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観覧車に乗り、夜景を楽しむK´とクーラ。クーラが先に切り出す。 クーラ「今日は楽しかったね・・・。」 K´「ああ・・・。」 K´はあえてクーラの方を見ようとはしなかった。向けば、彼女が満面の笑みを見せるからだ。 クーラ「夜景、きれいだね・・・。」 K´「ああ・・・。」 K´はまだ慣れてなかった。今の自分自身の状態に。彼女に心惹かれてしまった事に・・・。 クーラ「ねえ、あなたのこと、何て呼んだらいい?」 いきなりの質問に動揺するK´。 K´「ああ、K´でいいんじゃねえ?そっちの方が慣れてるし・・・。」 K´は顔を赤らめている。もう我慢の限界といった感じだ。 クーラ「じゃあ、K´で。あのね、K´に話があって・・・。」 K´「話?」 そう聞きつつも胸の高鳴りが抑えられないK´。 クーラ「あのね、私、K´の事好きになっちゃって・・・。」
ガタン!!
椅子から転げ落ちるK´。 クーラ「あ、そういう意味じゃないよ。ただ見る目が変わったというか、そんなに悪い人じゃないなって意味で・・・。」 K´「ああ・・・、そうか。」 K´は再び椅子に座る。 クーラの顔は真っ赤になっていた。確かに今の言葉は嘘ではなかった。だが、それが全てではなかった。彼女もK´の事が好きになっていたのだ。あの助けられた時から。 クーラ「ねえ、K´・・・」 K´「何だ?」 クーラ「あなた達と一緒に行ってもいい?」 K´「お前・・・」 その時だった。観覧車のドアが開く。 フォクシー「今の話、本当なの?」 クーラ「フォクシー、ダイアナ・・・。」 二人の目の前にはフォクシー、ダイアナ、そして銃を構える兵士達がいた。 クーラ「でもこの人達、本当は悪い人じゃ・・・」 ダイアナ「クーラ、ネスツの規則を忘れたわけじゃないでしょう?」 フォクシー「裏切り者には・・・」 クーラ「死・・・あるのみ・・・。」 ダイアナ「それにしても久し振りね、K´。まずはその子を返してもらいましょうか・・・。」 クーラ「K´・・・。」 K´「それはできねえ!!」 ダイアナ「何ですって!?」 動揺するダイアナ達。 K´「あくまでこいつは人質だ。条件無しでは返せねえな。」 フォクシー「フフ・・・、条件。なら、これでどうかしら?」 現れたのは捕らえられたマキシマとウィップ。 K´「お前ら!?」 マキシマ「すまねえ、K´。ミスっちまった。」 ダイアナ「そういう事よ。さあ、返してもらいましょうか。それとも、ここで仲間を見殺しにする?」 ウィップ「K´・・・。」 K´「チッ、クーラ、悪く思うなよ!」 クーラ「K´!!」 K´は渋々クーラをダイアナ達の元に返す。 ダイアナ「そう。それでいいのよ。」 そして、クーラを抱きしめるダイアナ。 クーラ「ダイアナ、あの人達は・・・」 ダイアナ「クーラ、少しばかり悪い夢を見過ぎたようね。」 次の瞬間、クーラは急に気を失う。 K´「てめぇ、クーラに何を・・・」 ダイアナ「安心して。ただ一部の記憶を入れ替えるだけよ。」 そして、クーラがまた起き上がる。 K´「クーラ・・・」 ダイアナ「クーラ、K´を殺しなさい。」 K´「な!?」 クーラの目がK´に向けられる。もはや彼女の顔に笑顔は見られない。そして、氷の息吹をK´に向けて吹きかける。それをすんでのところでかわすK´。 K´「やめろ!忘れたのかよ!?さっきまでの事を・・・」 フォクシー「無駄よ。今の彼女にはあなたの言葉は何一つ届かない。そして、さっきまでの出来事を思い出すのも永久にあり得ない。」 K´「何だと!?」 ダイアナ「これをね、『消去』というのよ。」 K´「それじゃ・・・」 今まで短い間だったがK´と一緒に過ごしてきた時間。それが全てなかった事にされたのである。今日のデートの事ですら・・・。 マキシマ「K´!!」 K´「クッ!!」 我に返ったK´。クーラの攻撃をまともに喰らう。 ウィップ「まずいわ。いつもの彼らしさが見られない。」 マキシマ「あいつ、まさか・・・」 K´の動き一つ一つに迷いが見られた。そして、その迷いがクーラの攻撃をかわし切れなくする。 K´「ぐあっ!!」 遂にダウンするK´。 フォクシー「とどめよ、クーラ。」 クーラ「わかってる・・・。」 クーラがとどめを刺そうとする。その時・・・ K´「クーラァ!!!」 力の限り絶叫するK´。だが、次の瞬間・・・ マキシマ「K´、何をやってる!そいつは敵だ!!」 マキシマの声がK´の耳に届く。 マキシマ「今の奴はお前の好きな、そしてお前が好きなクーラじゃないんだ!お前を殺そうとしている敵だ!ここでやらなきゃ、やられるんだぞ!」 K´「敵・・・」 その時、K´の右手から大量の炎が燃え盛る。 K´「敵・・・か。やっぱりお前とはそれ以上でもそれ以下でもないんだな、クーラ・・・。」 クーラは問いに答えない。 K´「終わりにするぜ・・・。」 クーラのとどめより一瞬早く、K´のヒートドライブが炸裂する。火に包まれながら空高く舞い上がり、地に叩きつけられるクーラ。 フォクシー「クーラ!!」 フォクシーとダイアナが駆けつける。 ダイアナ「大丈夫。一命は取り留めてるみたい。でも、早急の手当ては必要ね。」 フォクシー「そう。なら、あとはこの兵士達に任せるわ。」 K´「逃げる気か!?」 ダイアナ「フフ、出直してくるだけよ。そう受け取ってもらっても構わないけど。」 そう言い、ダイアナとフォクシーはクーラを連れてその場から消えた。 マキシマ「逃げたか。後始末でもするか?ウィップ。」 ウィップ「そうね。きっちり借りは返さないと・・・」 後ろで両手を縛ってる縄を解く二人。数分と立たず、兵士達は全滅した。 ウィップ「ふぅ、すっきりしたわ。」 やけに清々しい顔のウィップ。その姿にちょっと引くマキシマ。と、K´が一人でたそがれていた。側に行く二人。 マキシマ「気になるか?クーラの事・・・」 マキシマがK´の肩を触る。 K´「いや、何の事だ?」 振り向くK´。その姿は元のネスツの狩人のそれに戻っていた。 K´「おら、行くぜ。俺達にはのんびりしてる暇なんざないんだ。」 ウィップ「そうね。」 マキシマ「行くか・・・。」 K´達は前に向かって歩き出した。 K´「と、忘れもんだ。」 K´がポケットから何かを取り出し、それを後ろに放り投げる。 マキシマ「それは?」 K´「なに、今の俺には必要ないものだ・・・。」 K´達は遊園地を後にした。K´が捨てていった半分のハート型キーホルダーを残し・・・。
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END
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