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「…京、お前は草薙家の当主になるべくして生まれたのじゃ。これはお前の宿命なのじゃ」

 これは、京が15の時に父・柴舟に言われた言葉である。

 宿命

 自分の意志とは関係なく一生ついてまわるもの。京はこれに疑問を感じていた。

 何故、自分の人生なのにそういうものに振り回されなければならないのか。

 そういうものを嫌った京は今まで自由気ままに過ごしてきた。だが宿命はそれを許してはくれなかった。
 草薙家の当主。たとえ、それに逃げたとしてもまた違う宿命が京を待っている。
「俺には…まともな生き方なんて無理なのかなぁ」
 京がそうつぶやいた時、一人の悲鳴が聞こえた。
 我に返った京はその方向を見る。すると、ユキが何者かに取り押さえられてるではないか。
「ユ…ユキ!!」
 取り押さえてる男は小柄でカギ爪を所持していた。
「ウキョキョ、それ以上動くなでヤンス。さもなくば、この女の命をひと思いにズバ〜〜ッといくでヤンスよ」
「あ、あれじゃ下手に動けないわ…」
「クッ…、卑怯者め!!」
 ブルー、イエロー、ピンクは完全に動きが沈黙してしまった。
「チィッ、マジかよ…」
 京もこの状況ではうかつに動けない。
 その時、ユキが必死に叫ぶ。
「京、助けて!!」
 ユキの叫びに京はその瞬間、何かが突き動かされた。
「……ユキ」
 小柄の男は京の方を向く。
「おい、わかってるでヤンスね。もし少しでも動いたりしたら…」
「うるせぇよ…」
 京の表情が変わる。その変化に戸惑う小柄の男。
「ぐっ、何でヤンスか!?やるでヤンスか?」
「言われなくてもな…」
 京のブレスレットが突然、光輝く。
 そして、炎が京を包む。すると、見る見る京の姿が変化していく。
「ま、まさかこいつもKOFレンジャー!?」
 再び京が姿を現す。その時、彼は赤のコスチュームに身を包んでいた。
「ほほう、お前がレッドだったとは。わざわざ学校中の奴らにオロチの力で洗脳させただけあるでヤンス」
「オロチ…?」
「お〜っと…、ここはまだ企業秘密でヤンスね」
 小柄の男が思わず口を滑らせた。だが、京は大して気にもしなかった。
「それよりもユキだ。さっさと返してもらうぜ」
「できないでヤンスよ。こいつは大事な人質でヤンス」
「そうかい…」
 すると、一瞬で小柄の男との差を詰める。
「な、このチョイが動きを見切れなかったと…」
 チョイはスピードには自信を持っていたようだったが、京の動きを捉えることはできなかった。
 そして、京が強引にユキを奪い返す。
「あっ!!」
「ユキは返してもらうぜ」
 ユキをブルー達のもとに引き渡す。
「ヌヌヌヌヌ…お前〜〜〜!!」
 チョイはかなり怒っていた。
「どうした、早くかかってこいよ」
 京が挑発する。

 沈黙。

 そして次の瞬間…
「さらばでヤンス!!」
 逃げるチョイ。
「待て!逃がすか!!」
 京も後を追う。だが、逃げるチョイのスピードの方がここでは勝っていた。
「チッ…、すばしっこい奴め」
 だが次の瞬間、またしても悲鳴が聞こえた。
「ま、まさか…」
 声の方を振り返る京。すると、真吾が残党にボコボコにされていた。
「く、草薙さ〜ん、助け…ほぶぁ!!」
 やれやれと呆れた様子を見せる京。
「てめぇ、俺の弟子なんだろ?だったらそれぐらい何とかしろ!!」
 京は手のひらに炎を集約させる。
「これで邪気を一掃させてやる!闇払い!!」
 残党達も京の攻撃で邪気が消え失せ、気を失う。
「…あ、ありがとうございます。草薙さん」
 真吾がお礼を言う。だが、そのお返しは京のきついゲンコツだった。
「く、草薙さん!?」
「俺はそんな軟弱な弟子を持った覚えはないからな。次、そんな目にあったら破門だぞ、破門!!」
「そ、そんな〜!!」
 だが、真吾は心の底では嬉しかった。あの京が自分の事を弟子と認めてくれたからだ。今まで自分の事を散々パシリだと言ってた京が。
 そして、真吾は心の奥でこうつぶやいた。
(はい、草薙さん。俺、頑張るッス)

 さて、当の京だが人間の姿に戻ったブルーことキム、それにイエロー、ピンクに呼ばれていた。
「俺はイエローの椎拳崇や。よろしゅう」
 拳崇が握手を求めてきた。思わず握手する京。
「私はピンクの麻宮アテナ。よろしくお願いします」
 京はアテナの顔を見た時、あの夢に出てきた軍神を思い出した。
「お、お前…あの時の軍神!?」
「あれは彼女のご先祖様だ。ご先祖様自身、昔に大いなる悪と戦って神の力を身につけたと言われている」
 キムがアテナの先祖の説明をする。
「ふ〜ん、で、俺を呼んだのは何故なんだ」
「わかっていると思うが、君は我々と同じKOFレンジャーの一員だ。ぜひこれから襲ってくるであろう多くの敵と戦ってほしい」
「…悪いが、それはできねぇ。そういう厄介事に関わるのはまっぴらなんだよ」
 キムの誘いを断る京。だが、キムは続ける。
「しかし、敵は君がKOFレンジャーである事を知ってしまった。こうなった以上、君はこれから敵に命を狙われる羽目になるんだぞ」
「何!?」
「それだけではない。君の周りの人々にもきっと影響が及ぶだろう。それでもいいというのか?」
 京が少し考え込む。そして、再び口を開く。
「わかった。ただし、ユキ達の身の安全だけは保障してくれ。さっきみたいに人質にとられちゃたまらねぇからな」
「大丈夫だ。それに関しては専属の警備隊が責任を持って彼らを守る。だから、君は余計な心配をしなくていい」
 キムに言われ、ホッとする京。
「それを聞いて安心したぜ」
「さて、それじゃ行きましょうか」
 アテナが言う。
「え、行くってどこへ?」
「俺達の基地や」
「基地〜!?」
 こうしてKOFレンジャーの基地に行く事になった京。
 この時、更なる波乱が待っている事をまだ彼らは知らなかった…。
第2章に続く