「磨く」という言葉からどういうことを連想しますか?
 鍋を磨く、床を磨く、靴を磨くetc.
落ちにくい汚れをゴシゴシこすって落とし、
最後にはピカピカに光らせるといったイメージですよね?
歯を磨くのもこれと同じように思われている方が大変多いです。
歯垢は大変柔らかいもので、実は綿棒やガーゼでも落とせるくらいです。
ところが、綿棒などでは歯の間や、歯と歯肉の間の溝に歯垢を押し込んでしまいます。
そこで、汚れを掻き出す道具として歯ブラシが登場します。

歯ブラシと亀の子だわし
デッキブラシや亀の子たわしは「磨く」道具ですが、
歯ブラシも似たような形をしています。これらは毛が硬く、
こびりついた頑固な汚れがとれるようになっています。
同じような感覚でゴシゴシ歯を磨きたくなるのも当然のことと思います。
でもちょっと待って下さい。
鍋や靴は交換がききますが、歯や歯肉ははそうはいきません。
70年も80年も同じものの手入れをしていかなければなりません。
歯ブラシによって歯や歯肉が削れていくのはよく見られる現象です。
できるだけ歯垢だけを落とし、
歯や歯肉を痛めないように手入れしていく必要があるのです。
歯ブラシとホウキ

歯ブラシは毛先を使う道具です。
歯垢を落とす効果が最も高いのは、
毛先が歯の面に直角に近い角度で当たったときなのです。
ホウキで細かいところに入り込んだ汚れを落とすときを想像して下さい。
弱い力で毛先を使い細かく動かしながら汚れをかき出しますよね?
大きく動かしたり押しつけたりしてもきれいにはなりません。
実は歯ブラシはホウキに似た道具なのです。