表紙詰将棋・作者の言葉 (詰将棋パラダイス 1994年9月号)
駒の動かし方を覚えたのはもう15年 前のこと、初めて買った将棋の本は佐 瀬名誉九段の詰将棋の本だった。3手詰から9手詰までの短編ばかりだった が、全然解けなかった。現在ならすぐ に投げ出してしまうに違いないが、当 時はそうならなかった。きっと「詰将 棋は終盤の訓練になる!」と思い込ん でいたからだろう。しかし、いつの頃 からかそんな思いは薄れてしまってい た。将棋に勝つ為には、詰ますより安 全かつ安易な方法があると気がついた のだ。それ以来、誰が何と言おうとも 私にとって詰ます行為は二のつぎにな った。詰将棋作家にあるまじき考えな のは明らかだが、いつの日かあらため るつもりなのでご理解頂きたい。まあ こんな志の低い人間には、ド下手な詰 将棋しか作れないだろうが、さめた目 でなく、暖かい目で見て欲しい。