胆振地方の降雪見逃し(2005/12/17)


 2005年12月16日15時に日本海中部で発生した低
気圧は東北東へ進み、17日午後に津軽海峡を通過
から胆振地方の南を通過した。胆振地方は低気圧
前面の暖気移流により、雪雲が発達、12時頃から
雪が強まった。雪の降りは15時頃にはいったん弱
まったが、17時過ぎから再び強い雪雲がかかり、
21時頃にかけて10cm前後の降雪を記録した。
 昼過ぎの降雪の強まりはほぼ予想通りだったが、
夕方から宵のうちにかけての雪については見逃す
結果となった。

●17日07時頃の見解
○16日12z・RSMは低気圧は秋田沖から留萌沖へと
 日本海沿岸を北上する予想。胆振地方は低気圧
 東側で、午後は暖気移流が強まり、まとまった
 降雪に。降水は21時頃まで。

●17日13時頃の見解
<17日21時対象の予想天気図>
16日12z・RSMのFT=2417日00z・RSMのFT=12
○17日00z・MSMはRSMと異なり、低気圧が津軽海峡付近  を通過、15時には室蘭の沖合いへ進み、18時頃には日  高地方へ進む予想(図略)。  降水域は低気圧の東側へ集中し、18時頃まで。この低  気圧の後を追うように18時頃に秋田沖へ進む低気圧が  あり、潰れながら東北北部へ。 ●17日15時30分頃の見解 ○00zRSMの低気圧の位置は12zRSMと00zMSMの中間で、室  蘭の沖合いから胆振地方へ進む予想。降水は12zRSMと  同様、21時頃まで計算。  ただ、まとまった雪雲はほぼ東へ抜け、管内に目立っ
<レーダーエコー>
09時10時11時12時
13時14時15時16時
17時18時19時20時
21時22時23時24時
 たエコーはなくなっていた。室蘭の沖合いから津軽海  峡へ南西にのびるエコーがあったが、胆振東部に短時  間かかる程度と考え、降水終了のタイミングを早めた。 ●17日17時頃の見解 ○津軽海峡付近のエコーが北へ盛り上がってきたため、  胆振地方にかかる見解に修正。ただし、活発な部分は  海上へ進むと考え、時間降雪量は1cm程度。 ●17日18時頃の見解 ○雪雲の活発な部分が北へ盛り上がってきたため、降雪  量を上方修正し、終了を遅らせる。 ●17日19時頃の見解 ○アメダス風の分布やエコーの形から青森県付近に擾乱  があり、北東進して胆振地方の南へ進むと考え、さら  に上方修正。 ●17日21時頃の見解 ○活発な雪雲は管内の東へ。胆振西部の降雪はほぼ終息。  15時30分頃に手元にあったのは地上天気図は12時のも のまで。09時・12時の外挿から、この時点で低気圧は既 に渡島半島東部まで進んでいると考え、現状のエコーの 形からもうこれ以上は雪雲は入らないとしたのだが、判 断を誤った(後から考えてみると、判断した低気圧の位 置と津軽海峡付近のエコーの形がうまくあわない・・・)。  実際の15時の低気圧の位置は12時と同じで、津軽海峡 の西。これは低気圧が停滞していたというわけではなく、 昼過ぎに雪を降らせた擾乱とは別の擾乱が後ろに 残っていたと解釈したほうがよいのだろう(MSMは 後ろの擾乱の表現が弱く、あまり北上しない予想 だったが、00z・06zともに擾乱を二つ表現)。  右下室蘭・苫小牧ほか、函館(渡島)、江差( 檜山)、青森・深浦・むつ(青森)の地上気圧の 変化。  15時の時点では日本海側の江差や深浦でもわず かながら気圧は下がる傾向。明瞭な上昇に転じる のは江差で17時、深浦で18時から、室蘭・苫小牧 では21時以降だった。  局地天気図作成は無理にしても、せめて気圧の チェックをやっておけば、低気圧の位置を誤るこ とはなかったはず。そうすれば、津軽海峡に現れ ていたエコーの動きについて、(北上の可能性を 含め)幅を持たせた情報を出すことが出来たかも しれない・・・。
<地上実況天気図>
09時12時15時18時21時