山へ行こう!





 「名古屋で一度は行ってみたい場所は?」と尋ねたとき、だいたいその返事としては、「名古屋城」とか「久屋大通」とか「東山動物園(コアラが有名)」とか、そういうのが無難であろう。「名古屋に行ったら食べてみたいものは?」と尋ねたら、「味噌カツ」「天むす」「きしめん」辺りが有名で、ほかに「両国屋の千なり」「大須ういろ」「山本屋の味噌煮込みうどん」などと答えた人がいたなら、その人はかなりの名古屋通だと思う。中には「寿がきやの肉入りラーメン」などというコアな人もいるかもしれない。
 行きたい場所と言えば、「ゲーマーズ名古屋店」「アニメイト名古屋店」は外せない、という人も多いと思う。アニメイトは名古屋の駅前、ゲーマーズは久屋大通沿いだから、ミニ電気街である大須からは少し離れているのだが、大須には「GOODWILL」や「ドルフィン山本」といった、これまたコアな店もあるので侮れない。Dカルト名古屋店も大須にある。
 それから忘れてならないのが居酒屋「月天」である。入口が鳥居の形で、中に入ると巫女服の店員さんが出迎えてくれて、「お神酒」を注いでくれる。一部の人の間では、ものすごく有名な居酒屋である。

 さて、そんな名古屋の新名所に、喫茶店「マウンテン」、通称「山」がある。まあ一見、何の変哲もない普通の喫茶店に見える。場所は地下鉄のいりなか駅から10〜15分ほど歩いたところで、特に大通りに面しているというわけでもないので、雑誌などで紹介されるまでは穴場だったんだろう。
 この店を有名にしたメニューは、多種多様なスパゲティーである。多種多様と言っても、パスタの専門店に行けばこの程度の種類はあるだろうから、単に種類の多いというだけではそれほど注目されないのであろうが、ここの目玉メニューは「甘口スパ」なのである。





 「甘口スパ」には何種類かあって、私が8月に挑戦したのは「小倉抹茶スパ」だったが、特に「メロン風味スパ」が強烈らしい。この店の甘口スパには、次のような特色がある。

・ 甘口に限らないが、量が多い。一皿2人前以上ある。まともな味でも完食はかなり厳しい。
・ 麺に甘いソースを絡めているわけではなく、麺そのものに甘い味がついている。例えば「小倉抹茶スパ」の場合、麺そのものに抹茶と砂糖が練り込んである。だから麺を食べただけで、甘い味が口いっぱいに拡がる。「ほのかな甘さが…」なんてレベルではない。すごく甘い。
・ フルーツがトッピングしてある。甘い麺に更に甘さを加えている。
・ 量の割に安い。

 上の写真がその「小倉抹茶スパ」なのであるが、うっかり皿の大きさの比較対象を写真に収めるのを忘れてしまった。傍らの水入りのコップの大きさと比較してもらいたい。
 このスパゲティーに挑戦する際、注意した方がいいことは、先にトッピングの生クリームを食べてしまうとよい、ということである。その理由は、生クリームをそのまま放置しておくと、麺の温度でだんだんクリームが溶けて液体になり、麺に浸透してしまうのである。そして、皿の中央部に液体になった生クリームが水たまりのようになり、挑戦者は完食を目前にした時、最後にこのクリーム漬けの麺を食べる羽目になってしまう。
 つぶあんは思っていたほど甘くはなかった。比較的さっぱりしているので、甘い麺にうんざりしてきた頃に、口直しに食べるといいだろう。しかもつぶあんは放置しても生クリームのように溶けないので安心である。
 水はいくらでも飲めるので、苦しくなってきたら水で一気に押し流すというのも有効な手段であろう。
 最後に、もし完食できたとしても、油断してはいけない。食後、そのまま店内で少し休憩してから店を出るのがいいと思う。店を出てから地下鉄の駅まで、歩いて10〜15分くらいかかってしまう。真夏の炎天下だと地獄である。胃に違和感があるようなら、落ち着くまで暫く店内で休んで、それから出発するのが安全である。

 もし、興味を持たれた方がいらっしゃったら、その日の朝食は控えめにして、甘口スパに挑戦するとよいと思う。

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