取材2009年8月上旬
唐の時代以降、モンゴルに滅ぼされるまでの約500年間、雲南を治めた南詔国、大理国の都として栄えた大理。大理石の産地として知られているが、その歴史遺産と年間平均気温15度Cが爽やかな高原の避暑地として人気の高い観光スポットである。 白族は人口約160万人。雲南省に135万人そのうち80%以上が大理地区に居住している。大多数の白族は自民族の言語を使用し中国語にも精通している。白族は長い歴史を持ち文化が発達した民族である。新石器時代以前よりアルハイ湖地区で金属の道具を使い農業、牧畜を発展させている。大理国の時代農業のレベルはかなり高いものと評価されているが唐時代漢民族との往来により漢民族の進んだ文化を学んだ文字を持った高度な文化国家であった。 市の中心から1,5キロにある崇聖寺は唐の開元年間に建てられた仏教寺院で南詔国、大理国の繁栄を極めた菩提寺であった。清代に地震と戦禍にあい破壊、三つの塔のみが残っていたが寺の再建と1978年に塔の修復工事が行われた。その際に登頂部分から680以上の文化財が発見され注目をあびた。三塔の主塔は千尋塔といい9世紀に建てられた16層の方形蜜櫓式レンガ製仏塔で高さは69m 、長安の小雁塔をモデルにした唐代の典型的な建築である。 両脇の小塔は約42m。方形で優美である。館内展示の三塔出土文化展を見学する。見事な鋳像に時を忘れる。 昔の中心地、古城では関帝廟の祀りが盛大に行われていた。関羽を神としてしまった廟。これを信ずれば、戦時に関羽の霊が出現して敵を滅ぼすという。 年配の方の信仰は厚く会場は読経の熱気と踊りに包まれていた。 白族は白色を高貴な色として好む。自分たちのことを“白子” “白尼”とも 呼ぶ。民族建築も白壁、青瓦が特徴、各家の壁も江南地方を連想させるものがある。明王朝時代に大量の漢族兵が土着して漢文化の導入がいっそう進んだ。 白族の故郷 アルハイ湖に足を伸ばす。海抜3000mの蒼山が連なる山紫水明の湖で鵜飼いが知られている。日本の霞ヶ浦より大きい面積の湖水は水が澄んでいる。湖水の水は10年前は飲めたという。人口増により水温上昇をもたらし、環境保全、漁業にも影響が出てきている。 古城で出会った関帝廟祀りの皆さん、雲麗茶荘のヤンさん、市役所で印刷の 仕事をしていたK夫妻、宿屋の主をはじめ白族の人たちは皆さん温和で親切 久しぶりに長旅でホッとして過ごした大理であった。 |