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 庵の危機に間一髪で駆けつけた京、キム、拳崇、アテナの4人。
 その光景を見て、倒れながらも顔だけ上げる庵。
「き、貴様ら…、何しに来た! これは俺だけの問題だ。余計な手出しは無
用だ…」
「るせぇ! こっちだって関係あるんだよ! 大体、今までてめぇはやられ
てたろうが!!」
 庵の言葉に京が言い返す。
「アテナさん。あなたは八神君の治癒を…」
「はい!!」
 キムの指示に、アテナは庵のもとへと向かう。
 が、そこに山崎が立ちはだかった。
「おっと、そう簡単には行かせねぇぜ!!」
「そうですか。ならば…」
 アテナがそう言った瞬間、山崎の視界から彼女の姿が消えた。
「な!?」
 気がついた時には、彼女は庵の治癒を始めていた。
「これは…」
「これが、アテナの力の一つ、テレポートや…」
 いつの間にか、山崎の正面には拳崇が立っていた。
 そして、左の後方には京、右の後方にはキムが立っていた。
「これでてめぇは逃げられねえぜ…」
 京が山崎に言う。
 しかし、山崎はこんな状況にも動じない。
「ハッ! まさかてめえら、こんなんで勝った気になったとでも思ってるの
か?」
「何!?」
 その時だった。
 山崎の拳が拳崇の額を瞬時に捉えた。
 攻撃を受けた拳崇は激しく吹っ飛んだ。
「グアッ!!」
「拳崇!!」
「それより、てめぇの心配したらどうだ、アァ!?」
 ポケットからナイフを取り出し、猛スピードでキムに襲い掛かる。
 紙一重で避けるキム。
「ハァッ!!」
 キムが、蹴りで山崎のナイフを弾き飛ばそうとしたその時、足を山崎が掴
んだ。
 そして、そのままキムの体を引っ張り、胸にナイフを突き刺そうとした。
「させねぇ!!」
 だが、京が山崎の真上から脳天めがけて蹴りを放ってきた。
「バカがぁっ!!」
 キムを京に向けて投げる山崎。
 方向転換ができなかった京は、キムの体に当たり、共に吹っ飛んでしまう。
 あっという間に3人がやられてしまった。
「な、何やねん!? 俺らを同時に相手してる言うのに、こないに圧倒する
とは…」
 倒れた状態でつぶやく拳崇。
 山崎の力は半端なものではなかった。
「当然だ。俺は昔から、1対大人数での戦闘を乗り切ってきたんだ。これく
らい、1人と相手しているのと変わらねえぜ!!」
 そう言い、山崎はアテナ、そして庵を見る。
「さて、残りは二人か…」
「クッ!」
 アテナは焦っていた。
 庵の怪我は思ってた以上に重症で、完全に体力を回復させるまでには、ま
だ相当時間がかかりそうだったからだ。
「女、これ以上はもういい。やはり、俺が決着をつける…」
 庵が立ち上がろうとする。
「ダメです! 今の状態では彼には勝てません。せめてもう少しだけ、待っ
て…」
「この状況を見てわからんか。戦えるのはもう俺達2人だけなのだぞ!」
「いえ、彼らはまだ終わってません…」
「何!?」
「KOFレンジャーはオロチとその一味を倒す為に、集められた者達。選ば
れた者として、ここで終わるわけにはいかないのです。たとえ、自らの命を
犠牲にしてでも…」
 アテナの言葉が現実化するかのように、倒れた3人は立ち上がった。
「ヘッ! まだやろうってのか!?」
「我々は諦めませんよ。あなたに勝つ確率がゼロでなければ…」
 キムが言う。
「そうかい。なら、今すぐここで死にやがれ!!」
 キムに襲い掛かる山崎。
 キムはただ構えているのみ。
「言ったはずですよ。あなたに勝つ確率がゼロでなければ諦めないと…」

 山崎の蛇使い。

 彼の拳がキムの額を襲う。
 が、それをキムは間一髪で避けた。
「何!?」
「あなたの技は先程見ました。タイミングさえ合わせれば、避けるのは容
易い!!」
 今度はキムが山崎に襲い掛かる。
「チィッ!!」
 山崎が蛇使いを連発する。
 が、キムはこれも全て避けきる。
「確かにあなたは喧嘩のプロかもしれない。だが、格闘のプロでは決して
ない!!」
 キムが山崎の足を思い切り踏む。
「!?」
「やはり、足元にまでは注意は払ってなかったようですね…」
 すかさず、山崎の顎に強烈な蹴りが入る。
「鳳凰飛天脚!!」
 高々と上げられた山崎の体はそのまま、拳崇の元へと向かっていった。
「龍連牙・天竜!!」
 蹴りの3連打で、再び山崎を打ち上げる拳崇。
 山崎が落ちるその先には、京が炎を溜めて待っていた。
「これで薙ぎ払ってやる! 喰らい…」
 京が大蛇薙を出そうとした瞬間だった。
「や、八神さん!!」
 背後でアテナの声がした。
 そして、同時に庵が山崎めがけ、突っ込んでいった。

「遊びは終わりだ!!」

 彼の八稚女が再び炸裂した。
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