高島的『超特急/陽はまた昇る』シングル感想文
-超特急-
魔法の呪文みたい。
子供のころに、何度も唱えた魔法の呪文みたいに、
頭の中をくるくる、くるくる、ワンフレーズがエンドレスリピート。
超特急 夢を見たあの日僕らは…
たった、そのワンフレーズ。
それこそ全て。
出だしよければ全てよし。
『つかみ』のみで100%以上の力持っている曲だから、
ぶっちゃけ他の4分30秒ぐらいの部分は飾りみたいなもん…
てのは、言いすぎだけど(笑)
多分、あいのりタイアップ等で耳にするゆず初心者の皆様には
そう聞こえるでしょうね。
ま、それもよし。
だけど、玄人にはまたその4分30秒がたまらぬご馳走なワケで(笑)
岩沢さん、非常に上手い(笑)
ポップに歌い飛ばしているけれど、非常に岩沢語録に溢れた一曲。
心地よすぎるサビに、最初なかなか意識がいかないけれど
繰り返せば繰り返すほど、岩沢さんらしくてニヤニヤしてしまいます。
ひとつの大きな区切りを迎えて、ゆずとしての月日を振り返って
出来た曲。
愛しいではないですか。
どうしてこうも愛しいんだ。
思うにですね。
匂いがするんですよ。
そこはかとないゆず臭が(笑)
それも、初期も初期の路上曲の持つ、若すぎて酸味の強い甘酸っぱいかほり。
岩沢さん曰く『スリリングなDメロ』ってヤツも、ホーンアレンジが秀逸だけど、
無茶してるカンジがとてもいい(笑)
乱暴っぽいんだけど、らしいっちゅーか、まとまってるっちゅーか、
『でも気持ちよくないですか?』的な(笑)
この無茶っぽさもゆず臭のする原因なのかも。
ふと気がつけば、友達は皆オトナになって足早に自分達を追い越していく。
ぽつねん、と取り残されたような孤独感と、
どうしようもない焦燥感を感じつつも…ひとつ深呼吸をして、
自分達は自分達の歩幅で歩いていく。
その、強い決意と決別。
だけど…ひとりじゃない。
『僕』ではなく『僕ら』なんです。
『孤独』ではあるんだけど、『孤独』になりきれない。
ふたりぼっちの孤独。
彼らが孤独を語れば語るほど、逆に惚気られているような甘さが生まれる。
ほら、頭に浮かぶ…あの歌や、あの歌も、ね。
同じかほりがしない?
あぁ、好きだなぁ。
これが好きだから、私ゆずをやめられないんだ。
サラバ、さよなら。
今までだって重くなったらいらないもんポイっと捨てて、
歩いてきた。
手の中にあるものを未練なく捨てられるってのも、若い証拠だと
最近思うようになりました、三十路の私(笑)
20代最後の年。
思いっきり行きなさい。
思いっきり生きなさい。
今この瞬間しかない輝きに、思いっきりキラキラしながら。
ふたりの青春時代はまだ続いていく。
-陽はまた昇る-
なんだかはじめて聞くような新鮮さすらおぼえる。
やっぱりさ、タイアップがついてメイキングとかやられちゃうと
余計な感情が生まれるのよね。
じっと彼らの歌だけを、純粋に素直にじっくり味わえば、
直接伝わってくるのよね、ちゃんと。
Dメロの絡まりあうふたりの声がたまらなく気持ちいい。
そこを中心に曲を聞くと、不思議と印象が全然変わる。
『希望を捨てるなよ』的な強烈なメッセージソングという印象から
強さが薄れるの。
構えず、聞き流せる…数あるゆず曲の中の、ただの一曲ってカンジに。
聞くほうの私の肩の力が抜けるからなのかしら。
濃すぎてもうたくさん、って正直思っていたんだけど(笑)
全然そんなことなかった。
やっぱ、フル尺で聞かんとわからんね。
↑…しかし『(曲の)強さが薄れる』って褒め言葉はないよなぁ(笑)
でもきっとわかってくれる人いるよね(笑)
北川さん、声が男前になったね。
これはライブが楽しみですわ。
岩沢さんの高音も、思いっきり高くて(笑)
生聞きするのが本当楽しみですわ。
-心の友よ-
キーボードソロ。
ケンちゃんのソロ姿が勝手に目に浮かびます。
次いるかわかんないけど(笑)
心和むオープニングから、なんとなく勇ましい歌を想像させるタイトルを
裏切って穏やかな北川さんの歌声。
重なる岩沢さんの声。
穏やか。
さっき、北川さんの声が男前になった、と言いましたが、
こういう穏やかな声も、やっぱりいいよね。
どことなく懐かしいメロディー。
ものすごいB面ぽい曲よね。
この、B面ぽさかたまらなくいい(笑)
B面曲はむしろ岩沢さんの得意分野でありますが、
北川さん最近デッカイ歌ばっかり書いてたから、
こういうのも息抜きでいいんじゃないですかね。
本来の北川さんの優しさに溢れている。
強烈すぎるメッセージじゃなくて、
木漏れ日みたいな優しさの方がずっと心に沁みる事だってある。
いや、でもこれはすべて『超特急』ありき、のマキシシングルですわね。
栄光で新しい名刺が出来た、と言っていましたが。
ノンノン。
これこそ、ゆずの真骨頂でございます。
わかってるじゃないか、君たち(笑)
待った甲斐があったってもんです。
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