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大正の頃のお話です。ハチは秋田犬でした。主人の上野先生は、大学の先生で、東京の渋谷にすんでいました。上野先生はハチをたいへんかわいがっていました。
上野先生は毎朝渋谷駅から、電車に乗ってでかけます。ハチはそんな上野先生を毎朝駅まで「いってらっしゃい」と見送りに行っていました。そして渋谷駅に上野先生が帰ってくるころになると、今度はお迎えに行っていました。
ところがハチの大好きな上野先生が病気でなくなってしまいました。けれどもハチには、そのことがわかりません。それからも毎日のように渋谷駅で主人をまちつづけました。そして、10年たった昭和10(1935)年
の今日ハチは死んだのです。
主人をまちつづけたハチは「忠犬ハチ公」と呼ばれ、渋谷駅で銅像になりました。そして、今でも上野先生を
まっているのです。