俳句「某は案山子にて候雀殿」の授業

                   TOSS岡山サークルMAK  小野 隆行
 
 教材文


 

 某は案山子にて候雀殿       夏目漱石  (実際は縦書き)
 
 
 授業の実際


 

指示1  ノートに写しなさい
 


 

指示2  どんな読み方でもいいから、読んでみて下さい。
 
   ・正しい読み方を確認して、読む。


 

発問1  この俳句を作った人はだれですか。
 
   ・夏目漱石


 

発問2  季節はいつですか。
 
   ・秋(季語・・・案山子)   俳句には、季節を表す季語があります。
 
 



 

発問2  「某は」というのは、「わたくしは」という意味です。
      それでは、夏目漱石はかかしですか。
 
   ・違う


 

発問3  「某は案山子にて候」と語っているのはだれですか。
 
   ・話者
 
 
 


 

発問4  雀はどこにいますか。図の中に雀を書き入れなさい。
 
   ・前に絵をはらせる。意見を大きく2つに教師が分類する。



 

発問5  「雀は、案山子のそばにいる」のですか。それとも雀は案山子から遠く
      離れている」のですか。
 


 

指示3  理由もノートに書きなさい。
 
    ・指名なし発表のあと、討論。


 

発問6  雀は案山子のことを怖がっていますか。怖がっていませんか。
 
    ・怖がっていない。
 
【参考文献】
 ・『分析批評で授業を変える』  向山洋一著  (明治図書)
     p,152〜157 「佐々木氏の実践について」
 ・『討論の授業の第一歩』 向山洋一教育実践 原理原則研究会著 (明治図書)
    p,124〜128 「論理的授業を組み立てる」山之口正和氏執筆
 ・『だれでもできる指名なし討論の授業』 向山洋一教育実践 原理原則研究会著 
                                (明治図書)
     p,142〜143 「某は案山子にて候 雀殿」の実践  狩野淑子氏執筆
 ・『一文を知的に授業する』 向山洋一教育実践 原理原則研究会著 (明治図書)
    p,114〜118 「某は案山子にて候雀殿」に学ぶ「夏河をこすうれしさよ               手にざうり」    峠岡英俊氏執筆
 ・「発問づくり」ならびに「教材分析」のための基本発問50  岡田 浩氏
 URL  http://www.d7.dion.ne.jp/~akdeniz/m.h.p.kokugo/koku.kihon-hatu50.gaiyou.htm
 
 
 
 
 
 
 
 
 

発問作り
 


 
1  短歌ですか俳句ですか。              短歌
2  俳句であるということがどうして分かりますか。   五・七・五になっている。
                            季語がある。
3  作者はだれですか。                夏目漱石
4  季節はいつですか。                秋
5  季語は何ですか。                 案山子
6  それがしとは、何のことですか。          案山子(わたし)
7 「某は案山子にて候」と語っているのはだれですか。  話者 
8  夏目漱石は案山子ですか。             ちがう
9  案山子の目に見えているものをすべて書き出しなさい。 
                         稲。雲。空。雀。田んぼ。など 
10  雀はどこにいますか。図の中に書き入れなさい。  案山子のそばにいる                               遠くに離れている
11  いばっているのは案山子ですか。雀ですか。     案山子
12  話者はどこにいますか。目玉を書き入れなさい。   案山子の中。
13  この俳句を詠んで、どんなものが頭に浮かんできましたか。
                            省略
14  なぜ、案山子は雀のことを雀殿と呼んでいるのですか。  
                            呼びかけている
15  漢字に読み仮名をつけなさい。           省略
16  雀は、何羽いますか。               殿だから1羽
17  どこで切れますか。                五・七・五
18  俳句に登場するものをすべてあげなさい。      案山子、雀
19  中心になるのはどっちですか。           案山子(話者の視点が入っ                            ている。)
20  対比されているものをあげなさい。       案山子・・動かない。おどす
                          雀・・・動く。おどされる
21  この句は、何時頃のことですか。          夜ではない。
                            話者から見えない。
22  雀の顔はどっちを向いていますか。         案山子とは違う方。
23  案山子はどっちを向いていますか。         雀の方。(または同じ向き)
24  案山子は、何と読みますか。            かかし(かがし)
25  候は、何と読みますか。              そうろう
26  「は」と「が」ではどう違いますか。   「は」・・話し手も聞き手も知っている。                      「が」・・話し手だけが知っている。
 
 
27  雀がたくさんいたらどういう書き方になりますか。  雀殿→雀達
 
28  案山子は何のために立っているのですか。      小鳥をおどすため。
29  雀は、案山子を怖がっていますか。         怖がってない。
30  いつの時代に書かれたものですか。         明治時代
31  作者はこの場所にいましたか。           いたと考える。
32  雀はどんな顔をしていますか。           無表情
33  案山子はどんな顔をしていますか。         無表情
34  話者には雀はどんな顔に見えたのですか。      知らんぷり、そっぽをむい                            ている感じ。
35  話者には案山子はどんな顔に見えたのですか。    おこっているような顔。
36  どうしてそう見えたのですか。         本来怖がるはずなの案山子に対                          て、雀は、気にしていないから。37  話者は、この俳句の情景を見てどう感じたのですか。 おもしろい。
38  この俳句から4コマ漫画を作りなさい。       省略
39  漱石の作品を3つあげなさい。           坊っちゃん、吾輩は猫であ                            る、こころ、三四郎
40  天気はどうですか。                雨ではない。
41  全体はどんな色ですか。           茶色っぽい色。(案山子、雀、稲穂)
42  明るい句ですか、暗い句ですか。        暗くはない。どちらかといえば                          明るい(ユーモラスな感じ)
43  話者は動いていますか。止まっていますか。     止まっている。
44  案山子は動いていますか。止まっていますか。    止まっている。
45  雀は動いていますか。止まっていますか。    どちらとも考えられるが、止ま                          っている方が自然な感じ。
46  この句のおもしろさはどこですか。     雀が怖がっていないところ。それに                        対して、案山子が自分のことをわざ                        わざ案山子だと言っているところ。47  雀は案山子の近くにいますか。それとも遠く離れていますか。
                            近くにいる。
48  近くにいるのだったら、どういうことが分かりますか。 かかしを怖がっていない。49  遠くにいるのだったら、どういうことが分かりますか。 かかしを怖がっている。
50  この詩を今の言葉になをしなさい。
                   私は、かかしですよ。すずめさん。驚きなさい。