
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| ホリデュラ | フニセア | インテグリフォラ |
黄龍は中国語で人間瑶池(この世の仙境)といわれている。翡翠色、空色に輝く「彩地」と呼ばれる石灰化した大小3000以上の池が山の傾斜地に続く。これ以上ないだろうと思われる清冽な水が流れ出る。
人山人海、今中国で人気の観光地だけに人が多い。ここでは、人を押しのけ我先に急ぐ者が多く、マナーの悪さが気になる。
酸素が希薄でカメラも重く、足が先に進まない。雨が落ちてきた。重慶から来たという中国人の若い女性が自分の傘に入れてくれ、200mほど一緒に歩いてくれた。心が落ち着いてきた。歩き続けて3時間、やっと頂上に位置する「五彩池」に着く。いつしか雨も止み、水面には形容しがたい永遠の鮮やかさがあった。チベットの貴族が好んで首飾りに使うようなその色が。探し求めた色との出会いでもあった。
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| 息を呑む水面の鮮やかさ 五彩池 |
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| 翡翠色の水をたたえた彩池 |
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| 石灰華に覆われた枯れ木 唯一生息する魚は「高山裸鯉」 |
九寨溝は、黄龍から約150キロ離れ、「魚在天上遊、鳥在水底遊」(魚は天上に遊び、鳥は水底を飛ぶ)といわれるような透明度抜群の水に大自然が映し出される。九寨溝は九つのチベット族の寨(村)の谷間からなるY字形の渓谷で、全長55キロに約110の湖と17の滝があるといわれている。湖と滝、水の流れ、樹木のハーモニーは水量が豊富だけに人を圧倒的に魅了する。
周遊地内の電気自動車の採用、チベット人による環境保護活動の徹底等を垣間見たとき、この世界自然遺産が永遠に守り続けられることを密かに心の中で祈った。帰路空港近くで眼下に見るチベット寺院にかかる虹を見て、天空の楽園の旅は終わった。
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| 幅約350mに渡り数百の白糸が舞う九寨溝最大の「諾日朗瀑布」 |
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| チベット寺院にかかる虹 | 水主町のチベット族 |