10月10日夜、函館の強雨
16時17時
  
18時19時
  
20時21時
  
22時23時
 
16:00-23:40の連続
 2005年10月10日、数年ぶりに体育の日になったこの日(やはり体育の日は10/10がしっくりくる。 どうせ、3連休なんて関係ないし)は全国的に晴れた所が多かった。その中で、北海道は上空に 寒気を伴った気圧の谷の影響で、昼前から南西部を中心に所々で活発な対流雲が発生、室蘭では 17時のアメダスで20.5ミリの雨を観測した。でも、寒気のピークも過ぎたし、雨雲は弱まるはず。 今夜はまったりとできると思っていたら・・・、甘かった。  この日の函館市周辺は日中は目立ったエコーはかかっていなかったが、17時頃から大野町周辺で 雨雲が発生、次第に発達し、見る見るうちに真っ赤に。でも、寒気トラフはすでに抜けているし、 持続する要因はないはず・・・。何よりアメダスの10分降水量も0.5〜1ミリ前後と強い降水を観測 していない。小規模な現象なので、雨雲の発達した部分がアメダス地点にかかっていないので強い 降水を観測していないだけ、という懸念はあったが、エコーが過剰だろうと判断した。  発達した雨雲のかかる状態は予想より長時間にわたって続いたが、結局、アメダスではたいした 雨量を観測しないで、エコーは弱まった。さて、そろそろ帰ろうかと思った矢先、入ってきたのは 「函館で床上浸水」の一報。  ちゃんと起きて、エコーを監視していたのに「寝耳に水」とはどういうこと?、などと言ってる 場合じゃない。以下、局地的な資料はほとんどないので、総観場から推察した強雨が継続した理由。
地上天気図 10月10日18時  850hPa予想図 10月10日21時  500hPa実況図 10月10日21時  
      
雨雲が停滞した理由   函館市周辺には北海道の東海上の高気圧から湿った南東の風が流れ込んでいた。一方、日本海には別の高気圧があり、  高気圧から吹き出す北よりの風が南東風とぶつかり合い、雨雲を発生させた。期間中、高気圧の位置関係はほぼ変わらず、  雨雲の発生しやすいエリアはあまり変わらない状況だった。   850hPa天気図でも二つの高気圧セルとそれぞれから吹き出す南よりの風と北よりの風が形作るシア(図の赤い破線)が  北海道〜東北の日本海側にのびているのが見てとれる。これより下層ではより東の函館市付近に位置していたと思われる。 ●雨雲が発達した理由   RSMの予想などから上空1500メートル前後は相対的に湿っていたが、3000メートル付近には乾いた空気が入って  いたと推測され、対流不安定な状態になっていた。また、ピークは過ぎていたものの、上空には寒気が残り、対流雲の発生  しやすい状況だった。500hPaの実況図を見ると寒気トラフは21時には道東に抜けているが、等温線は北海道付近では東西に  寝た形で、上空の気温がすぐに上昇し、大気の状態が安定に向かっているわけではなかった。
 時刻   18時19時20時21時22時23時24時
函館・降水量0.01.04.03.50.50.00.0
大野・降水量0.05.00.50.00.00.00.0
 ・・・と後から振り返れば、理由はつけられるのだが、実況で強い降水が  観測されていないので、踏み込んだ判断ができなかった。エコー強度や  被害状況などから時間雨量は30〜50ミリ前後に達していただろう。   ちなみに函館海洋気象台からも注警報の発表はなし。共倒れでした。