一日で二度も・・・

 

 3月8日22時過ぎ、寒冷前線が通過中の東北〜北陸地方の気温変化を眺め、その変化の大きさに驚いていた。

中でも目を引いたのが宮城県の丸森で、21時の気温は0℃ちょうどだったのに、22時には10.2℃に! さらに

驚いたことに丸森は朝の7時から8時の間にも10℃度以上の気温変化(−1.3℃→9.6℃)を記録していたのだ。

1時間に10℃以上の急激な気温変化はめったに起きるものではないが、一日に二度とは、さすがに記憶にない。

 

 下のグラフは丸森の3月8日の一日の気温と風速の変化である。一見しておだやかではない気温カーブである。

朝の気温上昇はともかく(?)、夜に入ってからの急激な気温上昇は尋常でない。これは一体何によるものか?

 グラフには気温とともに風速も描いているが、両者の間には風が弱い時間は気温が低く、風の強まりとともに

気温が急上昇、風が吹いている間は気温は高めで経過、という対応関係が見られる。

 詳しく見ると、この日は7時過ぎまでは風速は1~3メートルと弱く、気温は0度前後だったが、南西の風が

吹き出すとともに気温が急上昇(7時20分から30分の10分間で0.0℃→8.6℃)、16時頃までは5m/s前後の

風が吹き、気温は8〜10℃前後で経過した。その後、風が弱まり(+日照がなくなり)、気温は21時過ぎには

0℃台まで下がったものの、再び南西の風が吹き出すとともに気温が急上昇(2130分から40分の10分間で

2.8℃→8.8℃)、24時にかけても全般に5m/s以上の風が吹き、気温は9度前後を維持した。

7時台、21時台の変化に着目すると、気温の急上昇は地上にたまっていた冷たい空気が、強まった南西風に

吹き払われた結果と考えられる。

 では、気温の急上昇をもたらした南西風の吹き出しは何によるものか?

 8日日中、宮城県内を寒冷前線が弱まりながら通過したが、7時台の南西風の吹き出しはこの前線の接近が

もたらしたものである。等圧線の間隔を見ると7日夜から風が吹き出しても不思議ではないが、実際は前線が

かなり近づいてからでないと吹き出さないようである。

夜の南西風の吹き出しも同様で、寒冷前線性のシアラインが接近したことによるものである。8日15時、

21時の天気図に寒冷前線は描かれていないが、図の赤い破線のような明瞭なシアラインがあり、南下中だった。

(9日3時の天気図ではこのシアラインは寒冷前線として描かれている)

 寒冷前線は「通過時に気温・風が急変する」のが一般的だが、通過前から場を乱すことにより、結果として

通過時よりも大きな気温・風の変化を大きくもたらすことも少なくないのである。

 それにしても・・・、しかも一日に二度とは・・・。

 

 <7日21時>        <8日3時>        <8日9時>

    

 <8日15時>        <8日21時>       <9日3時>

    

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