掘り出し物 整理整頓が大の苦手である。この原稿を書いている部屋の中も本やCD、その他もろもろで散らかり放題。や むを得ぬ事情で人を招待する場合は3ヵ月前から準備が 必要で、円滑につきあっていくために、「3ヵ月ルール」 の周知徹底は欠かせない(情けない)。 そんな私もたまには大掃除をする。円滑に日常生活を 送っていくために、最低限の足の踏み場を確保すること は欠かせないのだ(情けない)。 足の踏み場を確保するための、半年ほど前の大掃除で、 宝の山(?)から昔の詰将棋創作ノートを発掘した。思 いがけない発見に喜んでいたが、見ているうちにページ を繰る手は重くなっていった。部屋と同様、創作ノート の中も散らかり放題だったからだ。 中でも眩暈を覚えたのは、詳細な変化手順はあるのに、 肝心の作意が書かれていない51手詰。ソフトに解かせよ うにも私が持っているのは35手までしか解けない。自力 で解こうとしてもまったく解けない。大間抜けである。 作意を思い出すきっかけになったのは、次の大掃除に 発掘した昔の棋譜。掃除そっちのけで、何局も面白がっ て並べていたら、その中の投了図の一つに最近見たような覚えが・・・。 図がその一局の終盤戦。後手の私が5八にいた馬で5七の銀を取り、王手をかけたところ。ここで▲6八銀打 なら困っていたが、相手は▲8八玉。これは詰むはず・・・。以下、△7九馬▲同金△同角成▲同玉△7八金▲ 同玉△5八飛成までで相手は投了。 そうだ。この投了図がもとだった。創作過程をおぼろげながら思い出したら、不思議なことに作意手順が浮か んできた。・・・51手。間違いない。 こうして、大仰に言えば、一つの詰将棋が世に出る可能性が復活した。まったく、たまには大掃除をしてみる ものである、というのは違うか。普段から整理整頓しておけばよいだけの話。 創作ノートの中もしかり!なのだが、その前に現状、次のページに書き込むべき作品、いや、素材すらない状 況だ。詰将棋創作に関しては「整理整頓が必要な状況」までたどり着くのが当面の目標である(情けない)。
(図 △5七馬まで)