漁師の独り言1
東京湾に設置された海苔養殖施設にとりついた川からのゴミです。大雨が降るといつもこのような状態です。いまではこれを集めて岡に上げると「産業廃棄物」になってしまいます。竹、木、ビニール、そのほか水に浮くものが一杯です。
この流れ物は海苔養殖にとても厄介な物でして、海苔芽は擦ってしまい、海苔を採ると製品の中に混入する可能性があります。
たとえば コンビ二などで売られているおにぎりなどはたとえほんの小さなゴミも許されないのです。そのような事態になると 海苔生産者はおにぎりごと買い取るようなこととなります。
したがって 生産者は 採って来た海苔をまず 選別機にかけ仕上がった海苔をさらに選別機で検査して出荷するのです。人間の目で見えないゴミまで選別するのです。
どうか 海を綺麗にするために陸も綺麗にしてください。
漁師の独り言2
いつかのこと 或る取材を受けたときのこと
舟に乗せて沖合いに出たとき 何の気なしにタバコをポイと捨てたのでした。
「この舟には灰皿ばないのですか」
むむむ・・・この舟には灰皿はないのです。返す言葉はなくその日はタバコは吸いませんでした。
水にながす。という言葉があります。なかったことにするという意味で使います.この言葉は私もよく使います。ケンカをしてもあとは水に流して仲良くします。
2・3日して 舟には灰皿がありました。
お盆に仏様のお供えも いまでも海に流します。七夕のタンザクも海にながします。海葬と云って遺灰を海に流す人もいます。
冬になると 北風が強く吹きます。すると私たちの漁場はビニ−ルで一杯になります。あるときどこからくるのか探しにゆきました
東京の夢の島にビニ−ルが舞っていました。
インドにガンジス川があります。人々は川で体を洗い身をきよめ 或る人は洗濯をし また或る人は飲み水に使うのです。聖なる川ガンジスなのです。
私にとって聖なる海東京湾なのです。東京湾には多くの川が注いでいます。山からそして人々の生活排水からの窒素分リン分カリ分を使い海苔を養殖しているのです。ちなみにオ−ストラリアのグレイトバリアリ-フでは栄養が足りなく海苔はできません。
私たち漁師は海の掃除人なのです。